『あちこちオードリー』はなぜ日向坂46にとって“特別な場”になったのか オードリーとの信頼が生んだ関係性
そして今回登場する4人の顔ぶれは、まさに日向坂46というグループの“いま”を象徴している。センター経験も豊富な小坂は、グループの看板として揺るぎない存在感を放つ一方、トーク番組ではどこかミステリアスなイメージを持つ人も多い。自身のラジオなどでは繊細な感情や趣味を丁寧に語っているが、台本なしでオードリーと交わる空間では、どんな素顔が垣間見えるのか。そして、オードリーが作り上げる番組の空気が小坂の内面にどこまで踏み込むのか、ファンにとっても注目のポイントだろう。
松田は、いまや“安心と信頼の松田”である。『THE TIME,』(TBS系)や『日向坂46・松田好花のオールナイトニッポンX』(ニッポン放送)など、ジャンル問わず柔軟に対応し、芯のある語り口が魅力のひとつとなっている。『あちこちオードリー』では先述の涙の記憶も鮮明だが、今回はどんな立ち回りを見せてくれるのか。特に、平尾、藤嶌という後輩2人に寄り添う松田の姿が、番組内でお姉さん的な役割として機能する可能性も高いだろう。
四期生の平尾と藤嶌にとっては、この番組は未知の領域だ。なかでも平尾は、“ひらほー”の愛称で親しまれる個性派。高いテンションとナチュラルな不思議ちゃんキャラで、グループ内でも強い存在感を放っているが、それゆえに台本なしの場で、どのようなトークを繰り広げるのかは今回の大きな見どころである。
藤嶌は、平尾と同じ四期生ながら、まとう空気感は対照的だ。グループ屈指の“愛され末っ子”でもある藤嶌。その天性の可愛さと、どこか天然な発言の数々で、加入当初から注目を集めてきた。一方で、12thシングル表題曲「絶対的第六感」でのセンター抜擢など、アイドルとしての表現力も確かなものがある。今回の『あちこちオードリー』出演は、そんな彼女にとって初めて素の姿を問われる場とも言えるだろう。緊張と期待が入り混じるなか、どんな言葉を紡ぐのか。これまで見られなかった素顔が引き出されるかもしれない。
筆者も『あちこちオードリー』をよくチェックしている一視聴者のひとりだが、日向坂46がこの番組に登場する際には、毎回どこか特別な空気が流れているように思う。グループの冠番組『ひなあい』とも異なるあの温かな場で、言葉を少しずつ口にしていくメンバーの素直な姿。オードリーとの掛け合いの中に、ふと胸に残るひと言が潜んでいることも少なくない。そして、オードリーの2人が彼女をどう発見していくかにも注目したい。
今回の放送でも、若林の何気ない問いかけや、春日俊彰の柔らかいツッコミが、メンバーそれぞれの今の輪郭をゆっくりと浮かび上がらせてくれるのではないかと期待している。今回の彼女たちの出演は、日向坂46というグループの“現在地”を静かに映し出す一時間となりそうだ。5月7日の夜、またひとつ記憶に残るやりとりが生まれるかもしれない。