椎名林檎、back number、LE SSERAFIM、SUPER BEAVER、Tele、LIL LEAGUE……注目新譜6作をレビュー
SUPER BEAVER「主人公」
6月20、21日に千葉・ZOZOマリンスタジアムで20周年記念ライブを行ったSUPER BEAVER。この公演でも披露された新曲「主人公」は、SUPER BEAVERが一貫して届けてきた思いをさらに前に進める楽曲だ。人生の道は人それぞれで、いろんなことがあり、喜怒哀楽をたっぷり感じながら今がある。どれがいいとかよくないということではなく、その全てに価値がある――そのことを4人は〈世界の中心は 何時だって自分だよ〉というフレーズで証明してみせる。ギター、ベース、ドラム、ボーカル、弦楽器、管楽器がそれぞれの存在感を発揮しながら、一つの楽曲を成り立たせる構成も「主人公」のメッセージ性と強くリンクしている。リスナー自身が自らの生活や人生を重ねられる余白があるのもいい。(森)
Tele「硝子の線」
アニメ『タコピーの原罪』(TBS系)エンディングテーマとして書き下ろした「がらすの線」は、ほんの1分程度、ピアノ弾き語りの小品だが、それを本人が再度アレンジして壮大なバラードへと発展させたのがこちらの「硝子の線」となる。歌詞は大幅加筆、ピアノ以外にドラム、ベース、ギターが加わり、本人の多重録音とおぼしきコーラスパートも増えた。当然奥行きと深みは出るが、人の手が増えて賑やかになった印象は皆無。むしろTeleが持つ孤独、今にも消えてしまいそうな息苦しさがより色濃くなっているのはすごい。作品にはvqリミックスバージョンも収録されており、どこまで行っても他者と上手く交われない三者三様の世界が味わえる。(石井)
LIL LEAGUE「真夏ノ花火」
LIL LEAGUEの5thシングル表題曲「真夏ノ花火」は、切なくも愛おしい夏の恋愛模様を描いたミディアムチューン。ダンスホールレゲエ、HIPHOP、R&Bといったファクターが有機的に絡み合うトラック、日本的な情緒を滲ませるメロディラインやフロウ、そして、“真夏の花火大会”を想起させるエフェクトが溶け合うサウンドプロダクションがとにかく秀逸。決して派手さはないものの、聴き返すたびに深みが増していくような手触りがある。感情を爆発させることなく、しっかりと抑制を効かせながら歌詞の世界観をじっくりと描き出す歌とラップからは、メンバーの確かな成長ぶりを実感できるはずだ。初めてドラマシーンを取り入れたMVにも注目してほしい。(森)