櫻坂46らしさを纏った四期生の初陣 未完成の原石たちが示した“いま、わたしたちに、できること”の答え

櫻坂46 四期生ライブの衝撃、激動の初舞台で咲いた9つの想い

 この四期生初ライブにおけるハイライトのひとつは、彼女たちにとって初めてのオリジナル曲「死んだふり」の初パフォーマンスであることは間違いない。メンバー一人ひとりにスポットライトが当たっていき、最後に中央に立つ山田が照らされると、「私たち櫻坂46 四期生に最初にいただいた楽曲です」を合図に「死んだふり」の楽曲パフォーマンスがスタート。床に寝そべったりステージを駆け回ったりと、全身を大きく使った激しいパフォーマンスは「これぞ櫻坂46」といった作風で、がむしゃらになってすべてを出し切ろうとする彼女たちの姿勢は――ショートカットの山田がセンターに立つというビジュアル的要因も影響したのだろうか――かつての一期生のデビュー時とも重なるものがあった。と同時に、「夏の近道」でデビューを飾った三期生とも異なる雰囲気を醸し出していることにも気付かされ、今後グループに新たな風を吹かせることになるであろうことは想像に難しくなかった。

山田桃実

 この日のライブにおけるもうひとつのハイライトは、四期生が合宿の課題曲として向き合ってきた「静寂の暴力」ライブ初披露だろう。『櫻坂46 四期生物語 ーいま、わたしたちに、できることー』を通じて、この楽曲への理解を深めながらパフォーマンスの精度を高めていった彼女たちだが、1万人以上の観客を前にどんな“答え”を導き出すのか。三期生が披露する際と同様、客席のペンライトが次々と消灯されていき、限られた灯りの中だけで9名は渾身のパフォーマンスを繰り広げていく。

 合宿中は歌声について指摘の多かった彼女たちだったが、この日はセンターの佐藤を筆頭に息を切らしながら、“心の叫び”のような歌声を響かせることに。前曲「死んだふり」以上のがむしゃらさと感情のすべてをぶつけるその様は、全身全霊と呼ぶに相応しい内容であり、合宿期間からの数カ月でここまで成長したのか……と、筆者は正直圧倒された。もちろんこれは筆者だけではなく、その場にいたBuddiesも同様だったようで、パフォーマンス後には拍手がなかなか鳴り止まなかった。

 最後の曲に突入する前に、メンバーが思い思いの言葉で決意表明を述べていく。櫻坂46に加入したことで自分のことを少しは愛せるようになった浅井、今はまだ未熟だが必ず将来“立派な羽根”を手にいれることを約束した稲熊、かつての自分がそうだったように今度は自分が誰かの頑張るきっかけになりたい勝又、先輩が作ってきた伝統に新しい風を吹かせられる存在になりたい佐藤、努力することの嬉しさを身を持って実感できた中川、「私は皆さんの味方であり、一生あなたのアイドルであることを誓います」と力強く宣言した松本、自分なりの表現で誰かを感動させられるようになりたい目黒、この活動を通じて同期と過ごす毎日が愛おしくなっていった山川、「人見知りで負けず嫌いで、人付き合いが苦手で硬い性格」の自分に対して少しは自信を持てるようになった山田。9名が客席に向けて真剣な眼差しで思いを届け終えると、浅井は「私たち櫻坂46 四期生9名はそれぞれが熱い思いを胸に抱いて、今ここに立っています。まだまだ未熟な私たちではありますが、手を取り合って進んでいきますので、応援をよろしくお願いします」と締めくくる。

 そして、ラストナンバーとして用意されたのは「I want tomorrow to come」。イントロのピアノの1音でどよめきの声が上がる中、「死んだふり」「静寂の暴力」そして決意表明を経て覚悟の決まった9名は、魂の叫びのような歌声をこの楽曲にぶつけていく。正直なところ、体力的にバテているように映るメンバーもゼロではなかったが、それでも一切手を抜くことなく、限界の向こうを目指してパフォーマンスし続ける彼女たちの姿は、すでに“櫻坂46”そのもの。この初ライブを通じて、彼女たちは真の意味で櫻坂46になれたのではないだろうか。

 アンコールでは、ライブのエンディングには欠かせない「櫻坂の詩」で大団円を迎える。中心に立つ浅井が広い会場を見渡し、涙を浮かべながら歌を届ける姿にこちらの涙腺も刺激されたが、最後は彼女の「櫻坂46 四期生9名、私たちが掲げたスローガン『団結』『圧倒』『咲き続ける』を胸に、大好きな櫻坂46のメンバーの一員として先輩たちのような素敵な存在に早くなれるように、これから努力していきます!」というメッセージとともに、2時間にわたるお披露目イベントは幕を下ろした。

 イベント終了後には、スクリーンにて「死んだふり」MV公開についての詳細や、7〜8月に東京ドームおよび京セラドーム大阪で開催される『櫻坂46 5th TOUR 2025 “Addiction”』に四期生も出演することを発表。さらにそのあとには、来場者を四期生9名がお見送りする機会も設けられた。

 まだまだ未完成と言わざるを得ない四期生だが、現時点ですでに“櫻坂46らしさ”を身に纏っていることからわかるように、先輩たちの背中を見ながら歩んでいくことで徐々に洗練されていくことだろう。そのスピードはもしかしたら三期生の時よりも急速なものかもしれない。もちろん、次のステージが早くも東京ドームや京セラドーム大阪という大舞台であることから、否が応でも急成長が求められる現実も大きいだろう。しかし合宿期間を経て、このイベントから数日後に公開された「死んだふり」のMV、そして今回の初ライブと非常に短い期間でここまで進化していることを踏まえても、四期生がここから予想もつかないほどの進化を遂げるであろうことは想像に難しくない。と同時に、そんな頼もしい後輩たちを前に、初めて先輩になった三期生がどんな刺激を受けるのか。そして、先頭に立ってグループを引っ張る二期生にもどのような影響を与えるのか。この秋にグループ結成5周年という節目を迎える櫻坂46は、今後も我々に見たことのない未来を見せてくれそうだ。

<ライブパート セットリスト>
00. Overture
01. 自業自得
02. ドローン旋回中
03. 死んだふり
04. 静寂の暴力
05. I want tomorrow to come
アンコール
06. 櫻坂の詩

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