『アニサマ』第1回目から20年 アーティスト主催、地方開催……現在のアニソンフェスに見る多様化と拡張
アニソンフェスの灯は、首都圏だけでなく全国にも広がっている。今年は和歌山、長野/新潟・斑尾高原、岐阜・大垣市でアニソンフェスが初開催されるなど、地方でフェスができるほどの力をアニソンは持っている。その中でも、長野県で毎年9月に開催されている『ナガノアニエラフェスタ』は、特に注目されている存在だ。このフェスの特徴は、アニソンフェスでは珍しい“野外”でのライブであることだ。また、2日間で約20組という出演アーティスト数の多さも魅力のひとつで、第一線で活躍するアニソンアーティストや声優アーティストに加えて、『アイドルマスター』や『ラブライブ!シリーズ』、『プリキュアシリーズ』といった作品系コンテンツのユニットまで出演しているところに、このフェスの本気度が窺える。一方で、台風や落雷、傷害事件による中止という不運に見舞われ存続の危機に何度も直面してきたが、昨年のクラウドファンディングでは1500人以上の支援が集まった。今年こそは何のトラブルもなく無事に開催されることを願ってやまない。
また、地方フェスという観点では、京都の存在感も見逃せない。2018年から毎年12月に行われている『京 Premium Live』は関西のアニソンフェスとして安定した人気を誇っているフェスであり、多い時には60曲近くを休憩なしで続けるというある意味体力が必要なフェスでもある。そして、「日本で世界初の劇伴音楽フェスティバルを開催したい!」(※1)という作曲家・林ゆうきの一声をきっかけに、2022年から京都で開催されているアニメーションの劇伴音楽フェス『京伴祭』も、従来のアニソンフェスの概念に新たな風を吹き込んだ新勢力である。もともとアニメの劇伴音楽は国内のみならず海外人気も高く、こうしたイベントを待ち望んでいたというファンも多いだろう。東京で行われる派生イベント『東京伴祭』も含め、今後は劇伴音楽を軸にしたライブイベントの波もさまざまな場所で広がっていくかもしれない。
ほかにも、『オーイシマサヨシ×鈴木愛理のでしょフェス!!』、『オダイバ!!超次元音楽祭』のようなテレビや配信番組の企画から生まれたフェスや、作品の垣根を越えたコラボレーションを実現する音楽イベント『異次元フェス』、『SUMMER SONIC』から派生した3Dライブフェス『ANICUL SONIC』など、フェスの種類やアプローチ、開催動機はその数だけ存在する。“アニソンフェス”と一口に言っても中身はさまざま。アニメの世界的な盛り上がりと同じくらい、アニソンフェスも今後さらに盛り上がっていくに違いない。
※1:https://www.kyobansai.com/