TOBEアーティスト=“HERO”たちによる祭典を徹底レポート 2度目の開催で示した『to HEROes』の本当の意味
後半パート一発目に再びステージに姿を現したIMP.は、4月7日にリリースされた新曲「Cheek to Cheek」の初披露というサプライズでスタート。ムービングステージを使いながら「Tricky」「Butterfly」と気迫あふれるパフォーマンスを会場全体に届けていく。曲中、「We are IMP.!」と横原悠毅が高らかに叫ぶ。総じてダークな雰囲気を漂わせたステージは、オープニングブロックで明るい笑みを浮かべていた彼らとはまた違う魅力が引き出されていた。そして、「Masquerade」で妖しく歌い踊ったのち、「I Got It」でオルゴールが止まるようにしてステージを締めくくったのだった。
三宅は、「ホーンテッド」のロックなサウンドで高揚感を誘うと、ダンサーと一緒に踊りながら「Love Bottle」「circus」を届ける。MCで「たくさん声を出せば出すほど、今日は大好きな推しに目線をもらえるはずです」と、全アーティストのファンに気を配る姿に三宅の優しさが垣間見えた。続けて「みんなとひとつになりたいなと思って」と行ったウェーブは、途中で少しズレてしまいながらも、「ここにいる全員でライブを作りたい」という彼の意志を会場全体が受け取ったはずだ。そうやって会場全員の心をひとつにし、最後に「Unzari」をポップに届けた。
そこから、「うんざりだなー」と客席で声をあげたのは北山。昨年と同じように、ファンの目の前を歩きながらステージへと向かい、どんなに会場が大きくなっても変わらない距離の近さを見せてくれた。彼の手には「COMIC」と題された本があり、そこに書かれた内容は「6月16日に2ndアルバム『波紋-HAMON-』のリリース」――。嬉しい発表とともに始まったライブは、北山らしい華やかな演出で視覚的にも大いに楽しめるものだった。〈誰かのHEROになれるかな〉と歌う本公演にぴったりの「COMIC」に続き、大量のスモークと曲に込めたメッセージの投影で世界観をガラリと変えながら、新曲の「波紋-HAMON-」へ。ラストは「仲間のために書いた曲」だという「オズモシス」でキラキラとした笑みを浮かべ、「また遊ぼう!」と全力で叫んでステージをあとにしたのだった。
Number_iは、メンバーの自己紹介曲でもある「Numbers」でスタート。「聞こえない!」という神宮寺勇太の挑発的な煽りによって歓声がどんどん増していくなか、「FUJI」「SQUARE_ONE」「GOAT」とHIPHOPナンバーをシームレスに届けていく。そこから一呼吸置き、MVを逆再生した映像を経て披露された「GOD_i」は、おそらくこの日彼らがいちばん見せたい楽曲でもあったのだろう。MVで着用している衣装に着替え、大勢のダンサーと繰り広げた圧巻のパフォーマンス。京セラドームが「GOD_i」の世界観に染まり、この曲のスケールの大きさを示していた。
アンコールでは、アーティスト全員がフロートに乗り、「taxi」(三宅)、「Go Getter feat. AK-69」(ISSEI)、「Cheek to Cheek」(IMP.)、「HIRAKEGOMA」(Number_i)、「乱心-RANSHIN-」(北山)を届けて大団円。筆者自身、過去に別の記事で「彼らはいい意味でバラバラで、個が立っていて、それがいい」(※1)と書いたのだが、そのことを今回の『to HEROes』を観てあらためて感じた。
おそらく、目指している場所は各々違う。それは、アーティストごとにまったく色が違った今回のステージからしても明らかだ。ただし、最後に北山が「皆さまの明日が少しでも明るくなりますように。TOBE Familyでした!」と締めくくったように、「目の前の人を楽しませたい」という願いは、このステージに立つ“HERO”たちが共通して抱いているものだろう。個々のやりたいことと、全員の強い想いが掛け合わさって、ここでしか生まれないエンターテインメントが完成する。それを体現しているのがTOBEという組織であり、『to HEROes』という場所なのだと思った。
この時代に生きる全員が主役であり、そんな一人ひとりの“HERO”が輝く『to HEROes』。個が交わり、色とりどりの空間が生まれる日がまた訪れたらいい。そう願わずにはいられない一夜だった。
※1:https://realsound.jp/2025/01/post-1900774.html