水曜日のカンパネラ 詩羽&ケンモチヒデフミに聞く、充実した活動の中で確立された現体制の“らしさ”

リアルサウンドが、音楽家・クリエイターをサポートする一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)とコラボレーションし、アーティストのインタビューをお届けする「Spot “Rights” powered by JASRAC」。今回は、水曜日のカンパネラより詩羽(二代目主演・歌唱)とケンモチヒデフミ(作詞・作曲・編曲)が登場。詩羽の加入後初となる日本武道館単独公演が行われた時期を起点に、数々のタイアップ楽曲での取り組みや初のホールツアー、詩羽とケンモチそれぞれのソロ活動など、大充実の1年を経た水曜日のカンパネラの今について二人に話を聞いた。(編集部)
武道館からホールツアーまでライブで経験した“初” ソロ活動での気づきも
——まずは2024年の水曜日のカンパネラの活動を振り返ってみたいと思います。昨年3月に詩羽さん加入後、初の日本武道館単独公演『~METEOR SHOWER~』が開催されましたが、お二人にとってはどんなライブでしたか?
ケンモチヒデフミ(以下、ケンモチ):始まる前は「これまでの集大成的なライブにするぞ」という気合いがあったんですけど、終わってみたら、ぽかぽかした雰囲気のイベントになったなと。こちらからライブを見せるというより、「みんなで一緒に集まって、楽しいことをやろう」みたいな身内感がある空間だったと思います。1年以上前のライブですが、もっと昔の出来事のような感じがします(笑)。
詩羽:私は普段と変わらなかったですね。武道館は大きな会場ですけど、そのことは意識せず、いつも通りのライブをやろうと思っていたので。ただ演出も盛りだくさんだったし、結果的に「今まででいちばん楽しかったな」と思えるライブになりました。自分としても納得できるパフォーマンスだったし、たくさんのお客さんが集まってくれて、一緒に大きな声を出してくれて。たくさんのパワーや愛をいただいて、楽しい思い出になりました。
——水曜日のカンパネラをやっててよかった、と改めて実感できるライブでもあったのでは?
詩羽:そうですね……。
ケンモチ:言い淀んでる(笑)。
詩羽:(笑)。そこまで重く受け止めてないんですよ。友達と「あの日、楽しかったねー」って喋ってるくらいの感じというか。
——いい意味でフラットに捉えているんでしょうね。昨年6月に3rd EP『POP DELIVERY』をリリース。その後も「シャルロッテ」(ロッテ・ガーナチョコレートCMオリジナルソング)、「願いはぎょうさん」(映画『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』主題歌)、「動く点P」(Amazon Originalドラマ『【推しの子】』第7話主題歌)などタイアップ曲を続々と発表しました。
ケンモチ:まずは「ありがたいな」ですね。いろんなタイプの曲を作れるし、これまで水曜日のカンパネラに触れてこなかった人たちに聴いてもらえる機会も増えているのかなと。一方でタイアップ曲の難しさも感じていて。それぞれにテーマがあるんですけど、どこまで水曜日のカンパネラらしさを出せばいいか、バランスで悩むこともあるんですよ。そのなかで新しい切り口を試したり、いろいろとトライできたのかなという気がしますね。
詩羽:いろいろな曲がありますけど、共通して言えるのはポップスであるということ。そこが水曜日のカンパネラのポイントなのかなって思ってます。
——そして今年の1月から4月にかけて初のホールツアー『水曜日のカンパネラ プレミアムライブ2025』を開催。
ケンモチ:すごくいい機会になったと思います。今まではライブハウスが中心だったんですけど、ホールツアーは“椅子アリ”で、じっくり聴いてもらえる場面もあって。演出を含めて、「水曜日のカンパネラとホール公演、けっこう合うな」と。特に親子連れの方は見やすかったんじゃないかなと思いますね。
詩羽:ライブハウスのいいところは密集しているなかで盛り上がれることだと思うんですけど、ホールは客席が段差になっているので、みんなの顔がちゃんと見えて。しっかり目が届くからこそできるコミュニケーションがあるなって感じたし、パフォーマンスにも活かされていたと思います。

