22/7、『あなたでなくちゃ』から見える“変化” 卒業を控える西條和の存在、新メンバー加入への心境も語る
デジタル声優アイドルグループ・22/7が7月16日、15thシングル『あなたでなくちゃ』をリリースした。表題曲「あなたでなくちゃ」は現在放送中のTVアニメ『カッコウの許嫁 Season2』(TOKYO MXほか)のエンディングテーマに採用され、22/7のシングル表題曲としては3作連続でTVアニメとのタイアップを果たしている。ライブ映えを予感させる「あざす」「舌打ち」「22/7」といった楽曲群、さらに西條和のグループ卒業を飾る「イングリッシュ・ゴールデンレトリバー」も収められた今作は、22/7の現在の勢いを伝えつつ、草創期からグループの顔として活動してきた西條の門出を祝福する充実のシングルとなっている。
今回、リアルサウンドではメンバーの天城サリー、河瀬詩、椎名桜月、麻丘真央、相川奈央、望月りのにインタビューを実施。最新シングルの手応えや卒業する西條への思い、今夏のライブへの展望、さらに新メンバー加入を控えて新たなフェーズに入る現在の心境まで、幅広く話を聞いた。(香月孝史)
「あなたでなくちゃ」はナナニジに新しい風を吹かせてくれた
――15枚目シングル『あなたでなくちゃ』が7月16日にリリースされます。表題曲「あなたでなくちゃ」と収録曲の「あざす」は、すでにお客さんの前でも披露されていますね。
天城サリー(以下、天城):「あなたでなくちゃ」は、3月の『22/7 Spring Tour 2025 ~Casino Party!!~』で、サプライズ初披露させていただきました。ノりやすい曲だからか、サビのあたりからファンの方々もすぐにノり方を掴んでくださって、一緒に盛り上がってくれた印象ですね。
――ライブ向きのアップテンポな新曲「あざす」は、大阪で行われたリリースイベントで初披露されました。
天城:リリースイベントで初めて披露した時、集まってくださった皆さんが曲を聞いて「どういう感情でこれを見ればいいんだ」みたいに戸惑っていたんですけど(笑)、徐々に慣れて最終的にめっちゃ盛り上がっていったんです。そんな皆さんの表情を見るのがすごく楽しかったですね。
――リリースイベントで各地をめぐってみての手応えはいかがですか?
麻丘真央(以下、麻丘):今回のリリースイベントでは動画撮影がOKだったので、パフォーマンス中にカメラを構えながら見てくださっている方も多かったんです。それが新鮮でした。
椎名桜月(以下、椎名):実は、そのリリースイベントで「君とどれくらい会わずにいられるか?」を披露している最中に私がバランスを崩して、読んで字のごとく横転してしまいまして(笑)。
――その瞬間を撮影した映像が、椎名さんのXアカウントにたくさんリプライで集まっていましたね。
椎名:そうなんですよ! もし通常のライブで転んでしまったら、あまりネタにもできないし触れにくいと思うんですけど、撮影OKのイベントだったからこそ皆が撮っていて盛り上がったりもして、逆に和やかな感じになりましたね。リリイベでは明るい曲をやることが多いですし、その日限りの“遊び”を入れたりするので、そういう楽しいシーンの動画がSNSで広まったことがきっかけで、ライブに興味を持ってもらえたら嬉しいです。でも、その遊びを入れた場面で横転してしまったんですけどね(笑)。
相川奈央(以下、相川):誰かの足を踏んだとかでもなく、椎名が単独でコケて(笑)。
椎名:ただただ、私の体幹のなさが明らかになった(笑)。ちょっと恥ずかしいですけど、面白い出来事になりました。
麻丘:夏のライブは、またリリイベとは全然違った雰囲気になるはずなので、そこでどんなふうに盛り上がってくださるのかも楽しみです。
――ニューシングル全体を通して、ライブ映えするイメージがわきやすい楽曲が揃っている印象です。「舌打ち」についてはいかがですか?
