HANAは世界中のNoを救うために咲き誇る 7人が『No No Girls』で破った殻、“本物”を見せていく意志
YURI「人間についてめちゃくちゃ考えながら生きている」
ーー続いてはYURIさんにお聞きします。「NG」や「ハレンチ」で書かれたYURIさんのリリックを聴いていて、情景描写や比喩表現がとても独創的だなと感じました。一体YURIさんにはどのように世界が見えているんだろうってすごく気になったんですけど、言葉や発想のインスピレーションってどういうものなんでしょうか。
YURI:普段聴いている音楽とか、観ている映画からの影響かもしれないです。怖いぐらい深いところまで突き詰めていくような、人間の黒さを描いたドロドロした作品とか、一見難しすぎて一度観ただけではよくわからない作品とか、そういう映画や音楽が好きでよく観たり聴いたりしています。普段の生活でも「この人はこういう人だから」とか、人間についてめちゃくちゃ考えながら生きているからなのかなと思います。
ーーへえ! ルーツになっているアーティストはどなたでしょうか。
YURI:椎名林檎さんですね。紡ぐ言葉に知性が溢れすぎていて、理解が追いつかないくらいの歌詞を書かれるじゃないですか。それを読んだときにどう感じるかは人それぞれだと思うので、そこが面白いなと思います。椎名林檎さんの思考自体もとても気になるし、掴めなさそうなミステリアスなところが好きです。私もリリックを書くとき、曲を聴いていろいろな考え方をしていただきたいので、ストレートというよりは考察できるようなものをイメージして書いています。
ーーその個性が存分に発揮されていたと思います。パフォーマンスでは表情面の課題をちゃんみなさんから指摘されつつも、しっかりと乗り越えていった印象でした。ファイナルで鮮やかなパフォーマンスができた要因は何だったと思いますか。
YURI:オーディションを通して自分と向き合う時間が増えたことと、やっぱり一番大きいのは環境ですね。自分を解放できるんだと思える仲間たちがいたからこそ、あれだけオープンに表現できたんじゃないかなと思います。
MOMOKA「言いたいことを言っていくなら負けられない」
ーー次はMOMOKAさんにお伺いしますが、特に4次〜5次審査にかけて、闘志を剥き出しにするようなビジュアル作りがすごいなと思って観ていました。どんな覚悟があったのでしょうか。
MOMOKA:ちゃんみなさんを心からリスペクトしているというのに加えて、私の書くリリックはYURIと真逆で、ストレートに言いたいことを言っていく内容だったんですけど、そういうことを歌うとなったらすごく強い気持ちが必要で。自分は何事も形から入るタイプなので、ビジュアルから強気で攻めていこうという想いがありました。「リリックに負けないように」ってことをSKY-HIさんからも言われていたので、「外見で負けられない」「強く見られたい」っていう気持ちがありましたね。
ーー5次審査で、YURIさんがリリックを悩んでいるときにMOMOKAさんが声をかけにいくシーンが印象的で、MOMOKAさんの優しさが表れていたと思うんですがーー。
MOMOKA:ありがとうございます……!
