思いがけない特典でファンを喜ばせてくれるのは、B'zだ。2022年リリースのアルバム『Highway X』、そして映像作品『B'z presents LIVE FRIENDS』は、両作品に封入された応募IDを組み合わせて応募すると抽選でB'zの新曲MVの撮影現場に招待されるという、B'zファンなら是が非でも当てたいであろう特典が話題になっていた。この撮影はその後2023年7月にリリースされた「STARS」のMVだったといい、MVには総勢200名の幸運なファンたちがB'zを囲むようにしてスタジオライブを楽しむ姿が収められている。

　稲葉浩志とアメリカのギタリスト、スティーヴィー・サラスによるユニット、INABA／SALASが今年2月にリリースしたアルバム『ATOMIC CHIHUAHUA』にも特典として応募抽選券が封入。ツアーで使用された後、稲葉浩志とスティーヴィー・サラスの直筆サインが入れられたアコースティックギターやブリキで作られたメモリアルプレートなどが抽選で贈られたほか、ツアー『INABA／SALAS TOUR 2025 -Never Goodbye Only Hello-』の一部公演のリハーサル見学に計300名が招待された。これも二度とないレアな特典であり、これもファンを想って行われた特典施策といえるだろう。

　グッズ特典で楽しませるのは、ポルノグラフィティだ。彼らが昨年リリースしたベストアルバム『ポルノグラフィティ全書 〜ALL TIME SINGLES〜』の初回生産限定盤にはアリーナツアーのライブ映像に加え、特典としてアルバムに収録された全57曲をそれぞれのビジュアルで表現したステッカーが封入。自分のお気に入りの曲のステッカーを自分の好きな場所に貼るも良し、それぞれのデザインに込められた楽曲の要素を考えても良しな特典となった。

　アーティストたちによる豪華な特典。それは一見するとCD販売のための資本的な施策とも捉えられかねないが、そこには音楽を入口に様々な形でファンに喜んでほしいというアーティストの願いが込められているように感じる。特典を通してアーティストから贈られる思いを受け取ってほしい。

※1：https://hochi.news/articles/20230830-OHT1T51160.html