櫻坂46 村山美羽&村井優、『音楽の日』ダンス選抜抜擢はなぜ? ギャップと対照性で魅せる2人独自の表現力
“オールラウンダー”村井優のダンスに宿る物語性と翻訳力
一方、村井のパフォーマンスは非常にダイナミックでありながら、決して粗雑にはならない。バレエをはじめ、さまざまなダンスジャンルを習得してきた経験は、彼女の身体表現に確かな説得力を与えている。振り付けをただ覚えるのではなく、楽曲に込められた感情やストーリーを読み解き、それを最適な形に変換する。村井のダンスは、単なる動きの再現ではない。音楽の中にある“物語”を言語化せずに伝えるための、身体を使った翻訳作業に近いだろう。
ロックダンスのシャープな動きから、空間を撫でるようなスロームーブメントまで、彼女の引き出しの広さはグループ随一。特に三期生曲「夏の近道」では、明るく軽やかな曲調の中で、意志を感じさせる動きや、息遣いまでもが丁寧に整えられた表情が楽曲に奥行きを与えていた。多彩な表現力を土台にしながら、常に自らの踊りを見直し、アップデートを続ける姿勢も印象的だ。村井の冠にもなりつつある“オールラウンダー”という言葉は、その多才さを意味するだけではなく、ジャンルを横断しながら自分の表現を高め続ける、知的で柔軟なアーティスト性を表しているとも言えるだろう。
それだけに、櫻坂46の表現の豊かさを語る上で、村山と村井の存在は象徴的だ。村山の内なる力強さと、村井の躍動的で万能な表現力。そうしたコントラストの融合こそが、今の櫻坂46の表現力の核になっていると感じる。今回、『音楽の日』のダンス企画において、グループを代表するメンバーとしてこの2人が揃って選出されたことは、先述したようにその実力と信頼の証明であり、櫻坂46が次世代に向けて打ち出した明確なメッセージでもある。今後、表題曲でのセンター抜擢やユニット曲も視野に入る中で、この『音楽の日』は、2人にとって単なる通過点ではなく、新たな物語の幕開けとなるだろう。
※1:https://sakurazaka46.com/s/s46/diary/detail/52669