上國料萌衣の歌声はアンジュルムもファンも輝かせる “まっキラ”な未来を照らす卒業公演レポ

アンジュルム 上國料萌衣卒業公演レポ

 上國料萌衣が約9年半所属したアンジュルムを卒業した。3代目リーダーとしてグループを牽引し、多くの人に笑顔を届けてきた彼女の卒業公演『アンジュルム 10th Anniversary tour 2025春 「桜梅桃李」 上國料萌衣 FINAL ~お先はまっキラ!~』が6月18日横浜アリーナにて行われた。

 上國料は近年のハロー!プロジェクトにおいてもかなり毛色の異なるメンバーだった。「モーニング娘。'14 <黄金(ゴールデン)>オーディション」を受け落選し、その後ハロプロ研修生に加入することなく、一度ハロー!プロジェクトから離れるものの、その後アンジュルムの「大器晩成」を聴いて「2015アンジュルム新メンバーオーディション」を家族に内緒で受け、ただ1人の合格者となった。スマイレージからアンジュルムに改名し、歩き始め軌道に乗ってきたグループをさらに加速させるためのピースとして、上國料はこの船に乗り込むことになる。

 澄み渡るようなクリスタルボイスと垢抜けたビジュアルで加入当初から注目を集めた上國料は、その期待に十分に応える結果を残した。2021年にマクドナルド「マックフルーリー」のCMに単独で登場するなど、ハロー!プロジェクトの枠を超える活躍をソロで見せ、ファッション誌にも多く登場。アイドル業に加えタレント・モデルとしても活動し、まさにグループの顔としてアンジュルム、ひいてはハロー!プロジェクトの大きな玄関口として尽力してきた。

 そんな上國料の新しい門出に準備された舞台は横浜アリーナ。アンジュルムでは直近で竹内朱莉や佐々木莉佳子の卒業コンサートでも立った舞台だが、これまでの彼女の活躍を考えると、12000人が収容できるアリーナ公演はむしろ狭すぎるほどだ。全国88カ所と台湾での映画館でのライブビューイングも含めて、多くの人が上國料を見送るべくアクアブルー一色の客席が開演を待っていた。

 1曲目に披露されたのは「次々続々」。上國料のデビューシングルだ。〈どんな君でも 私は大丈夫/行って おいで/ゾクゾクさせてやれ〉は加入してからずっと上國料がファンの背中を押してきた歌詞だが、今回はファンが彼女の背中を押す番だ。その後も「Uraha=Lover」など、どこか可憐な雰囲気をまとった上國料らしいセットリストが続く。

 続くMCでは上國料が今日集まったファンにお礼を言うとすぐに曲が振られ、最新シングルより「アンドロイドは夢を見るか?」へ。ここのブロックでは「RED LINE」や「愛・魔性」など、神々しさや美しさを感じる楽曲が続く。上國料が加入した当初に見られていたパワフルなアンジュルムとは異なる、メンバー全員のカリスマ性が炸裂する様子は上國料がグループにもたらした色の一つだ。

 ダンストラックは、グループ全体のスキルの高さを感じさせるものになっていた。ビジュアルだけじゃない、歌だけじゃない、全てができてアンジュルムなのだというグループのプライドを感じさせる、鋭さの感じるステージだった。

 VTRを挟み「大器晩成」ではファンのボルテージも一段と上がる。「ええか!?」など、客席と一体になって盛り上がるような楽曲を披露したかと思えば「初恋、花冷え」「忘れてあげる」ではグッと楽曲の世界観に引き込み、横浜アリーナという大きな会場を自分のものにして歌いこなす様子が見られた。

 MCを挟んだラストスパートでは、台詞からはじまる「人生、すなわちパンタ・レイ」を披露。「美々たる一撃」「アイノケダモノ」とアンジュルムらしい“強さ”を感じさせる楽曲はきっと卒業する上國料自身にもこれから力を与えるようなものになるはずだ。最後は「友よ」を歌い、ハッピーな雰囲気のなかで一度コンサートは幕を下ろす。

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