サカナクション、Galileo Galileiに続くか? FLiNR、Chevon、Goethe、KOHAKUら北海道バンドの躍進が熱い

KOHAKU

KOHAKU - けんかをしよう(Official Music Video)

 ノスタルジックな手触りと意志の強さを内包した若月樂(Vo/Gt)のボーカル、そして、歌詞と歌声をしっかりと際立たせながら、瑞々しさと美しさをたたえたバンドサウンドへと結びつける律(Ba)のベースラインと薫(Dr)のドラミング。2021年に高校の同級生で結成され、翌年から本格的な活動を始めたKOHAKUは、感情の繊細な揺れを映し出す“歌”を中心にした3ピースバンドだ。

 たとえば2023年にリリースされた「恋人たち」。ギターのアルペジオと〈まぶたを閉じて絡ませた指先が冷える朝〉という情景描写ではじまるこの曲で描かれているのは、恋に傷ついている“私”。恋人との間で何が起きたかは説明されないのだが、起伏のあるバンドサウンドと表情豊かな歌によって、主人公の感情と“あなた”への思いが強く伝わってくるのだ。

 リリースされたばかりのミニアルバム『退屈もそれはそれで』も素晴らしい。自分や人の良くないところではなくて、人間らしい側面を愛したいと願う「kibi」、〈意味なんて探さないで/日常にいこう〉と歌う「けんかをしよう」などが収められた本作は、“今”そして“此処”を大事にしたいという切実な思いに満ちている。サーキットイベントやフェスへの出演が続くこの春、彼らの歌はさらに多くの音楽ファンによって共有されるはず。

Goethe

goethe / Warumono【MUSIC VIDEO】

 WONK、Ovall、TENDER、yonawo、R&B〜ソウル〜ジャズなどをそれぞれのセンスと技術で自らの音楽へと昇華したバンドの系譜を受け継いでいるのが、2020年に結成されたGoethe(ゲーテ)。樋口太一(Vo/Gt)、永江碧斗(Key)、加藤拓人(Ba)、相蘇勇作(Dr)による4人組バンドだ。

 まずは1st EP『残像の行方』に収録された「煙管」を聴いてみてほしい。ややレイドバックしたビート、音数を抑えながらジャズ、ソウル、ファンクなどのエッセンスを織り込ませたアンサンブルも秀逸だが、特筆すべきは日本語の響き。洋楽的なグルーヴと〈確かめ合っておとなになった/そこには愛が確かにあった〉という美しいフレーズを自然に結びつけるフロウこそが、このバンドのもっとも大きな特徴だと思う。

 昨年11月には初のワンマンツアーを成功させるなど、ライブバンドとしての実力を向上させてきた彼らは、今年2月にEP『内なる惑星』を発表。knoak(Nobuaki Tanaka)を編曲・サウンドプロデュースに迎えたリード曲「Warumono」をはじめ、Shin Sakiura、Shingo Suzuki(Ovall)が参加した本作は、このバンドの音楽的スケールをさらに引き上げるターニングポイントになりそうだ。4月26日には東京キネマ倶楽部でShe Her Her Hersをゲストに迎えたライブを開催。日本語によるソウルミュージックの現在地をぜひ体感してほしい。

First Love is Never Returned「挿入歌」

■リリース情報
First Love is Never Returned
配信シングル「挿入歌」
3月26日(水)配信リリース
配信リンク : https://flinr.lnk.to/sounyuka
MUSIC VIDEO:https://youtu.be/3VlUhPkM1kI

公式サイト:https://flinr.jp
公式X:https://twitter.com/1st_love_is
公式Instagram:https://www.instagram.com/1stlove_is/
公式TikiTok:https://www.tiktok.com/@flinr_band

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