ーーそんな優しいMOMOKAさんだからこそ、闘志を見せることって勇気がいるんじゃないかなと想像してたんですけど、ご自身ではどうだったんでしょうか。
MOMOKA:そうですね……今までは言いたいことがほとんど言えなかったんです。だから今回のオーディションで、やっと音楽を通してアンサーを出せるなと思っていて。でも自分が言いたいことを言ったら、きっと何かしらのヘイトも返ってくるだろうなと思っていたので、私はそれに負けたくなくて。言いたいことを言っていくなら負けられない、強くありたいという気持ちがあったのかなと思います。
KOHARU「自信のなさは、次のステップに行くための試練」
ーーKOHARUさんはもともとダンスや振り付けに強いイメージでしたが、ファイナルの「Drop」や「ディスタンス」のステージを観て、歌でもかなり存在感を発揮されている印象でした。
KOHARU:ありがとうございます。私はこれまで歌をしっかりやったことがなかったので、今回のオーディションを通して歌について知って習っていくみたいな感覚でした。その結果として、そのように受け取っていただけたならすごく嬉しいですし、自分の魅力にもちゃんと気づいて発揮することができたのかなと思います。
ーーKOHARUさんの書くリリックって「NG」でも「ディスタンス」でも、打ち負かしていくこと以上に、誰かを照らす方に心が向いているものが多いじゃないですか。アンチですら心の太陽で照らしてやるっていう、その強い思いはどこから来ているのでしょうか。
KOHARU:これってすごく人間らしくて嫌だなと思うところでもあるんですけど、その方が優越感に浸れるといいますか、自分が気持ちいいからですね。打ち負かすと周りから嫌だなって思われたりするじゃないですか……こいつヤベえヤツだな、みたいな(笑)。そうじゃなくて、勝手に負けた気分を存分に味わってくださいという汚い部分もあると思いますし、それが一番強いんじゃないかなって。
ーーなるほど。そんなKOHARUさんも「ずっと自信がなかった」と言っていたのが意外だったんですが、どうしてだったんでしょう?
KOHARU:自信がないというのは、周りよりも劣っていると感じるからだと思うんですけど、それって世界がわかってきたからでもあると思うんですよね。以前は「自分が一番!」「楽しい!」みたいな気持ちばかりだったけど、「世間はこうできているよな」とか「こういう人っているよね」とか、だんだん周りが見えてきたからこそ人と比べてしまって、自信のない考え方になっていったのかなと思うんです。でもそれって「自分はまだまだ経験が足りないんだな」っていう、向上心ゆえの自信のなさでもあると言いますか。だから自信がないことは必ずしも悪いとは思っていなくて、次のステップに行くための試練なのかなと思っています。
ーーポジティブな意味もあるということですね。
KOHARU:そうですね。もちろん、自信のなさで足を引っ張っちゃった部分もあるんですけど、オーディションを通して自分をまるっと受け入れて「そういうところも自分の良さだよね」と思えたし、ソロパフォーマンスにはそういう想いを込められました。自信がない時期の後に、ちょっと楽観的に自分を見れるようになるとすべてが良くなるんですよ。今はそれが自然にできているので、すごく幸せです。
MAHINA「音楽をやっている間はみんな対等」
ーーMAHINAさんは最年少ですが、見ているとすごく切ない気持ちになったり、逆にどうしてこんなに強さを前面に出したパフォーマンスができるんだろうって不思議だったんです。ご自身では、どうしてステージ上でそうなれるんだと思いますか。
MAHINA:3次審査で一度見送りという結果だったんですけど、そこからラップで3.5次審査を受けさせていただくまでの準備過程で、結構自信がついたというか。みんなが次に進んでいく中で、私だけは下にいて追いつけてない状況だったので、どう乗り越えようかなとずっと考えていて……だったら自分を出すしかないし、「自分はこういう人だぞ」ってちゃんみなさんにぶつけるしかないなと思ったので。3.5次審査から最終審査まで、自分の強みとすごく向き合うことができました。「音楽に年齢は関係ない」とちゃんみなさんやSKY-HIさんがよくおっしゃっているんですけど、私も本当にそうだなと思っていて。音楽をやっている間はみんな対等だという考えが私にはあるので、だからこそステージの上でありのままの自分で遊んだり、楽しめたりできるんじゃないかなと思っています。
ーー素晴らしいですね。「音楽をやっている間はみんな対等」というのは、いつ実感したんでしょうか。
MAHINA:メンバーやちゃんみなさんのおかげですね。私自身、最初は「最年少だから追いつけるようにしっかり頑張らなきゃ」という気持ちだったんですけど、周りのみんながすごく優しいし、一緒に音楽を作るときも「最年少だから」っていう接し方はみんな一切しないんです。ちゃんみなさんも最年少だからという理由で評価をつけるのではなくて、1人の人間としてしっかり向き合ってくださったので、そのときから感じるようになりました。