坂道3グループに訪れる“転換期” 乃木坂46、日向坂46はお披露目&新体制へ、新メンバーに求められるものとは?
乃木坂46に六期生が加入し、日向坂46にも五期生が加わった。櫻坂46も新メンバーオーディション 4次審査、研修生最終審査が昨年末に開催されており、四期生の加入が予定されている。新たな才能が次々と現れる中で、乃木坂46、櫻坂46、日向坂46の坂道3グループが築いてきた歴史は、今確実に転換の時を迎えていると言えるだろう。各グループは、長年にわたりシーンの中心を担ってきた主力メンバーの卒業を経て、次の世代へとバトンを渡し始めている。新たな人材によって進む世代交代は、単なる入れ替わりにはとどまらない。グループの輪郭を変え、ひいては“アイドル”という存在そのものの意味をあらためて問い直すような変化へと繋がっている。
乃木坂46は、2024年にグループ史上初の試みとして春と夏の二度にわたってオーディションを開催し、今年2月に計11名の新メンバーを六期生として発表した。乃木坂46が打ち出したこの形式は、グループの歩みの中でも異例の展開だった。5名の“春組”と6名の“夏組”――計11名が段階を踏んで徐々にベールを脱いだことで、注目は長期にわたって継続され、SNSでも話題をさらっていった。情報が供給過多な状況にある今の時代において、こうした演出は極めて戦略的でもある。全国各地から集まった個性豊かなメンバーたちは、加入発表当時時点で平均年齢17.1歳、最年少メンバーの年齢は14歳という若さで、グループの新たな可能性を感じさせた。
このような発表の方法も含め、乃木坂46は単なるトレンドへの追随ではなく、“乃木坂46”という名のもとに蓄積された様式を次世代にどう受け渡していくか、それを示したと言えるだろう。彼女たちが立つ舞台は、もはや先輩たちが築いた場所なだけでなく、六期生自らが新たに“乃木坂らしさ”を再定義していく場でもあるのだと思う。
日向坂46の五期生10名にもまた、大きな期待が寄せられているように感じる。それは、単に新しい顔ぶれという意味ではなく、グループ全体の空気を変えるような、化学反応への期待だ。キャプテンの佐々木久美をはじめとする、立ち上げ当初からグループを支えてきた一期生メンバーがまもなく全員卒業するという、大きな転換点に立っている日向坂46。その過渡期に加入した五期生メンバーは、10名それぞれが明確な特技や個性を持ち、スポーツから音楽、伝統芸能に至るまで、出自はきわめて多様である。
こうした部分が今の日向坂46というグループの強みである親しみやすさとどのように重なり、あるいは対比を描いていくのか、そのプロセスは非常に興味深いものとなるだろう。グループにとっての転機は、外からの刺激によって生まれることもある。一期生という屋台骨がついに全員卒業する中、日向坂46の日常を新たな視点で再編していく可能性を五期生は秘めている。そこに表れるのは、新たな価値観を体現する担い手たちだ。
また、小池美波の卒業により欅坂46時代からグループを支えてきた一期生全員がグループを去った櫻坂46。これは“初期メンバーの卒業”という話にとどまらず、名実ともに“新生・櫻坂46”としての再出発を象徴する節目にもなる。
その上で、現在の二期生、三期生が見せるパフォーマンスの強度は、すでに黎明期という言葉では語りきれないほどに成熟している。そんな中で、ファンの期待が高まっているのが四期生の加入だ。現に三期生は、櫻坂46のステージに新たな空気を吹かせ、その鮮烈な存在感でグループの輪郭を一気に押し広げた。四期生においても同様に、いや、それ以上に、グループの未来を担う象徴としての役割が求められることになる。
とりわけ、一期生不在という状況のもとで加入する彼女たちは、ある意味でゼロから櫻坂46を知る世代でもある。そんな彼女たちが、どのようにグループの現在地を受け止め、自らの個性や視点で再構築していくのか。そこには、記号的な継承ではなく、実感としての再解釈が生まれてくるはずだ。完成された世界に順応するだけでなく、新たな輪郭を強く押し出していく覚悟と姿勢が求められるだろう。