『EIGHT-JAM』を機に辿るさだまさしの名曲 “マニア”カズレーザー、上白石萌音、MOROHA アフロらとの縁
MOROHAのアフロもまた、さだの音楽に強くインスパイアされたアーティストの1人である。トリビュートアルバムでは、「償い」に着想を得て新たに「新約「償い」」という楽曲として再構築。単なるカバーにとどまらず、原曲の精神をMOROHAらしく制作したこの試みは、さだ本人からも高い評価を受けていた。アフロは“志のカバー”という姿勢で詞を書き、原曲の持つテーマを令和の現代に投影してみせたのだ。MOROHAにとって、そしてアフロにとって、さだの楽曲は精神的な支柱となっているのではないだろうか。今回の『EIGHT-JAM』でどのような言葉が交わされるのかも注目したい。
wacciも、トリビュートアルバム『みんなのさだ』に参加し、さだの代表曲の1つでもある「関白宣言」をカバー。オリジナルのユーモアと真摯な愛情表現を残しながらも、現代のリスナーに届くようアップデートされたその楽曲は、橋口自身の音楽性とも自然に重なっていた。
2023年10月のさだのデビュー記念日翌日に配信された50周年記念生番組『「みんなのさだ」発売だから生でさだまさし』には高橋優とともにゲスト出演するなど、リスペクトが溢れ出す橋口にとって、さだの歌詞に息づく“人を描く力”は、自身の創作活動にも大きな影響を与えているに違いない。穏やかながら芯のある橋口の歌声には、どこかさだ譲りの温かみが宿っている。
今回の『EIGHT-JAM』での特集は、4名の“さだを受け継ぐ者たち”によって名曲の数々が新たな角度から照らし出される機会となるだろう。彼の音楽は、恋愛や家族、社会や命といった普遍的なテーマを扱いながら、決して説教臭くならずに、聴く者の心に静かに染み込んでいく。その言葉とメロディは、若い世代の表現者たちにも確かに届いているのだ。半世紀を経てもなお変わらぬ輝きを放つさだまさしの歌の力をあらためて実感できる放送になることに期待したい。世代を超え、ジャンルを超え、多くの人々に歌い継がれているさだの楽曲たちは、これからも変わらず、私たちの心を豊かに揺らしていく。