FRUITS ZIPPER、新しい学校のリーダーズを成功に導く アソビシステム 中川悠介が仕掛けるエンタメビジネスのアップデート

エンタメビジネスで大事なのは“世の中への視線”と“味変”

ーー高い熱量を持ちながら冷静で、ビジネス的な成功とクリエイティブな成功を両立しているのが、アソビシステムの面白いところかもしれません。

中川:その辺りは、自分が究極に“何もできない人”であることがいいのだろうと、ポジティブに考えています(笑)。繰り返しになりますが、僕は曲も作れないし、文章も書けないし、クリエイティブも作れない。だからこそ、渦中にいても状況を引いて見ることができるのだろうと。「世の中を冷静に見る」というのも常に考えていることで、街中で世間話もよく聞いていますし、居酒屋でも隣の席の人が話していることが一番勉強になったりもする。一番大事なのは“世の中”で、僕らは浮世離れした業界にいるからこそ、そこをしっかり見ないといけないと思います。

ーーそういった俯瞰的な視点から得る発見にはどんなものがありますか?

中川:どんなに大好きな料理でも毎日食べれば飽きるように、今の人気もいつ終わるかわかりません。だから“味変”も必要だと考えています。音楽もファッションもブームは回りますが、味変で対空時間を伸ばしながら、もう一度周期を待つ。つまりやり続ける勇気と、臨機応変に変化していくことの両軸を大切にしなければと。

ーー実際、現場でアソビシステムが“味変”として考えていることはありますか。

中川:例えば2月24日、ZEDDの来日公演(Kアリーナ)に新しい学校のリーダーズとFRUITS ZIPPERが出演しました。これも今まではなかったし、海外への布石になればいいなと。また大きいところでは、『matsuri '25: Japanese Music Experience LOS ANGELES』の主催でもあるCEIPA(一般社団法人カルチャー アンド エンタテインメント産業振興会)にもしっかりコミットしていきたいところです。僕は10年前から“ミニオールジャパン”を作るべきと考えてきましたが、日本の音楽業界がひとつにまとまることで国も支援しやすくなると思いますし、10年後、20年後の日本のメディア業界全体を考えても、音楽はエース産業のひとつになっていくだろうと。

ーー日本の重要産業の一つとして、音楽を世界に売っていこうという機運を感じますね。

中川:そうですね。僕は経済産業省のエンタメ・クリエイティブ産業政策研究会に委員として参加してきましたが、その以前から“オールジャパン”というマインドは常にあって。日本の中ではライバルかもしれませんが、世界に出たらまた違う。ある面では一丸となって世界のマーケットを狙っていこうと思いますし、2025年はアソビシステムとして、海外に基盤を作りたいですね。

ーー2025年、国内においてはどんなことを実現していきたいと考えていますか?

中川:少しコミュニティの話と重なりますが、大なり小なり様々なカルチャーに寄り添う柱を立てていくような感覚でアソビシステムの規模を拡大していき、今ではアーティストやクリエイターをはじめ、タレント、俳優など多様な人材がアソビシステムに入ってくれています。僕は今のアソビシステムを一般の人たちにどう見てもらうか、ということは非常に大事だと思っていて、夏には我々が主催のフェスを考えてるところです。2018年に新木場 STUDIO COAST(現在は閉館)で『ASOBIFES!!!』を開催しましたが、ライブハウスという規模ではなく、きちんとフェスのような大きなイベントをやりたいという構想はずっと考えていて。バラバラなものが組み合わさってヒットが生まれるように、このイベントも出演者同士、もしくは出演者とお客さんの間にシナジーが生まれるようなものにしていきたいです。

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