GLAY、B'z、THE YELLOW MONKEY、hide、JUDY AND MARY……人生の伴奏となる“ファン投票1位”の名曲とは

THE YELLOW MONKEY

 2013年に発売されたTHE YELLOW MONKEYのファン投票ベストアルバム『イエモン-FAN'S BEST SELECTION-』で見事第1位に選出されたのは「バラ色の日々」である。彼らにとって19枚目のシングルで、バンドを代表する煌びやかでドラマチックなロックナンバー。吉井和哉(Vo/Gt)の色気あるボーカルとエモーショナルなメロディが印象的で、リリース当時からライブの定番曲として親しまれてきた楽曲だ。この楽曲は2004年の解散後もファンのあいだで愛され続け、『イエモン-FAN'S BEST SELECTION-』では、最も多くの得票数を得る結果となった。

THE YELLOW MONKEY – バラ色の日々

 なぜここまで「バラ色の日々」はファンの支持を集めるのか。その理由のひとつは、この曲が持つ希望に満ちた世界観にある。タイトルが象徴するように「バラ色の日々」=“素晴らしい日々”を謳う歌詞は、迷いや陰りを吹き飛ばすかのような前向きさを帯びている。ライブでは観客が一体となって拳を振り上げ、サビの〈バラ色の日々よ〉を大合唱する光景が恒例となっており、その様子は再集結後のライブでも変わらなかった。長い空白を経て2016年に復活した際、テレビ初出演でこの曲が披露されたことからも、メンバーにとってもファンにとっても特別な意味を持つ曲であることが窺える。華やかさと切なさが同居する「バラ色の日々」は、ファンと共有する思い出そのもの。ファン投票1位という栄冠は、まさに愛され続ける名曲であることの証明と言えるだろう。

hide

 「ROCKET DIVE」はX JAPANのギタリストとしても知られるhideが、hide with Spread Beaver名義で1998年に発表した楽曲だ。こちらもファンによる投票型のベストアルバムで首位を獲得した楽曲である。疾走感あふれるパンク調のギターロックにポップセンスが融合したこの楽曲は、hideのディスコグラフィのなかでも特に知名度が高く愛されている代表曲。発売当時「オリコン週間シングルランキング」4位(※2)を記録し、60万枚以上を売り上げるヒットとなったが、その人気は年月を経ても衰えず、没後10年以上を経た2009年には世界中のファン投票によるベストアルバム『We Love hide〜The Best in The World〜』で堂々の第1位に選出された。

hide with Spread Beaver - ROCKET DIVE

 「ROCKET DIVE」がこれほどまでに支持される鍵は、楽曲に込められた前向きなメッセージにある。勢いよく未来へ飛び出すよう促すこの歌詞と、耳に残るキャッチーなギターフレーズの力強い響きが、多くのリスナーの背中を押し続けてきたのだ。また、hideのカリスマ性を象徴するようなカラフルでエネルギッシュなサウンドは聴く者の心を解放し、「落ち込んだ時にこの曲を聞いて元気をもらった」という声も根強い。「ROCKET DIVE」は、hideが残したメッセージと音楽が今なお色褪せず受け継がれていることを示す一曲であり、唯一無二のポジティブロックとして輝きを放ち続けている。

JUDY AND MARY

 JUDY AND MARYの「Over Drive」もこれまでに挙げた楽曲たちと同じくファンから高く評価されている楽曲である。本作は1995年発表の7thシングルで、彼らにとって初の「オリコン週間シングルランキング」トップ10入りを果たしたブレイク曲だ。YUKI(Vo)の伸びやかでキュートな歌声とポップに弾けるバンドサウンドが心地よく、聴くだけで明るい気持ちになれるこの曲は、90年代を代表するJ-ROCKの名曲として広く知られている。爽快なリズムとキャッチーなメロディラインは老若男女に親しまれ、リリース当時からTV番組やCMなどでも頻繁に流れた。

 そんな「Over Drive」の圧倒的人気は、2001年に解散を控えたJUDY AND MARYがリリースしたコンプリートベストアルバム『The Great Escape』にも反映された。このベスト盤では全楽曲を対象にファン投票によるランキング上位30曲が収録されたのだが、ディスク1の冒頭を飾ったのがほかでもない「Over Drive」であった。ファンからの支持は絶大で、代表曲「そばかす」や「クラシック」など数々の人気曲を抑えての1位選出は、この曲がバンドとファンにとって特別な位置づけにあることを物語っている。YUKIが弾けるように歌う〈走る雲の影を 飛び越えるわ/夏のにおい 追いかけて〉というフレーズは青春の開放感に満ち、聴く者の胸に爽やかな風を吹かせる。疾走感とノスタルジーが同居するこの曲は、JUDY AND MARYというバンドが駆け抜けた輝かしい日々を象徴する永遠の名曲であり、音楽ファンの間で今も語り継がれている。

 こうして各アーティストのファン投票1位を眺めると、選ばれた楽曲はいずれもヒットという尺度だけでは説明できない。ライブや日常で共有されてきた情景や物語を抱えている点が共通項だ。苦悩とともに自己を見つめる「pure soul」と未来へ向かって助走する「疾走れ!ミライ」、仲間を抱きしめる「Brotherhood」、素晴らしい日々を謳う「バラ色の日々」、聴く者の心を解放する「ROCKET DIVE」、青春の風を送り込む「Over Drive」。曲を聴き返すたび、リスナーは自身の経験と重ね合わせ、同じ歌詞を叫んだ時間を思い起こす。それが投票という形で可視化され、“名曲”の称号をより確かなものにする。ファン投票は人気競争ではなく、音楽が人生とどう交わったかを証明する装置なのである。そこにこそ、名曲たちが放ち続ける普遍的な輝きがあるのだ。

※1:https://www.glay.co.jp/feature/interview_vol119
※2:https://www.oricon.co.jp/prof/27430/products/163607/1/

LUNA SEA、GLAY、PIERROT、DIR EN GREY……“食レポ”から“母親登場”まで ベテランV系がYouTubeで見せる素顔

LUNA SEA INORAN&SUGIZO、GLAY HISASHI、PIERROT キリト、DIR EN GREY Shin…

布袋寅泰×Char、GLAY TAKURO×B’z 松本孝弘……ファン垂涎、ギタリスト同士の熱いコラボ

布袋寅泰のニューアルバム『GUITARHYTHM Ⅷ』より、ギタリストのCharを迎えて制作された先行シングルとして「Side …

関連記事