ZANPA、結成11年でたどり着いた風景 生バンドによるワンマンライブで堂々届けた“SUPER KAYOU”
今年、結成11年を迎える4人組のダンス&ボーカルグループ・ZANPAは、昨年より“SUPER KAYOU”をコンセプトに掲げ、楽曲リリース、全国ツアーを積み重ねてきた。メンバーであるYOMA・孝介・航・義文の個性とともに世に送り出される楽曲群は、演歌歌謡曲とJ-POPが融合したジャンル横断的な新しい音楽シーンの潮流として輝きを放っている。そんな彼らの集大成であり到達点である最新ミニアルバム『YOU&ME』が3月24日にリリース。それを受けてのワンマンライブ『SUPER BAND LIVE KAYOU』が、彼らにとっての通算4回目となる“聖地”、東京・下町のコンサート会場、かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホールで4月12日に開催された。
ライブ前の会場には、各地から“波族”(ZANPAのパと家族を掛け合わせた造語)と呼ばれるファン達が集まってくる。中には久々の再会を祝って抱擁しあう波族の姿も見受けられた。開場前からファンの絆と連帯のボルテージが高まっていく。それを盛り上げる会場内の客入れBGMは、70年代~90年代の歌謡曲/J-POPだ。プロデューサー自ら選曲したというこのプレイリストには、復活以降精力的に活動するTM NETWORKや、先日10年ぶりのニューアルバムをリリースしたサザンオールスターズの往年の名曲もチョイスされ、懐古だけでなく今につながる歌謡曲/J-POPの変遷を感じさせるものとなっていて興味深い。
いつしか時計の電光掲示板も開演時間とともに消灯され、Gipsy Kingsの名曲「Volare」とともに、手拍子が始まる。ZANPAのライブの始まりの合図だ。紗幕の奥にはうっすらとバンドセットが組まれているのが視認できる。そう、今日は生バンドによる演奏で送る『SUPER BAND LIVE KAYOU』なのである。力強い演奏によるインストゥルメンタルがピークを迎えると紗幕が振り落とされ、バンドセットが組まれた台の中央に、ポーズを決めたZANPAのメンバーが板付いていた。
1曲目「OTTOTTO」のイントロとともに、台の上から大きく跳躍するメンバーに、早くも会場内は大歓声で溢れる。カラフルな照明にシンクロするかのように振られるペンライト(今回のツアーグッズで何と12色に発光する優れものらしい)。一気にボルテージが上がる。楽曲のテーマは、インドポップ×歌謡。歌の中でもジャンル感がコロコロと目まぐるしく変わり、各パートでメンバーそれぞれ歌声のキャラクターが遺憾なく発揮されていく、まさに“SUPER KAYOU”を体現するナンバーでの幕開けだ。
「僕らと一緒に手を上にあげて~! ついてこれますか!?」(YOMA)
グループ名を冠した2曲目「ZANPA」に突入すると、メンバーと観客の振りが一体となり、それに呼応するようにバンドの演奏がさらに熱を帯びていく。ヒップホップ×演歌。異色の掛け合わせともいえるこの曲で“En-POP”という新たなジャンルを提示してみせた、まさにグループ名を象徴する記念碑的楽曲である。
続いての曲は「IKI」。ミニアルバム『YOU&ME』に収録された新曲が、ここで早くも登場だ。この曲のサビで何度も連呼される「いやさか」という言葉は、乾杯の際に発声される「繁栄を祈る」という意味の、日本古来のパワーワードだ。客席と共にこの言葉を連呼しあう、ZANPA的コール&レスポンスは、会場を祝祭空間にアップグレードさせていくかのようだ。
「全国ツアーの延長戦、隠れファイナルで、ここ、かつしかに戻ってくることができました!」(航)
「全てが最高の想い出に残るように頑張っていこうと思います!」(YOMA)
そして、YOMAから本日の“SUPER BAND”のメンバーが紹介される。
「バンドさんの名前はバンドの“バ”に家族の“族”と書いて“バ族”です!」
そんなバ族のメンバーは、湯浅崇(Ba)、佐藤真吾(Pf)、濵﨑大地(Dr)、和田建一郎(Gt)、J-POPの今を牽引する凄腕ライブミュージシャン達だ。
「次の曲『じゃんけんぽん』では、会場の皆さんとじゃんけんをして最後まで勝ち残った人には豪華景品があります!」(航)
コロナ禍の2021年に配信シングルとしてリリースされた「じゃんけんぽん」は、TOKYO MXにてオンエアされた冠番組『斬波ZANMAI』のオープニングテーマとなっているユニークで楽しい楽曲だ。元お笑い芸人で放送作家の宮地ケンスケとともにMCを務めたメンバーはコントにも挑戦して、お茶の間に笑顔を届けていた。この番組で彼らの存在に気づいた人も多いはずだ。歌中で会場に集ったファン達とのじゃんけん大会が無事終了し、優勝者にはメンバーサイン入りの下町名物“両さんサブレ”が手渡された。
楽しいコーナーの後は、一転して「ザンthe斬!!」。彼らの得意技の一つである、コーラスワークを披露する。続く「もぐら」もアカペラで始まり、メンバーの美声が冴えわたる。やがて、「そや!」の掛け声とともに曲も振りも激しくなり、YOMAが「あがれ! あがれ! かつしか!!」と会場中を煽っていく。
次のMCコーナーでは、メンバーが交替で衣装チェンジに退出。その間をつなぐのは、コントをやっていた頃を思い出す、ZANPAらしい遊び心あふれるトークだ。酸欠でへとへとになったYOMAをメンバー全員でいじり、返す刀でYOMA本人は、なぜか自身の襟足へのこだわりを吐露し、会場を沸かせていく。
「ミニアルバム『YOU&ME』がリリースされ、リリースイベント会場でのライブではチャートアクションやランキングを気にして、僕らも力が入っていたけど、それが一段落して迎えた今日のライブは、肩の力を抜いて純粋に楽しんでもらいたい。そして、僕たちZANPAの音楽をお風呂にどっぷり浸かる気持ちで身を委ねていただければと思います」(航)
スーパー銭湯を含め、80本近いリリイベライブを積み重ねてきたからこそ滲み出るその境地をZANPAらしい表現で総括し、語ってみせた。