irienchyが「飛行船」に託した覚悟と“らしさ”を貫く第一歩 メジャーデビューの想い、結成5年の歩みを語る

宮原颯(Vo/Gt)、諒孟(Gt/Cho)、井口裕馬(Ba/Cho)、本多響平(Dr/Cho)からなる4人組ポップロックバンドのirienchyが、シングル『飛行船』でビクタースピードスターレコーズよりメジャーデビュー。繊細な心模様を表現した歌、温かみのあるメロディ、ライブでより輝きを放つエネルギッシュなサウンドがじわじわと注目を集め、ワンマン公演もソールドアウトを記録する中、彼らは今どんな想いで岐路に立っているのだろうか? 結成時のエピソードに触れつつ、“ジャカジャーン”という爽快なギターの音色から幕を開け、シンガロングやストリングスといった華やかな要素も映える新曲の魅力を、メンバー全員に語ってもらった。(田山雄士)
メジャーデビュー、新たなチームと歩むスタート
——まずは、メジャーデビューおめでとうございます!
全員:ありがとうございます!
——まさかのエイプリルフールに発表で驚きました(※1)。
宮原颯(以下、宮原):僕らにとってもメジャーデビューはエイプリルフールのような信じられない出来事だから、4月1日に『嘘みたいな本当の始まり』と銘打ったワンマンライブを開催してそこで発表をしたら、きっと楽しいことになるだろうと思って。応援してくれている人たちに直接伝えたい、喜びを一緒に分かち合いたい気持ちも強かったです。
諒孟:こういう発表の仕方がirienchyらしいなと思います(笑)。

——記憶にも残りますよね。メジャーデビューを迎える今の心境はいかがですか?
宮原:「飛行船」という曲でメジャーデビューできるのが、めちゃくちゃ嬉しいんですよ。正直メジャーデビューに対しては、派手で受けのいい作品をリリースしなきゃいけないようなイメージを勝手に持っていたんですけど、僕らの意志をちゃんと尊重してくれる新たなチームと出会えて、これまでの自分たちとこれからの覚悟を込めた曲で納得のいくスタートが切れることになりました。すごく恵まれているなと感じます。
諒孟:曲では〈飛行船は飛び立つんだよ〉と歌っているんですけど、地に足をつけてやっていきたいです。
宮原:飛んでいながら、足は地についてるみたいな? 面白いかも(笑)。
井口裕馬(以下、井口):僕としては関わる人が増えたぶん、いろいろな刺激があります。環境が大きく変わって、素敵なスタッフと一緒に活動ができて、自分の思考やバンドの可能性もさらに広がっていきそうです。
本多響平(以下、本多):嬉しさが素直にある一方、僕らの発信するメッセージに共感してもらえたからこそ今回のメジャーデビューに至っているはずなので、自分たちの芯はブレることなくいたいですね。しっかりとこれまでやってきた音楽の延長線上で、なおかつブラッシュアップしたものを作っていけたらいいなと思っています。

——次のステップに入った実感が、4人ともだいぶ湧いているようで。
井口:思っていた以上に、周りの人たちが「おめでとう!」と言ってくださるからですかね。
宮原:ライブで競演してきたミュージシャンの仲間も祝ってくれたり。
諒孟:ファンの方は自分たちよりも喜んでくれているくらいで、そういう声は本当に嬉しいですね。
本多:今後の活動で期待に応えていきたいです!
絶対デビューできない名前? バンド・irienchyの由来
——インディーズ時代の話も聞かせてください。バンドの結成は2020年1月7日になるんですよね?
宮原:そうです。最初の楽曲「Message」をリリースした日を、irienchyの結成記念日としています。
——入江さん(諒孟の苗字)の家でたびたびセッションをしていたことからirienchyになったわけですけど、バンド名を付けたのは誰なんですか?
本多:颯くんでしょ?
宮原:うん。「Message」が完成して、発売日も確定してたけど、バンド名は直前まで決まってなかったんです。いざ考えるとなると、小っ恥ずかしいじゃないですか。でも、決めないとリリースができない。そんな中、メンバーとのLINEで「今どこにいる?」「入江んち」という会話が目に付いたのかな。入江さんの家に集まって曲作りをしていたので、よく見るやり取りだったんですよ(笑)。
諒孟:“○○ of ○○”みたいな横文字のバンド名とか、候補はたくさん挙がったものの、なんかしっくりこなかったんです。
宮原:irienchyが一番よかったね。意味があって、ユーモアがあって、ローマ字表記で末尾を“y”に変えたらおしゃれな感じにもなったし、みんなで「これにしよう!」と踏み切りました。裕馬ってさ、バンド名を決めた時はもうメンバーだったっけ?
井口:いやいや、実はまだ出会ってないんだよ。
——裕馬さんは4人の中で最後に加入したから。
井口:そうなんです。誘ってもらった時に「irienchyっていうバンドなんだけど」と言われて、「絶対にデビューできないだろ!」と思ったのを覚えてます(笑)。
宮原:あはははは(笑)!
本多:「Message」をレコーディングする1週間前とかでしたね、裕馬さんが入ってくれたの。

——諒孟さんはバンド名が決まった流れで自然とリーダーに?
諒孟:(メンバーに向かって)どうなんでしょう?
本多:改まって決めた感じでもないですけどね。リーダーと呼んだりはしないし(笑)。
宮原:曲のアレンジをメインでやってくれるから、irienchyの家長みたいな位置づけです。
