新生・日向坂46による文字通りの“BRAND NEW LIVE”を観た 今後への期待が確信に変わった一夜
5月27日に新メンバー・五期生の『おもてなし会』(※1)を終えた直後の“新生”日向坂46が早くも単独ライブ『日向坂46 BRAND NEW LIVE 2025「OVER THE RAINBOW」』を5月28日、29日に国立代々木競技場 第一体育館にて開催した。
『日向坂46 BRAND NEW LIVE 2025「OVER THE RAINBOW」』すべての写真を見る(全37枚)
今年4月5日、6日開催のアニバーサリーライブ『6回目のひな誕祭』(※2)で佐々木美玲&佐々木久美、4月30日、5月1日開催の『13th Single ひなた坂46 LIVE』で高瀬愛奈と、“最後の一期生”が全員卒業し、新たな仲間=五期生を迎えて初めて臨む全体ライブ。グループとしてのライブ開催間隔が非常に狭いだけにマンネリ化も懸念されたが、そんなこちら側の不安を完全払拭するくらいに、“新生”日向坂46は文字通り“BRAND NEW LIVE”を我々に提供してくれた。なお、本稿では2日目の公演について記していく。
「Overture」に続いて会場が虹色のレーザーで照らされると、ステージ後方のLEDスクリーンが上昇してメンバーが登場。これと同時に、ライブは「青春の馬」からスタートする。新衣装を身に纏い、二期生から五期生までの総勢30名による“新生”日向坂46は、がむしゃらさを前面に打ち出したひたむきなパフォーマンスを届けていく。安心感の強いセンターの小坂菜緒は笑顔を浮かべ、頼もしさや自信がみなぎっているようにも見て取れ、そこにはかつて憧れた一期生がいなくなった日向坂46を「自分が先頭に立って引っ張っていくんだ」という強い意志も伝わってくる。歌詞のテーマやこの曲が持つストーリーを含め、“新生”日向坂46の1曲目に選ばれた意味もおひさま(日向坂46ファンの総称)はしっかり感じ取ることができたはずだ。
短いMCを挟んだあとは、二期生から四期生までの20名で「海風とわがまま」「一生一度の夏」「真夜中の懺悔大会」とポジティブな楽曲が続く。「一生一度の夏」は一〜三期生による全体曲、「真夜中の懺悔大会」は一期生による期別曲だが、こうして残されたメンバーたちが歌い継ぎ、かつ新たな形で表現していくことで、楽曲本来が持つ物語に新たな側面が追加されていく。過去をただ大切にするだけでなく、「未来へと繋ぐために新しいストーリーを自分たちで作り上げていくんだ」という前向きさは、現メンバーのそれでも歩いていかなくてはいけないという姿勢そのものではないだろうか。
以降も13thシングルのひなた坂46メンバーによる「あの娘にグイグイ」で、エネルギッシュなライブの流れを引き継ぐ。センターの富田鈴花にとっては、おそらくこの日が卒業前最後の有観客ライブとなるわけだが、感傷的な空気を一切感じさせないほどパワフルな歌とダンスで目の前のおひさまを魅了し続け、彼女に負けじと新キャプテンの髙橋未来虹をはじめとするメンバーたちもよく通る声で歌声を響かせる。
その後も小西夏菜実、清水理央、宮地すみれによる「あのね そのね」、金村美玖、髙橋、山口陽世、平岡海月による「どこまでが道なんだ?」といったユニット曲が連発。彼女たちはメインステージやアリーナ中央のサブステージなどを巧みに使い、小細工なしのド直球なパフォーマンスで観る者を魅了。日向坂46のライブというと、ミュージカルチックでストーリー性の強い演出を含む構成が印象的だが、この日は純粋に歌とダンスと“ステージに立つメンバー”という至極シンプルな形でステージが展開されていく。
ムーディなSEに乗せて金村が華麗なソロダンスを披露したのに続いて、それまでのアッパーで元気いっぱいな空気を彼女がセンターに立った「月と星が踊るMidnight」で一変。エモーショナルさと前のめり感が印象的なパフォーマンスは、どこかけやき坂46と印象が重なるものがあり、しっかり過去を踏襲しながら今に繋げていることも伝わる。かと思えば、チアダンスをフィーチャーした「アザトカワイイ」ではセンターの松田好花を中心に、オリジナルの振り付けを踏襲した可愛らしいダンスで再び場の空気を変えていく。
さらに、小坂チームと金村チームに分かれたメンバーが、4つ打ちビートで繋いだ「キュン」「ってか」をメドレーで立て続けに披露。ダンサブルさが強調されたアレンジは、観る側の高揚感を急上昇させるに最適で、最後は「君しか勝たん」で2組が合流して10分近くにおよぶ豪華なメドレーを締め括った。日向坂46にとってこういったアレンジのメドレーは珍しい試みかもしれないが、こうしたチャレンジも新体制による“リスタート”ならではと言えるだろう。