Number_iは過去を背負って、現在を紡いで、未来へ向かう――最新作『GOD_i』全曲解説、6つのメッセージを解く

Frisco

 神宮寺プロデュースの「Frisco」は、彼のバイク愛があったからこそ誕生したことを感じさせる楽曲。もともとは都会の渋滞をすり抜けて速く走れるように生まれたというフリスコスタイルを、〈Ratsの様にすり抜けるNumber_i〉と、大衆のなかで独自路線を貫いて疾走する自分たちに置き換えたリリックが鮮やかだ。重々しく響くサウンド、挑発的なラップからも、孤高の存在感とそのかっこよさが滲み出ている。〈Frisco〉と〈ミネ フジコ〉で韻を踏むユニークな面も彼ららしい。

Psycho

 岸プロデュース曲で、岡嶋かな多とNumber_iの共作詞、Number_i作曲と、シングルではこの曲のみ体制が異なる。ハウスミュージック的なアプローチがNumber_iとしては新鮮だ。歌い出したくなるメロディに高揚感を誘うビート、〈脳内解放 頂戴 Psycho/Yea make it glow〉とリズミカルな言葉の数々から、聴き手が気持ちよく、ただ自然と音に身を任せられるようにという意図をもって作られのではないだろうか。声色を使い分けながら繰り広げられる3人のマイクリレーも心地好い。この曲がライブで披露され、オーディエンスの体を揺らす日を楽しみにしている。

HIRAKEGOMA

Number_i - HIRAKEGOMA (Official Visualizer)

 昨年12月2日に配信リリースされた『No.Ⅰ (Deluxe)』に追加収録された楽曲。シングルリリース日に行われたStationheadでのリスニングパーティーで、平野が「おふざけ込みでいいものを作るのが自分たちの強みかもしれない」という趣旨の発言をしていたが、「HIRAKEGOMA」もそんな彼らの強みが表れているように思う。おそらく多くの人が子どもの頃に一度は触れたはずの説話集にちなんだ歌詞、作中に登場する有名なセリフを冠した楽曲タイトルと、ユーモアがありながらも“扉を開ける”という前向きなメッセージが込められた楽曲は、まさしく私たちを笑顔にさせてくれる魔法のようだ。そして、意図したか否か、“時間”が鍵となっている表題曲を構えたシングルは、未来へと進むことを想起させるこの曲で幕を下ろすのである。

Number_iの音楽を支えるSHUN(FIVE NEW OLD)が語る、「ギリギリのラインを攻めることができる」理由と濃密な一年

Number_iの楽曲を多く手掛けるFIVE NEW OLDのSHUN。2024年の音楽シーンを沸かせた、影の立役者でもある彼は…

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Number_iが約30万人を動員した初めてのライブツアー『Number_i LIVE TOUR 2024 No.I』を完走。1…

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