JO1 金城碧海・豆原一成、それぞれ異なる角度で描く“愛” バイラルヒットの背景にある相乗効果

[𝐏𝐋𝐀𝐍𝐉] ORIGINAL:'Not Puppy Love' – MÁME

 「Not Puppy Love」は、MÁMEこと豆原一成のオリジナルソング。英語詞を軽やかなビートに乗せた、爽やかなポップチューン。軽快なリズムを意識した刻む歌い方がメインだが、その中でローボイスと高音を行き来する見事なコントロールを見せ、サビでは英語詞でありながら子音よりも母音に重きを置いたアプローチを見せるなどして、楽曲に非常に豊かな表情を加えている。

 また、何度か登場するロングトーンを出だしから全開で聴かせ、かと思えばトーンの後半を少しスウィングさせて放り投げるようにして次のグルーヴに繋げるなど、豆原というボーカルの個性のスキルの万華鏡だ。タイトルの「Not Puppy Love」(直訳:幼い恋ではない)というタイトル通り、JO1の最年少メンバーである豆原ならではの大人への憧れで背伸びをしてしまうという“いじらしさ”を歌詞で見事に表現している。〈Don't call me cute〉(可愛いなんて言わないで)や〈Just call me your man〉(君の男って呼んで)といったフレーズなどは、おそらく日本語では出てこなかったはずだ。このユーモラスな意味合いも少し含んだ言葉が、“恋におちて”しまった抜けられない状況を切実に切り取っている。

 「恋におちたら」は“恋に落ちたその瞬間”のときめきをナチュラルに表現しているのに対し、「Not Puppy Love」は“恋におちてもがく姿”を表現している。甘くて、しかしこの2曲がセットとなって一筋縄ではいかない“青春のグラデーション”を補完し合っているように感じる。

 また、バイラルヒットの観点から注目したいのは、両曲ともに「日常と地続きであること」が大きな鍵となっている点だ。歌詞に聴き手の気持ちとリンクする親密さがある。そして、どちらもショート動画でも使用しやすいフレーズやブレイクポイントを持ち、ユーザーによるシェアが自然発生的に広がっていったのもポイントだろう。これは、J-POPの新たなヒットフォーマットとも言えるかもしれない。“恋愛”という普遍的テーマに宿る、時代を超えた共感である。

※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2025-07-16

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