河瀬詩(以下、河瀬):「舌打ち」は初めて聴いた時から、ライブでより強くなる曲だなと思いました。ダークでクラシカルな雰囲気もある曲ですけど、反骨心や抵抗の気持ちがこもった曲なので、ライブではレコーディングの時以上にギラギラした気持ちでパフォーマンスできる曲だと思います。目線の使い方や振りの力強さも、ライブをしていく中でどんどん磨かれていく曲だと思うので、これから育っていくのがすごく楽しみです。
――「舌打ち」の持つ“レジスタンス感”は、ナナニジが以前から持っている一側面でもありますね。
河瀬:たしかに、1stシングルで言うと「地下鉄抵抗主義」に通ずる部分もあるような気がします。以前よりもグループ全体の表現力も上がっていると思うので、ぜひ楽しみにしていてほしいです。
――グループ名が冠された楽曲「22/7」も、ライブでかっこいい演出ができそうなイメージが浮かびます。
望月りの(以下、望月):クラブみたいなイメージですね。ライブではファンの皆さんを煽って、一緒に声を出して盛り上がってもらいたいと思っています。
相川:以前から(月城)咲舞ちゃんは、ずっとラップをやりたいって言っていたんですよ。「22/7」では咲舞ちゃんのラップパートは一気に展開される箇所があるので、どんなイケイケなラップを見せてくれるのか、今からライブ本番がすごく楽しみ! ほかのメンバーも含めて、普段からギラギラ感を出しているわけではないので、そんなメンバーがライブでどのくらいギラギラに輝いてくれるのか、楽しみです。
椎名:咲舞ちゃんや奈央やサリーさんが時折見せるギラギラ感や、パッション強めの表現の熱量をここまで出せる曲って、今までなかったと思います。ナナニジはメッセージ性を大事に伝える曲も多いんですが、この曲はシンプルに「ぶち上がれ!」みたいな感じ。「ナナニジってこんな顔もできたんだ!」って思ってもらえる曲になっていると思います。
――「あなたでなくちゃ」は、TVアニメ『カッコウの許嫁 Season2』のエンディングテーマです。過去2作のシングル表題曲「YESとNOの間に」「ロックは死なない」と、アニメ作品とのタイアップが3作にわたって続いていますね。
相川:『カッコウの許嫁』は“取り違え”をきっかけにしたお話なんですけど、私が歌うパートで、〈好きは誰から誰への取り違い?〉という歌詞があるんです。“取り違え”の意味は少しずらしているけれど、この作品があったからこそ生まれた歌詞だなあと。ほかにもアニメとの結びつきによって生まれた言葉が散りばめられているはずなので、ナナニジにも新しい風を吹かせてくれた楽曲だと思っています。
河瀬:アニメのエンディングテーマになった、3曲ともまったく違うテイストなので、最近はシングルが出るたびに「今回は新しいナナニジが見られます」というお話をすることが多いんです。作品に引っ張ってもらいながら、ナナニジの新しい面もどんどん引き出されていて、お互いに相乗効果でいい影響を与え合えたらいいなと思っています。「あなたでなくちゃ」も、『カッコウの許嫁 Season2』とのタイアップがなければ、ナナニジの表題曲としてはなかなかやらなかったタイプの曲。ちょっとキュンキュンするようなラブソングを表題曲でやれたのは、タイアップがあったからこそなので本当にありがたいですね。
――ナナニジの表題曲は内向的な人物が主人公になることも多く、それがグループの強みでもありますよね。特に後輩メンバー加入後は、表題曲のイメージもさまざまに移り変わっているように思いますが、その背景にはメンバーやグループ全体の変化もあるのでしょうか?
天城:私たち自身の変化というより、秋元(康)さんから見て、私たちがどう見えているのかの変化かもしれないですね。以前秋元さんが「歌詞はそれぞれのグループへの手紙だと思ってほしい」ということをおっしゃっていたんです。性格的には、最初期からグループにいる私もなごみん(西條和)も大きく変わっているわけではないんですけど、傍から見たら、グループが前向きになっていっているように見えていて、それが表題曲に表れているのかもしれません。