——ファンと直接向き合えるライブは、詩羽さんにとっても大切な場所なんですね。
詩羽:そうですね。私は歌うのが好きで。それを聴いてくれる人たちが集まっている空間は不思議だなって思うんですけど、その時間は本当に楽しいし、お客さんも楽しそうにしてくれてありがたいなって思います。
ケンモチ:ツアーも結構やってるんですけど、(詩羽の)声の調子が悪そうだなと感じたことがなくて。フィジカルの強さもあるんだと思うし、MCを含めて、ライブの盛り上げ方や進め方も上手くなってるなと思いますね。
詩羽:いろんな場所でライブやってますからね。あと、私はもともと体が強いんですよ。よっぽど仕事が入ってない限り、体調や喉の調子が悪くなることはないですね。
——それも大事な資質だと思います。詩羽さんはソロ活動もスタートさせ、1stアルバム『うたうように、ほがらかに』を発表しました。
詩羽:自分のことは表現できたのかなと思います。あれがすべてではないし、「これが本当の私らしさです」というわけでもないんですけど、水曜日のカンパネラとは違う方向で、自分を表現できる一つの手段としてソロがあるのかなって。あと、バンドをやっている時間がシンプルに楽しいんですよ。それは私にとってすごくいいことだし、心の健康につながってるのかなと。
——ソロ=バンド活動というイメージもあるんですね。ロックサウンドがルーツなんですか?
詩羽:小さい頃からいろんな音楽を幅広く聴いていたので、これがルーツ、っていうものは何もないです。でも、聴いていたのは、J-POPと邦ロックが多かったのかな。学生時代に軽音楽部に所属していて、邦ロックのコピーバンドをやったりしていたので。
——俳優としての活動も増えていますが、それもやりたいことの一つだった?
詩羽:やってみたら楽しかったし、続けさせてもらってます。気負いみたいなものはなくて、どの役も楽しいし、共演の方々やスタッフのみなさんと一緒に現場で作り上げていけるのもいいなって。

——詩羽さんが出演した映画『パリピ孔明 THE MOVIE』のエンディングテーマ「Sing along!!!」のアレンジはケンモチさんが担当。
ケンモチ:作詞・作曲は幾田りらさんなんですけど、『パリピ孔明』のキャラクターも反映されている“友情コラボレーションソング”という感じの曲で。「ケンモチさんらしいサウンドでお願いします」というオファーだったんですが、また新しい感じのコラボレーションができたのかなと。
詩羽:shin(詩羽が演じた役)の声質も使っているんですけど、「Sing along!!!」はわりと私らしく歌いましたね。崎山蒼志くんが提供してくださった楽曲(劇中歌「again and again」)は完全にshinとして歌ってるんですけど、それとは少し違いました。
——俳優の活動によって、歌の表現も広がっているのかも。ケンモチさんは直近では「布袋尊」(ROF-MAO)など他アーティストへの楽曲提供も行われていますね。
ケンモチ:もちろん1曲1曲打ち合わせをして制作していますが、提供曲の場合も、自分に求められていることは何だろう? というのがポイントなのかなと。そこを見誤ると大変なので、いつもすごく考えながらやっていますね。「これはおもしろを求められているんだろう」と思って一歩踏み出たおもしろをやると、そうじゃなかったなって時があったり、逆にアーティストさんにこちらが合わせる形で世界観を守った曲にすると、もっと踏み出してもらってよかった、となったり。水曜日のカンパネラの塩梅ならわかるんですけど、他のアーティストさんの場合は、手綱をどこまでひいていいのか、打ち合わせの後にも「あれはどういう意味だったんだろう」と常に考えるようにしています。
——なるほど。TK from 凛として時雨の「Microwaver」にはプログラミングで参加。ケンモチさん、TKさんのセンスがしっかり反映された楽曲になっています。
ケンモチ:ありがとうございます。昔からTKさんのファンだったので、お話をもらったときは「いいんですか?」という感じでした。制作の段階からいろいろ話をさせてもらって、「電子レンジの曲はどうですか?」と(笑)。いい経験になりましたね。



















