フレッシュさを強く感じさせるダイヤモンドダストの面々は、続けて「Cycle Of Sorrow」を披露する。アニメ第11話で、彼女たちが野外フェス『BAYCAMP』にてプレイしたこの曲で、その後の展開を予想したファンも多かったことだろう。ギターを抱えエネルギッシュなステージングを見せる近藤の姿は、髪型や衣装などその佇まいも相まって、ヒナがスクリーンから飛び出してきたような錯覚に陥る。だからこそ、演奏後にダイヤモンドダストの4人がステージ袖のトゲナシトゲアリの面々に向けて小指を立てる場面には、無条件にテンションが上がってしまった。

　このやりとりを経て、スクリーンには『BAYCAMP』でトゲナシトゲアリが立ったステージセットが投影されると、ドラムやベースのサウンドチェックが始まる。そして、朱李のベースソロ……先の2ndワンマンライブやその2日後に開催された『ATF 25th presents BAYCAMP 2024』でのステージ（※2）でも披露された、アニメ第11話のあの名シーンがここで再現されたのだ。もちろん、そこから続くのは「空白とカタルシス」。同エピソードで着用していた衣装に着替えた理名、夕莉、朱李はダイヤモンドダストのステージを目にしたあとということもあってか、より気迫に満ちた歌と演奏でオーディエンスを夢中にさせていく。立て続けにプレイされた「視界の隅 朽ちる音」でも、その熱量はさらに高まっていき、会場はクライマックスに相応しい盛り上がりを見せた。

　アニメとのシンクロパートを一旦終えると、穏やかなテンポ感でじっくり聴かせる「蝶に結いた赤い糸」で一度チルアウトさせるも、続く高速チューン「サヨナラサヨナラサヨナラ」を筆頭に「爆ぜて咲く」など人気曲を連発。さらに、スクリーンに映されたアニメ最終回の名場面とリンクするように、理名が「私たちの、はじまりの目撃者になってください！」と呼びかけると、「運命の華」でフロアの盛り上がりは最高潮に達した。さらに、再びステージを覆うように紗幕が垂らされると、アニメのエンディング主題歌「誰にもなれない私だから」がエンディングムービーとともに披露され、ライブ本編はドラマチックなフィナーレを迎えた。

　アンコールではライブ本編のストーリーに収まらなかった新曲「ダレモ」や、ライブ初披露となる「最期の禱り」といった、トゲナシトゲアリの次章を占う楽曲も用意。最後にトゲナシトゲアリ、ダイヤモンドダストのメンバーが勢揃いすると、この日のライブや『ガールズバンドクライ』という作品への想いを一人ひとり告げて『「ガールズバンドクライ」2nd Anniversary LIVE』を締め括った。

　テレビシリーズ放送が終わり9カ月以上経過したが、この秋には劇場版総集編2作の上映も控えており、トゲナシトゲアリも5月28日に10thシングル『ダレモ』をリリースするほか、9月23日に決定した日本武道館でのワンマンライブ『LIVE in 日本武道館 “奏檄の叫”』へ向けて歩み続けていくことになる。『ガールズバンドクライ』で描かれた少女たちの物語が、ここからどんな未来を見せていくのか。と同時に、我々とどんな未来を作り上げていくのか。彼女たちの“青春狂走曲”はまだまだ鳴り止むことはなさそうだ。

※1：https://realsound.jp/2024/09/post-1783087.html
※2：https://realsound.jp/2024/09/post-1789014.html

＜セットリスト＞
01. 雑踏、僕らの街
02. 極私的極彩色アンサー
03. 理想的パラドクスとは
04. 傷つき傷つけ痛くて辛い
05. 運命に賭けたい論理
06. 名もなき何もかも
07. 空の箱
08. 声なき魚
09. ETERNAL FLAME〜空の箱〜
10. Cycle Of Sorrow
11. 空白とカタルシス
12. 視界の隅 朽ちる音
13. 蝶に結いた赤い糸
14. サヨナラサヨナラサヨナラ
15. 渇く、憂う
16. 闇に溶けてく
17. 爆ぜて咲く
18. 運命の華
19. 誰にもなれない私だから
アンコール
20. ダレモ
21. 最期の禱り