East Of Eden、MINA加入で開く新たな扉　初アルバム『The First Eden - Seeds Of Hope』で貫く攻めの姿勢

MINAが探し当てた「バンドのベーシストとしての在り方」

――これだけいろんなソングライターが関わる楽曲が集まると、それを歌う湊さんは曲ごとにロディのクセの違いも感じるでしょうし、歌い方に関してもいろんな技術が求められたんじゃないかと思います。

湊：Maoさんや草野さんには、レコーディングでボーカルディレクションをしていただく機会があったんですけど、今回も「Don't Look Back」や「Doesn't Matter」のruiさん、「Unapologetic Freedom」のYomaさんからいろいろアドバイスをいただきながら歌いました。私は英語が苦手なので発音について指摘していただいたり、ruiさんからは私の癖であるビブラートをかけた歌い方を抑えてほしいというオーダーもあったりして。「ビブラートを抑えた歌い方は海外では今の主流でめちゃくちゃかっこいいし、そういう歌い方も勉強したほうがいいよ」と教えていただき、個人的には新たな発見になりました。あと、以前は高いキーのまま突っ走る傾向が強かったけど、今回は中低音域をフィーチャーした曲があったりして、そこでも新たな一面を見せられたんじゃないかと思います。

――リズム隊的にはどうですか？　特に今作ではモダンなラウドロック中心ということもあり、プレイにおいても今までとは違った見せ方が求められたのかなと思いますが。

MIZUKI：自分らしさとEast Of Edenらしさを織り交ぜながらフレーズを構築していったんですけど、今回は手癖も結構入りまくったんじゃないかな。たとえば、ruiさんの2曲では細かいフィルを入れているんですけど、そこは自由にやらせていただきましたし、「Shooting Star」とか「Darkside Lotus」は“ジェント”というジャンルを取り入れているから、キメが多かったりアクセントの入れ方がかなり難しかったりして。自分のなかでやりやすい方法を見つけながら、レコーディングを乗り切りました。

MINA：ベースに関して一貫して言えるのは、自分らしさを出しつつ、バンドのベーシストとしての在り方みたいなもの、ベーシストとして本来あるべき姿という部分は、すごく大事にしたところかもしれません。それこそEast Of Edenとして最初のレコーディングでは、自分がこのバンドでどういう立ち位置かもまだわからない状態だったけど、「ここはこうしたほうがいいかな？」ということを手探りながらもアプローチしたり、時には支えに回ったりと、パズルを組み立てるようにフレーズを考えることを意識しました。

――「メロディの裏でこんなグルーヴを作っているんだ」とか「ここはメロディアスに弾くんだ」とか、随所にEast Of Edenらしさが感じられましたよ。

MINA：本当ですか？　嬉しい。MIZUKIさんのドラムが先にあったからこそ、安心して弾けました。

MIZUKI：私が最初にレコーディングしたから、「次につなげるぞ」という意気込みでがむしゃらに頑張りました（笑）。

――先ほどMIZUKIさんがおっしゃいましたが、特に「Shooting Star」や「Darkside Lotus」は今までになかったタイプの楽曲で、こういうモダンなラウドサウンドにバイオリンが乗っていること自体が新鮮で。

Ayasa：ありがとうございます。「Shooting Star」は、デモの段階でフレーズがカッコよすぎて。特にバイオリンに関しては、今の自分からは絶対に出てこないであろうフレーズが結構入っていたことが衝撃的でした。なので、音の流れは活かしつつ、そのつなぎ方でニュアンスを変えたり増やしたりしたところはあります。実は、もうちょっと自分で作ったフレーズにしようか、そのまま活かそうか、結構迷ったんですよ。なので、「Yukiさんはどうするのかな？」と様子を伺っていたら――これはYuki（Gt）さんもおっしゃっていたことなんですけど――MEGさんが作るフレーズだったり、ほかのアレンジャーさんが作ってくるフレーズも、今回は基本的に変えずに弾いて、たとえば最後だけちょっと変えたりしたそうなんです。なので、私も素直に勉強させてもらいながら、隙があれば自分が考えたフレーズを入れてみようと試みました。

　逆に、「Darkside Lotus」に関しては自由度高く弾かせていただいて。かなり好き勝手に変えちゃったりもしたんですけど、それも「MIZUKIさんがこう叩いているんだったら！」とか「Yukiさんがこう弾くんだ！」というデータが事前にあったからこそできたことだと思います。そういう意味では、今回は今まで以上にいろいろなパターンのレコーディングを経験できたので、すごく楽しかったです。

ライブを経験したことで気づいた“変化”の付け方

――「Darkside Lotus」はエグい演奏に対して、歌メロが和テイストなのも印象的です。

湊：演奏やサウンドがすごいので、ここで普通に歌ってしまったら歌が埋もれちゃうかなと思って。それで「どんな歌い方が合うんだろう？」と考えた時に、ちょっと演歌っぽいのがいいんじゃないかと思って、こぶしを回したりとか和のエッセンスを取り入れてみたら見事にマッチしました。

――ここまでアグレッシブなサウンドに和のメロディや歌い方が合うんだと、すごく驚きでしたし、素直にかっこいいと思いました。

湊：でも、ボーカルはそんなに難しいことはしていないんですよ。逆に演奏チームが大変なことになっていて。みんながみんな“運動会”です（笑）。

Ayasa：いやいや、ボーカルもめちゃくちゃ難しいと思うよ！

湊：きっとライブでは、この曲の時に私はみんなのことを涼しい目で見てると思う（笑）。

――かと思えば、「I don't say goodbye」では序盤を中音域で歌い、サビでは高音で歌い上げる。あの落ち着いたトーンの歌声、すごく好みでした。

湊：わあ、嬉しいです。

――極端にドラマチックさを作り上げるというよりは、ちょっと平熱に近い感じから徐々に熱が上がっていく感じといいますか。このアルバムはそういうテイストの楽曲が中盤に並んでいますよね。

Ayasa：「Don't Look Back」とか「Unapologetic Freedom」みたいなテンポ感もそうですけど、こういう流れはこれまではなかったですよね。特に、この一年くらいライブを経験してきて思ったのは、East Of Edenは常に全力疾走みたいな感じだったじゃないですか。バンドも大変だけど、きっと観ているお客さんもホッとする瞬間がなくて大変だったんじゃないかなと思ったんです。フルアルバムだとこういう変化も付けられるので、今後のライブでもかなり活きていきそうですね。

――ミディアムテンポでムードを作る際、リズム面において特に意識したことってありますか？

MIZUKI：テンポを落とすことで歌詞もしっかり聴き取れると思うので、フィルも細かいフレーズを入れたりはしているものの、とにかく気持ちのいいリズムを提供することに徹していますね。

MINA：私もどれだけ気持ちよく歌を支えられるかが大事かなと思いながら、レコーディングに励みました。