突如現れたHIPHOPグループ、謎に包まれた4人組=oops cool J-POPへの憧れと等身大の歌
oops coolの自意識「自分たちのことを全然HIPHOPだと思っていない」
――そんな4人でoops coolを始動させるにあたり、最初はどんな音楽性を目指したんですか?
Peppu:めちゃくちゃ話し込んだわけではなくて。自分たちはサイファーをやっていたり、iPhoneのGarageBandで遊びで曲を作ったりしていたので、当時のテンションを活かしつつ作ってみようと1曲作ってみたら、こういう形になったんですよね。「Too busy work」と「青春GAMEOVER」はほぼ同時期に作っていて、レコーディングも2曲同時にしました。
WANTAI:完成したのは「Too busy work」が先だったと思う。
――リリックの方向性については、どう考えていましたか?
Peppu:自分たちの等身大というか。政治とか頭を使う難しい方向は最終的に僕らがわからなくなるんで(笑)。だから、楽しいほうに振ることが多いんです。僕らはメンバー同士で遊ぶし、バカみたいに酒を飲んで、アホみたいに潰れるなんてことも多々ありますし。それが日常というか僕らの間柄なので、それを音楽でも出していけたらいいなという感じです。
――サウンドの方向性は?
Peppu:サウンドに関しては、自分たちのことを全然HIPHOPだと思っていなくて。ポップスが好きで、確実に通っているのが湘南乃風であったりGReeeeN(現GRe4N BOYZ)、ORANGE RANGE、ケツメイシとか、グループものなんです。だから、僕らはみんなそういう音楽を今聴きたいなと思ってたんですよ。それで、「じゃあ自分たちで作ればいいんじゃないか」と。
――「Too busy work」はSNSを中心に大きくバズりましたが、その結果をどう受け止めましたか?
Peppu:もうよくわからなかったです。なんか難しい名前のランキングで1位になれて――。
WANTAI:Spotifyの「バイラルチャート」ね(笑)。
Peppu:それだ。そもそも「バイラルって何?」っていう(笑)。だけど、1位ということのすごさはわかるので、単純に嬉しかったです。
――MVの再生数が日増しに増えていくとか、SNSに通知がくるようになるとか、ヒットを実感する場面も多かったのでは?
Jariboy:最初は全然実感がなかったです。MVも1本目だったし、それ以前に再生数がどれくらいになったらすごいのかっていうこともわかってなかったから。周りの反応を見て、「すごいことなんだな」って思いました。
WANTAI:僕は私用携帯と社用携帯の2つ持ちで、それまで仕事中に私用携帯を見ることはほとんどなかったんですけど、通知が鳴りやまなくて私用携帯を見る時間が増えました。今までにない体験を急にし始めている感じですね。
NiseChi:自分もSNSを頻繁に見ていなかったんですけど、通知がやまなくて。コメントを見るのが楽しいので、会社のトイレに頻繁に行ってタイムラインをいっぱいスクロールしてました(笑)。仕事に影響が出始めるので通知はオフにしましたけど、コメントは今でもたくさん読んでます。
RIP SLYMEは音楽のひとつの正解、ひとつの発明のようなもの(Peppu)
――SNSにはoops coolを“令和のRIP SLYME”と呼ぶ声もありました。それに対してはどう思っていますか?
Peppu:恐れ多いにつきますね。
――ロールモデルにしているところもあるんですか?
Peppu:イメージしていたのは、RIP SLYMEだけではなくて。中学生の頃に初めて行ったライブがフェスで、その時に湘南乃風を観てかっこいいと思ったことを覚えてるんです。そういう経験もあるので、グループで音楽をやって、人を喜ばせられることをかっこいいと思っているんでしょうね。だから、「RIP SLYMEみたい」と言われるのはすごく嬉しいですし。でも、それだけじゃなくて、自分たちらしさも出さなきゃなと考えていますね。
――「Too busy work」は、トラックにもRIP SLYMEを彷彿させるところがありました。
Peppu:RIP SLYMEのサウンドやグルーヴ感は参考にしました。RIP SLYMEは、聴いてかっこいいと思う音楽のひとつの正解というか、ひとつの発明のようなものだと思っているので。そういう捉え方でしたね。
――「Too busy work」におけるWANTAIさんの低音ボイスとバースへの入り方がRIP SLYMEのSUさんを想起させるんでしょうね。
Peppu:そうなんですよね。普段話しているとそんなに感じないんですけど、レコーディングした時にWANTAIの声が思った以上に低くて。最終的に4MCの棲み分けというか、一人ひとりのキャラクターが出たのはいいことなんだろうな、と。そこがRIP SLYMEっぽいと言われる所以なんだろうなと思ってます。
WANTAI:レコーディングの時にいろいろな声を試していたら、Peppuが「それ、いいじゃん」と言ってくれたので、「じゃ、低いのでいきまーす」っていう(笑)。本当にたまたま落ち着くところがこれだったんですよ。
――そうしたらほかの曲でも低音域が自分の役割になってきた。
WANTAI:そうです。「お前は低い声以外を出すな」という命令のもと、動いております(笑)。
――NiseChiさんは自分の役割やパートをどう考えていますか?
NiseChi:自分の強みはバイブスだと思ってます。感情を込めたラップかな。学生時代はポエトリー系というか語り口調で淡々とラップする曲を作っていたので、「スキャンダラス」のバースはポエトリーから早口ラップに変わっていく構成で作ったんです。序盤は語り口調でラップして、歌詞に合わせてだんだんラップを速くして感情が出るようにしていて。
Peppu:NiseChiは「学生時代は淡々とラップしていた」と話しましたけど、僕の印象としては淡々というより、マジメに歌ってるのにひょうきんに聴こえてたんです(笑)。
NiseChi:あははは!
Peppu:でも、そこに味があるというか。太め、細め、高め、低め、歌声の特徴っていろいろありますけど、新ジャンル=ひょうきん、っていう(笑)。NiseChiなら、これを確立できるんじゃないかと思ってます。声にキャラクターがある人はたくさんいますけど、NiseChiにしか見せられない景色を展開してくれるんじゃないかと期待しているし、oops coolのなかで重要な役割だと思ってます。
――Jariboyさんはメロディックなラップや歌パートを担当することが多いですね。
Jariboy:NiseChiよりは歌が上手いかな(笑)。NiseChiと比べると、メロディ担当っていうところはありますね。
Peppu:Jariboyの声は、僕も好きです。聴いていて心地が好い声というか。4MCのバランスを考えた時、Jariboyは高めの声でメロディを伸びやかに歌うといちばん光って聴こえる。
――Peppuさんはラップも歌も両方こなしますが、どんな役割だと自己分析しますか?
Peppu:バランス的に足りないところをやりたいと思ってます。自分の声にそこまでキャラクターがあると思っていないし、このグループのなかでいちばんそつなくこなせると思っているので、ひょうきんっぽいものをやりたい時はそっちに行きますし、ラップでノリのよさを作りたい時はそっちに行く。メロディが足りていないなと思えば歌うし、バランサー的な役割ができたらなと思ってます。