UVERworldは最高の瞬間を更新し続ける──結成25年、“今”の頂点を刻んだ東京ドーム公演を振り返って
結成25年とデビュー20年、ダブルアニバーサリーを迎えるUVERworldが、約5年半ぶりに東京ドームのステージに立った。25年という長く曲がりくねった道を経て、スタジアムバンドへ上り詰めてもなおファイティングポーズを崩さないバンドにとって、そしてcrew(ファンの総称)にとって、これは祝宴であり新たな旅へのスタート地点だ。本稿では、6月14日、15日に開催された『UVERworld LIVE "EPIPHANY" at TOKYO DOME』の2日目のライブを振り返る。
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ドームの天井にまだ薄明りが残る午後6時、照明に灯がともり、巨大スクリーンが一斉に稼働する。荒廃した街に佇むメンバーが一人ひとり東京ドームへと歩を進めるドラマチックな映像だ。不意に何かが動いたと思うと、上空から静かに下降する昇降式ステージに乗り込んだ5人の姿――ド派手なオープニングを経てステージへと着地、インスト曲「WICKED boy」が爆音で鳴り響くと、レーザービームが飛び交い、crew全員に配られた発光式リストバンドが一斉に光を放つ。壮大な景色の中で1曲目「PHOENIX AX」が始まると、そこはもう別世界。UVERworldとcrewが支配する音の楽園だ。
「最高だった昨日を凌駕する、お前らが人生でまだ見たことないようなライブをぶちかましてやるからな」
TAKUYA∞(Vo)の気合の入り方がハンパない。「Don’t Think.Feel」では、アリーナ中央に突き出すセンターステージへ飛び出したTAKUYA∞、彰(Gt)、克哉(Gt)、信人(Ba)、誠果(Sax)が暴れ回って躍動する。「この中で誰が一番声出せるんだ?」と挑発し続けるTAKUYA∞。克哉と信人がパーカッションで盛り上げる「WE ARE GO」、さらにアルバム『EPIPHANY』収録の新曲「NO MAP」へ。TAKUYA∞がジャケットを脱ぎ捨ててハーモニカを吹きまくり、誠果と向き合って息の合ったコンビネーションを見せる。凄まじいスピードとヘヴィネスが同居する超重量級ナンバー、crewはもう無礼講の大騒ぎだ。
「結成25周年、デビュー20周年、メンバーチェンジなし。紆余曲折あったけど、今日東京ドームに辿り着いた。すべてを乗り越えて、一番伝えたいこと。今日俺たちと過ごすことを選んでくれてありがとう」
心のこもったTAKUYA∞の言葉に続く「Eye's Sentry」。そして「昨日この曲をやらなくてブーブー言われたから」と前置きして歌った「THEORY」へ、自伝的要素とメッセージ性の強い2曲でバンドとcrewとの絆をがっちりと結び直す。イントロでキャノン砲が打ち出した紙吹雪が、きらきらと舞い上がる。序盤なのにすでにクライマックスのような盛り上がりだ。
真太郎(Dr)が得意の下ネタぎりぎりのMCで笑いを誘い、克哉がにこやかにフォローする。ほっと一息のあとは再び全力疾走、クラップと歓声でcrewがひとつになる「7th Trigger」、そして「今までほとんどやってこなかった曲を」と言ってプレイした「counting song-H」は2008年の3rdアルバム『PROGLUTION』収録曲。十数年の時を経てなお瑞々しく響く、アニバーサリーライブでしか聴けないであろう嬉しい選曲だ。さらに「一滴の影響」でTAKUYA∞はセンターステージへ飛び出し、マイクを叩きつけんばかりの激しさで歌う。時計を見るとまだ午後7時、メンバー全員、最後の一滴も残さずエネルギーを出し切る気迫満点だ。
ここからのTAKUYA∞のMCは感動的だった。TAKUYA∞はバンド結成当初に初めて手に入れたマイク、克哉、彰、信人は最初に手にしたギターとベース、誠果はTAKUYA∞に勧められて買ったという初めてのサックス、そして真太郎は父譲りのドラムのキック。「高い楽器で感動するんじゃない。みんなは俺たちの歴史、背景に恋しちゃうんだよ」とTAKUYA∞。全員の“初めて”を持ち寄って結成25周年の東京ドームで音を奏でた「CHANCE!」は、これまでも、そしてこれからもバンドキッズであり続ける6人の存在証明。歌い終えたTAKUYA∞が「お前らのおかげでここまで来れたよ」と叫ぶ。これもまたアニバーサリーでしかありえない素晴らしいシーンだった。
TAKUYA∞と信人がセンターステージで躍動する「NO.1」を経て、「君の好きなうた」のイントロを大歓声が包み込む。彰のエモーションたっぷりのリードギターが胸に沁みる。続けて「言わなくても伝わる あれは少し嘘だ」へ。ミドルテンポのメロディアスな楽曲の連発を、ドームを埋めたcrewの全員がじっと聴き入っている。激しい曲だけじゃない、恋愛の繊細な感覚を描くラブソングもまたUVERworldの歴史の中の大切な要素だ。
ライブはそろそろ中盤に入ってきた。じっくり聴かせる曲の連続で静かになったcrewを叩き起こすように、ここから一気にライブが動きだす。ステージに横付けになった特別仕様のトロッコ2台に3人ずつメンバーが乗り込み、外周をぐるりと半周しながら「UNKNOWN ORCHESTRA」を演奏する姿に、360度全方位から降り注ぐ怒号のような歓声、嬌声、拍手。辿り着いたホームベース付近で2台のトロッコが合体、「I LOVE THE WORLD」を全力でプレイする姿に、スタンドを埋めたcrewは狂喜乱舞。「今はここが最前列だぜ」と叫ぶTAKUYA∞、狭いトロッコの上から飛び出す勢いの完全熱唱だ。
大観衆のど真ん中でのMCタイムでは、普段はしゃべらないメンバーも饒舌になる。彰が「毎日ドキドキ、ワクワクさせてもらってます。ありがとう」と、メンバー、スタッフ、crewに感謝する。信人もマイクを握るが、感覚的で独特の言葉使いを「何言ってるかわからない」とTAKUYA∞に突っ込まれて場内爆笑。東京ドームでも自然体、それが25周年のUVERworld。