『「鬼滅の刃」無限城編』主題歌への期待 LiSA、Aimer、マイファス × HYDE、マンウィズ × milet 楽曲振り返り
2019年にTVアニメの放送がスタートし、瞬く間に国民的人気を獲得した『鬼滅の刃』。2020年に公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』では、日本における興行収入歴代1位(※1)となる404億円ものメガヒットを記録し、社会現象を巻き起こしたのは多くの人が記憶するところだろう。そんな『鬼滅の刃』の物語の最終章を3部作で描く『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』の第一章が7月18日から全国公開される。原作漫画で描かれた主人公・竈門炭治郎ら鬼殺隊による鬼との死闘がスクリーンでどのように描写されるのか、公開日が近づくにつれ、ファンの期待は高まるばかりだ。
さらに、映画の公開を記念して、『無限列車編』から『柱稽古編』までの物語が、『劇場版「無限城編」公開記念「鬼滅の刃」全七夜特別放送』と題して6月28日から7月17日にかけてフジテレビ系で一挙放送。6月28日の第一夜放送後には、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の主題歌がAimer「太陽が昇らない世界」とLiSA「残酷な夜に輝け」であることが発表され、大きな話題を呼んだ。両名ともに同シリーズを彩ってきた立役者ということもあり、どのような楽曲が届けられるのか期待が高まる。
本稿では、今回一挙放送される『無限列車編』『遊郭編』『刀鍛冶の里編』『柱稽古編』の4つのエピソードを彩ってきた歴代主題歌をあらためて振り返る。作品が辿ってきた軌跡を音楽を通じて遡ることで、『無限城編』への期待を膨らませていければと思う。
第一夜として放送されたのは、下弦の壱との戦いを描いた『無限列車編』。劇場版の主題歌となった「炎」は、テレビアニメ『鬼滅の刃』始まりのOP主題歌「紅蓮華」を担当したLiSAと、アニメの劇伴を担当している作曲家・梶浦由記とのタッグにより制作された感動的なバラードナンバーとなっている。悲哀や喪失感が表現された鎮魂歌の側面もある楽曲だが、それ以上に炎柱・煉獄杏寿郎の生き様、そして彼の想いを託された炭治郎たちの決意が丁寧に表現されており、物語やキャラクターにしっかりと寄り添うLiSAと梶浦の姿勢が色濃く出た楽曲であると言っていいだろう。
劇場版のメガヒットの影響もあり、2020年の『第62回輝く!日本レコード大賞』(TBS系)ではLiSAにとって自身初となる大賞を受賞し、2020年の『第71回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)でも同曲を披露している。『鬼滅の刃』を代表する1曲として、今でも多くのファンから愛されている。また、“LiSA×梶浦由記”によるTVアニメ版『無限列車編』の「明け星」、「白銀」も不穏な雰囲気が漂うストーリーに寄り添う主題歌として一級品だ。
第二夜、第三夜では、上限の陸との死闘を描いた『遊郭編』が約5時間にわたって放送される。Aimerが歌う『遊郭編』のOP主題歌「残響散歌」は、これまでの『鬼滅の刃』の主題歌の雰囲気とはまた異なる、ブラスやピアノの煌びやかな音を取り入れたアッパーチューンだ。空前のヒットとなった「紅蓮華」「炎」の次なる曲であること、かつ当時LiSA以外のシンガーによる初の主題歌担当だったということもあって、「残響散歌」へのハードルは相当高くなっていたが、蓋を開けてみればそんな心配を軽々と超える“強さ”を見せつけた形となった。
遊郭の舞台である夜の街の艶やかで煌びやかな雰囲気と、Aimerのハスキー気味な無二の歌声がマッチしている楽曲であり、オープニングにぴったりな疾走感や爽快感も内包。『遊郭編』の主要人物でもある音柱・宇髄天元を彷彿とさせる、音に関するワードを散りばめた歌詞も必見だ。