PSYCHIC FEVERはなぜ北米でも受け入れられた? 現地の熱狂を生み出す“グローバルアーティスト”としての資質

PSYCHIC FEVERのメンバーが持つ個性も強みに

ーー前回のインタビューで伺ったことと一貫性があり、確かに東南アジアでの経験が今回のツアーの成功に直結していますね。

石井:バンコクでライブをして、翌日ジャカルタでフェスに出て……というのは、移動時間は3時間ぐらいですが、仏教の国からイスラムの国に行っているわけですから、やはり文化の違いをリアルに体感できているのは大きいですよね。あとPSYCHIC FEVERは、訪れた国の小学校、中学校、高校、大学などで、子どもたちにダンス教室を開催していて、LDHならではのダンス交流もメンバーにとっては現地を知るための良い勉強になっていると思います。

ーーカウボーイの本場・テキサスでは剣さんのファンが多く見られた、というお話も面白くて、メンバーの個性が都市ごとにアプローチを変えていける引き出しの多さにつながっているのではと。

石井:それぞれの国や都市で活躍できるメンバーがいるのはおっしゃるようにPSYCHIC FEVERの強みで、多様性をしっかり活かすことができていると思います。JIMMYがいるだけでK-POPも含めて他のボーイズグループとは違いますし、昨今センシティブにならざるを得ない「黒人文化の盗用」のようなことも言われなくて。WEESAはモロッコにルーツがあり、アラブ系のメンバーがいるというのも珍しいと言われます。半田龍臣は見た目はかわいいのにダンスは激しかったり、ボーカル、ラップ、ビートボックスという廉の多才さ、リーダー的存在でまとめ役の椋雅はDJなど、志は圧倒的にボーカルが評価されていて今後の成長に期待されていたり、7人それぞれのキャラクターの特徴が受け入れられています。

ーーブルーノ・マーズのバンド、The Hooligansのリード・キーボーディストで、ライブアレンジャーのジョン・フォシット氏を起用するなど、音作りにもこだわりました。

石井:ジョンが音作りもすべて監修してくれて。これまでのPSYCHIC FEVERは、ライブでもオリジナル音源をアレンジしていましたが、グッド・パフォーマンスではなく、グレイト・パフォーマンスでなければアメリカでは通用しないと。ライブはやはりその都市、その会場、お客さんに合わせたバイブスにしないといけないし、理想的にはそこでしか聴けない音、体験できないステージにすべきだと。ただ、今回のPSYCHIC FEVERのUSツアーの規模感ではバンドは入れられない。それならば、事前にライブ用のアレンジ音源を日本で作っていこうとジョンが提案してくれて。その音源によって、USツアーではPSYCHIC FEVERの魅力を最大限発揮するパフォーマンスができたのではないかと思います。LA公演ではブルーノ・マーズの仕事もあるなかでジョンが時間を割いて出演してくれて、ジョンのキーボードでより魅力的なパフォーマンスになりましたし、とても感動しました。今後は早くバンドを入れられたらなと。間違いなく表現の幅も広がっていくと思いますので。メンバーたちもアメリカの本物のアーティストやミュージシャンたちから学ぶことは多くて、その意味でもワーナーミュージック・グループとのグローバルレーベル契約を締結した意味は大きいですね。

PSYCHIC FEVER - 'Just Like Dat feat. JP THE WAVY' Stage CAM @ U.S. TOUR 2025 in Los Angeles

ーーライブでは日本語パートも大合唱でした。特に盛り上がったのはどんな曲でしたか。

石井:音楽関係者を含めて、現地で評価が高いのはJP THE WAVYさんとNINOさんが作った曲が多いですね。「Just Like Dat」、「Temperature」、「What's Happenin'」、「BEE-PO」、「TALK TO ME NICE」などメンバーたちを理解して作ってくれて、一人ひとりのいいところをちゃんと引き出してくれいるので、それが良いパフォーマンスになり評価にもつながっているのかなと。それこそ、タイに行って最初にNINOと楽曲を作ったとき、デビューしたての若いアーティストであるにも関わらず、アーティストとして扱って、一人ひとりと話をしながら思いを汲み取って、歌詞にもその要素を入れるし、メンバーと一緒に曲を作ってくれました。JP THE WAVYさんもPSYCHIC FEVERの可能性を理解してくれてますし、こういう作り方をした楽曲は一人ひとりの特徴をうまく引き出してくれていてライブでのパフォーマンスもより良く伝わっているのかなと。

アジアのアーティストとして各国で高評価「どんな環境でも対応する力は鍛えられた」

ーーメンバーそれぞれが持つバイブスや音域も含めて、力を出し切れる楽曲になっていることが大きいと。アメリカツアー後、3月には『2025 SXSW』にも出演していますが、そこでも評価が高かったそうですね。

