乃木坂46 中村麗乃&日向坂46 富田鈴花が“歌”で切り拓いた自らの居場所 それぞれが描く卒業のステージへ

 中村と富田という二人のアイドルはそれぞれ、異なるグループ文化の中で、歌声を通じて自らの居場所と役割を切り拓いてきた。中村が、舞台を通じて“歌えるアイドル”としてのポジションを築いたことは、グループの多様性を象徴する一例と言える。富田は、ムードメーカーとして存在感を示し、その上で音楽的才能を発揮。バラエティと音楽、両軸で評価された点に、彼女らしい活動の幅広さが表れている。

 卒業セレモニーの形式にも、それぞれの道のりが如実に反映されていると思う。中村はソロ形式のセレモニーで旅立ちを宣言し、富田は配信ライブとソロコンサートという“二幕構成”で自らのキャリアにふさわしいフィナーレを演出する。

 彼女たちにとって“歌”は表現の軸であり、その声ひとつで自身の存在を証明してきた。中村と富田が卒業という形で見せるステージは、積み重ねてきた時間の結晶であり、これから始まる新たな物語の第一章でもある。いずれも、ソロ形式や生バンドといった特別な演出が施されており、それはグループの一員としての別れであると同時に、一人の表現者としての宣言のようにも取れる。そこに込められるのは、これまでの道のりを見てきた者たちへの感謝と、これから歩む道への覚悟。歌で証明してきた彼女たちが、最後にどんな声を響かせるのか――。筆者もいちファンとして、アイドル人生最後の勇姿を見届けたい。

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