工藤静香、「海燕」で名タッグ再び 中島みゆきによる名曲群、B'z 松本孝弘、玉置浩二ら豪華提供楽曲を辿る

 工藤静香が7月9日、中島みゆきの楽曲群をカバーしたアルバム『Love Paradox』をリリースする。工藤による中島のカバーアルバムは、2008年『MY PRECIOUS -Shizuka sings songs of Miyuki-』、2021年『青い炎』に続く3作目となる。

 
 
 
 
 
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 『Love Paradox』には、中島が新たに書き下ろした新曲「海燕」が収録されることも発表された。「海燕」は逆境に立ち向かってたくましく生きる姿を描いたパワーソングであり、工藤自身も「いただいた歌詞一語一句、メロディ一音一音、大切に歌わせていただきました」(※1)とコメントしている。往年の名曲とともに届けられる「海燕」は、工藤と中島が築いてきた縁の新たな結実と言えよう。

 2人のコラボレーションは、工藤のキャリアを語る上で欠かせない。「FU-JI-TSU」(1988年)は、工藤の楽曲として初めて中島みゆきが作詞を手掛けた作品である。続く「MUGO・ん・・・色っぽい」(1988年)はカネボウ化粧品のキャンペーン曲に起用され、工藤自身初の50万枚超えヒットとなった。

工藤静香 / MUGO・ん・・・色っぽい[Official Video]

 さらに「黄砂に吹かれて」(1989年)は「オリコンシングルランキング」で6週連続1位を記録し、「慟哭」(1993年)は自身最大のミリオンセラーに輝いている。これら5作のシングルはすべて「オリコンシングルランキング」で1位を獲得しており、作詞・中島×作曲・後藤次利のコンビが“強がるけれど、実は繊細な女性”(※2)という工藤のイメージを最大限に引き出し、多くのリスナーの共感を得た証と言える。この黄金タッグが工藤の歌手像を確立し、80年代末から90年代前半にかけてヒットチャートに名を刻んだのである。

工藤静香 / 慟哭[Official Video]

 こうしたコラボは形を変えつつ続いてきた。工藤の28枚目のシングル「激情」(1996年)は、初めて中島が詞曲ともに提供した作品として知られる。それまでの提供曲は主に作詞は中島によるもので、作曲は後藤が手掛けていたが、「激情」において中島は自ら作曲も手掛け、新境地のナンバーが誕生したのだ。

工藤静香 / 激情[Official Video]

 また2017年には、中島×後藤コンビによる22年ぶりの新曲「単・純・愛 vs 本当の嘘」が発表され、ベスト盤『My Treasure Best -中島みゆき×後藤次利コレクション-』に収録された。中島による楽曲提供は工藤の節目節目で重要な役割を果たしており、「MUGO・ん・・・色っぽい」以降「黄砂に吹かれて」や「慟哭」など数々のヒットソングでタッグを組んできた2人にとって、新曲「海燕」は実に約37年の時を経て紡がれる渾身の楽曲と言えるだろう。

B’z 松本孝弘、玉置浩二、岸谷香、スキマスイッチからの楽曲提供も

 中島以外にも、工藤はキャリアの中で多くの著名アーティストから楽曲提供を受けてきた。デビュー30周年を迎えた2017年には、12年ぶりのオリジナルアルバム『凛』をリリース。工藤は「応援してきてくれた人たちへの感謝の気持ちを示すためにも、全てゼロから作った曲で構成したかった」(※3)と語り、本作のための書き下ろし楽曲のみでアルバムを制作した。その意気込みに応えるように、制作陣も非常に豪華。作曲陣には玉置浩二、B'zの松本孝弘といったレジェンド級のミュージシャンが名を連ね、作詞には松井五郎に加え、作家の伊集院静も参加している。

 収録曲の中でも玉置が作曲した「ほとり」、松本が作曲した「蜜と棘」、岸谷香が作詞作曲した「Junk」は、それぞれ提供者の個性が色濃く反映されたナンバーだ。玉置による「ほとり」は繊細なバラードで、松本が手掛けた「蜜と棘」はハードなギターリフが印象的、岸谷による「Junk」は工藤に新境地をもたらすポップロックとなっている。同アルバムには若手クリエイターであるまふまふ提供の「禁忌と月明かり」も収録されており、世代やジャンルを超えた楽曲が揃っている。

 工藤は30周年以降も精力的に新たなコラボレーションに挑戦している。たとえば近年では、スキマスイッチとの共作「香雪蘭〜好きより愛してる〜」を2023年10月に配信リリース。作詞を工藤自身、作曲をスキマスイッチの大橋卓弥、編曲をスキマスイッチの常田真太郎が担当したこの切ないラブバラードは、大橋のコーラスも相まって美しいハーモニーを響かせている。

工藤静香 / 香雪蘭~好きより愛してる~(kousetsuran)[Official Video]

 また、遡れば2000年には、X JAPANのYOSHIKIが工藤に「深紅の花」を提供している(作詞は橘朋実名義)。本楽曲はドラマ『火曜サスペンス劇場』(日本テレビ系)主題歌としても使用され、YOSHIKIがプロデュースおよび作曲を手掛けた重厚なロックバラード。このように工藤の音楽史には、中島のみならず各時代を代表するアーティストたちとのコラボレーションが折り重なっている。

 新曲「海燕」を擁する『Love Paradox』は、工藤にとって中島からの新たなギフトであると同時に、長年にわたる2人の関係性を再確認させる作品となりそうだ。カバーアルバムという形式で中島の世界観を歌い継ぎながら、その中に新しい楽曲を据えることで、過去と現在が有機的に繋がっていく。かつて「MUGO・ん・・・色っぽい」から「慟哭」まで数々のヒットを生んだ名コンビが放つ久々の新曲に、往年のファンは期待を寄せずにはいられないだろう。中島ならではの視点で描かれた逆境に立ち向かう力強いメッセージを、工藤がどのように表現するのか。長年築かれてきた信頼関係が生んだ珠玉の楽曲が、今新たな感動をもたらそうとしている。

 
 
 
 
 
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