石井: “アジアの注目アーティスト”ということで、アジアアーティストを紹介するオフィシャルショーケース『Friends From The East Showcase』のヘッドライナー出演となりました。出演を発表したときも『SXSW』のオフィシャルが「The electrifying J-Pop group PSYCHIC FEVER」(衝撃的なJ-POPグループ・PSYCHIC FEVER)とフックアップしてくれて。現地のPR担当が言うにはこれは異例のことだそうで、アメリカで活動し始めたアーティストが『SXSW』に出演することは、『コーチェラ・フェスティバル』に出演するのと同じぐらい意味のあることで本当にすごいことだと多くの関係者に言われました。近年では、『SXSW』から『コーチェラ』出演の流れがアーティストがスターになっていく流れだそうで、PSYCHIC FEVERもそうなれたらいいなと思います。

 『SXSW』では2つのショーケースに出て、ひとつは屋外の7人ギリギリ乗れるようなステージでしたが、コンベンションセンターの近くで人通りも多く、目につく場所だったのでダンスなしの歌唱だけでしたが多くの方が集まってきて。セットリストもステージに合わせたもので臨み盛り上げられたので、その盛り上がりを見てさらに多くの人が集まる、という感じで、いいプレゼンテーションになったのでは。

 もう一つのアジアのアーティストを集めたショーケースはライブハウスで行われて、こちらもいつものPSYCHIC FEVERの客層とは違い、業界関係者や白人の男性が多いなかでしたが、パフォーマンス力、爆発力、オーディエンスの雰囲気を見て盛り上げる瞬発力などライブをコントロールする力や、普段のステージとは違うフルのパフォーマンスが難しいなかでも、そこでできるベストを尽くすというメンバーたちの姿勢も、関係者やメディアからも高い評価をいただきました。

 東南アジアでは行ってみたらほぼ何もないバスターミナルのような環境でもライブしていましたし、想定外の劣悪な環境でもパフォーマンスをする、という経験を積んできたことが大きいと思います。日本での「武者修行」の比ではない過酷さでしたし、しかも、日毎に国が変わったりで、どんな環境でも対応する力はかなり鍛えられたなと。世界で楽曲がヒットするだけではなく、やはりさまざまな国でそれぞれの環境にきちんと対応して、いいパフォーマンスできることがグローバルアーティストとしての資質であり、条件になるのかなと改めて思います。数多くいろんな国に行きましたが、日本が間違いなく最高に恵まれた環境なので、それを当たり前だと思わないことですよね。

ーーPSYCHIC FEVERの姿を見ていると、グローバルアーティストというのは最大公約数的に誰にでも受け入れられるパフォーマンスをするものではなく、おっしゃるようにローカルに合わせていく対応力がある、というイメージが伝わってきます。

石井:そうですね。またステージのパフォーマンスだけでなく、『SXSW』でもカナダやメキシコのメディアからの取材も受けていて、その対応もうまくできたと思います。例えば、カナダの「HipHopCanada」ではインタビューとレポートが掲載されていて、「彼らは一瞬たりとも無駄にせず、グローバルJ-POPの最前線に立つ理由を観客に見せつけた」と書いていただいて。「Just Like Dat」だけでなく、「Paradise」や「What’s Happenin’」も含めて、「爆発的な反応を見せているこれらの楽曲は、メンバーたちの抜群のシナジーを体現するものだ。エネルギッシュなダンスブレイクから、ソウルフルなボーカルパートまで、すべてが意図的で緻密に構成され、完璧な仕上がりでありながらも“生”の熱が込められたステージだった」と評価していただきました。

ーー6月18日に3rd EP『PSYCHIC FILE III』がリリースされます。(※配信リリースは5月30日)

石井:6月からのツアーのタイトルが『PSYCHIC FEVER LIVE TOUR 2025 “EVOLVE” in JAPAN』で、世界に向けてさらに進化していくんだという、PSYCHIC FEVERの新たな姿を見せられる楽曲になっていると思います。日本ツアーから世界へと『EVOLVE』というタイトルを掲げて継続していけるので、音の面でもパフォーマンスの面でも「進化」というところにチャレンジしています。

ーー新曲「Gelato」を先行して聴かせてもらいましたが、ボーカルの展開が多いなかで、日本のアーティストだとビルドアップで盛り上げていきがちなところをグルーヴを一定にキープしていたり、サビ前で音を抜いているのがオシャレですし、グローバルヒットを予感させます。

石井:そうですね。制作陣のコメントでも、あえて音を抜いて引き算で作っていったと。おっしゃるように、どうしてもサビに向けて盛り上げたくなってしまうけれど、そうしない。日本では異質ですが海外では好まれる形で、的確に読み取っていただいてありがたいですね。加えて、NINOが作ったまったく違うテイストの楽曲も収録するので、ぜひ楽しみにしていただきたいです。いずれも日本ではよく聴かれるタイプの曲ではありませんが、USツアーを終えて、“EVOLVE”しようとしていることが伝わるのではと。

ーー日本では玄人受けするタイプの楽曲が多いですが、確かに進化を感じます。

石井:『MUSIC AWARDS JAPAN』の開催など「J-POPを世界に」という動きが業界全体で盛り上がりを見せていますが、我々がアメリカで幾度となく言われたのが、「J-POPはアニソンで、サブカルカテゴリだ。K-POPもアイドルシステムに乗ったもので、メインストリームの音楽ではないという扱いをされている」ということでした。アニメは日本を代表する最高の文化の一つだと思いますし、アニメの世界観と合わせて届けられるアニメ楽曲もまた他の国にはない日本を代表する文化だと思いますので、そう言われるのは残念でもありますが、アメリカでもヨーロッパでも「PSYCHIC FEVERはどちらでもない」という評価を受けているので、この先も日本を代表してメインストリームに挑戦を続けていきたいと考えています。

ーーまずは日本ツアーですが、課題や意気込みはいかがでしょうか。

石井:PSYCHIC FEVERは海外の大熱狂&大熱唱のなかでやってきましたが、海外と比べると日本のファンの方はとてもシャイな方が多いですよね。それをメンバーのパフォーマンスでどれだけ海外と同じように熱狂させることができるか、大合唱を起こせるか。純粋にPSYCHIC FEVERの音楽を歌って踊って、本能を解放して楽しんでもらえるライブになったらいいなと思っています。PSYCHIC FEVERの名前の通り大熱狂を巻き起こすことが日本でも突き抜けていく上で大きな課題だと捉えています。まずは音楽を楽しみたい方たちに、海外アーティスト並みに注目してもらえるようにしたいです。たまたま今日からジョンが来日してLDHのスタジオに入っていますが、USツアーを超える内容になることを期待しています。ライブにいらっしゃる皆さんにはぜひ楽しみにしていてほしいと思います。

ーーさらに7月には、初のヨーロッパ、アメリカファンミーティングツアーが控えています。

石井:ヨーロッパでは、昨年に続き、パリの『Japan Expo』、そして、ドイツ・ベルリン、イギリス・ロンドンに行きます。USツアーでは6都市をまわりましたが、今回は初めて訪問する都市でボストン、フィラデルフィア、ヒューストン、アトランタ、オーランド、サンフランシスコとまわります。これまでの活動からもやはり現地で活動することで確実にファンになってくれる方が増えてきますので、SNSだけではなく、現地でも活動していくことで着実に世界中にPSYCHIC FEVERファンを増やして、ワールドツアーを開催できるようにメンバーと一緒に頑張っていきたいと思います。

 

■リリース情報
オリジナル3rd EP『PSYCHIC FILE III』
2025年5月30日(金)配信リリース
【ストリーミング&ダウンロード】
https://psychicfever.lnk.to/PSYCHICFILE3
2025年6月18日(水)PKGリリース

・初回生産限定盤A ※デジパック / スリーブケース仕様
形態:CD+Blu-ray
品番:WPZL-32203~4
価格:¥7,370(税込)
Blu-ray収録内容:
PSYCHIC FEVER ASIA TOUR 2024 ”HEAT” ライブ映像

〈封入特典〉
応募抽選用シリアルナンバー
フォトカードA(全7種中1種ランダム)

・初回生産限定盤A ※デジパック / スリーブケース仕様
形態:CD+DVD
品番:WPZL-32205~6
価格:¥7,370(税込)
DVD収録内容:
PSYCHIC FEVER ASIA TOUR 2024 ”HEAT” ライブ映像

〈封入特典〉
応募抽選用シリアルナンバー
フォトカードA(全7種中1種ランダム)

・初回生産限定盤B ※デジパック / スリーブケース仕様
形態:CD+Blu-ray
品番:WPZL-32207~8
価格:¥7,370(税込)
Blu-ray収録内容:
PSYCHIC FEVER FIRST U.S. TOUR 2025

〈封入特典〉
応募抽選用シリアルナンバー
フォトカードB(全7種中1種ランダム)

・初回生産限定盤B ※デジパック / スリーブケース仕様
形態:CD+DVD
品番:WPZL-32209~10
価格:¥7,370(税込)
DVD収録内容:
PSYCHIC FEVER FIRST U.S. TOUR 2025

〈封入特典〉
応募抽選用シリアルナンバー
フォトカードB(全7種中1種ランダム)

・通常盤
形態:CD
品番:WPCL-13650
価格:¥1,870(税込)

〈初回封入特典〉
応募抽選用シリアルナンバー
フォトカードC(全7種中1種ランダム)

・LDHオフィシャルSHOP限定盤 ※デジパック / 三方背BOX仕様、フォトブック
形態:CD+2Blu-ray
品番:WPZL- 60058~60
価格:¥13,200(税込)
Blu-ray収録内容:
【DISC-1】PSYCHIC FEVER ASIA TOUR 2024 ”HEAT”
【DISC-2】PSYCHIC FEVER FIRST U.S. TOUR 2025

〈封入特典〉
応募抽選用シリアルナンバー
フォトカードD(全7種類セット封入)

・LDHオフィシャルSHOP限定盤 ※デジパック / 三方背BOX仕様、フォトブック
形態:CD+2DVD
品番:WPZL- 60061~63
価格:¥13,200(税込)
DVD収録内容:
【DISC-1】PSYCHIC FEVER ASIA TOUR 2024 ”HEAT”
【DISC-2】PSYCHIC FEVER FIRST U.S. TOUR 2025

〈封入特典〉
応募抽選用シリアルナンバー
フォトカードD(全7種類セット封入)

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