@onefiveが問いかける“かわいい”の真の意味 無敵の強さに繋がる5年の道のり、4つの「あの日」を振り返る
@onefiveが問う“かわいい”が持つ本来のときめき
――去年4月にリリースされたメジャー1stアルバム『Classy Crush』以降、楽曲の方向性やビジュアルも含め、かわいさよりも凛とした力強い姿勢を表出させたガールクラッシュ路線を押し出している印象があります。それによって、まわりからの見られる目も変わりましたか?
MOMO:それこそ、前まではかわいがられるような声をいただくことが多かったんですけど、1stアルバム以降は「かっこいい!「かっこよくてびっくりした!」という感想もいただけるようになって。小さい頃から私たちを見てくれていた方には「こんなに成長したんだ!」とか、初めて知ってくださった方も「こんな子たちが日本にいるんだ!」と思っていただけているのを感じます。
GUMI:普段の私たちはゆるめな雰囲気だと思うんです。わかりやすく言えばハッピー系というか。かっこいい雰囲気の楽曲を歌った時に「喋っている時とのギャップがあるね」と言われることも多いです(笑)。
――@onefiveは、今年「more than kawaii」をテーマに掲げて活動していくことを発表しました。あらためてテーマの意味を教えていただけますか?
MOMO:“かわいい”という言葉をみんな簡単に使いすぎなんじゃないかな、と疑問を持ちまして。「ちゃんと心から思えていないんじゃないかな?」「“かわいい”という言葉が持つ、本来のときめきを忘れているんじゃないかな?」と今の社会を見ていて思うんです。私たちも「かわいい」と言ってもらうことはあるんですけど、「私たちの魅力は“かわいい”だけには収まらないのに、どうして“かわいい”しか言ってくれないんだろう?」って。そんな話を4人ですることもあるし、「“かわいい”には収まらないほど、@onefiveには魅力がいっぱいあるんだよ」と皆さんに知ってもらえたらと思って、「more than kawaii」のテーマに行きつきました。
――たしかに、“かわいい”には具体性がないし、でも使いやすいから「かわいい」と言っておけばとりあえず褒めている、みたいな風潮がありますよね。“かわいい”だけのフワッとした言葉じゃなくて、「もっとちゃんと見て、どこがいいのかを言ってよ」という。
全員:(拍手をして)わー!
――”かわいい”という言葉に甘えるなっていう。
KANO:そうです!
SOYO:次の取材からそうやって言っていこう!
――(笑)。でも、新曲「KAWAII KAIWAI」でも〈アタシ唯一無二の存在なのに/どんくらいkawaii?/説明なし〉と歌っていますもんね。
MOMO:そういう意味では、今回の歌詞は意味がわかりやすいかも。
――振り返ると、今年は3カ月リリースを始動して1月15日には第1弾の「らいあーらいあー」をリリースしました。冒頭で触れた台湾のイベントでは、初めてフル尺で披露されましたが、手応えはいかがでしたか?
MOMO:台湾の皆さんはすごくノリが良くて。日本とはまた違う雰囲気で盛り上がってくださる方が多かったんです。それに「らいあーらいあー」は自信たっぷりに披露する曲だと思っていたので、その自信をさらに盛り上げてくれたステージになりました。
――楽曲やダンス含めて、妖艶かつスタイリッシュな雰囲気をまとっていて、今の@onefiveらしさを集約しているように感じました。
SOYO:今回は歌も踊りも綿密に考えていきました。ちょっと気怠く歌う感じが、ギャルっぽいし大人っぽい。でも、そのなかにはかわいさも含まれていて、一曲のなかでいろんなキャラクターが見える声色になっていると思います。ダンスもHIPHOPな動きやきれいに踊るようなパートもあって、「私たちにはいろいろな魅力があるんだ」ということが「らいあーらいあー」のパフォーマンスで十分に伝わると思います。
KANO:私はレコーディングで苦戦したところが多くて。歌い出しの〈言葉はtrap〉とか、自分が出せる限界の低い声で歌うのに時間がかかりました。歌の表現方法を学べた楽曲です。
かわいいだけじゃない魅力をみんなが持っているのに
――2月14日には第2弾となる「KAWAII KAIWAI」がリリース。初めて楽曲を聴いた時、皆さんはどう感じましたか?
KANO:サビの〈和気藹々可愛いだけの界隈〉というキャッチーなフレーズがすごく印象に残りました。ほかのグループにはないタイプの曲だと思います。
MOMO:「らいあーらいあー」は王道な楽曲という印象もあると思うんですけど、「KAWAII KAIWAI」はアートのようなイメージもあって。世界観が強いぶん、パフォーマンスするのが難しそうだなと最初は思いました。
SOYO:曲調はすごくかわいい感じなのに、歌っている内容は結構強くて。そのギャップが面白いよね。
GUMI:うん。「らいあーらいあー」よりも皮肉が効いていて。自分たちで「KAWAII KAIWAI」というタイトルをつけているのに、「なんでそれしか言わないの?」と突っ込んでいるのが面白いよね(笑)。
MOMO:楽曲制作をしてくださった古賀(Ryotaro Koga)さんが、事前に私たちが曲で歌いたいことや曲に込めたい思いを聞いてくださる機会を作ってくださって。それを踏まえて楽曲を書いていただいたので、私たちがミーティングで言ったことが「KAWAII KAIWAI」にはたくさん反映されていて。4人のリアルな気持ちが、この一曲にギュッと詰まっています。
GUMI:「KAWAII KAIWAI」という言葉も、その話し合いで生まれたんだよね。
MOMO:「○○界隈」っていう言葉があるじゃないですか。それに便乗して、この曲名になりました(笑)。
――皆さんがアイデアを出して、それが楽曲に落とし込まれているんですね。ちなみに、どういう会話の流れから「KAWAII KAIWAI」の種に繋がったのでしょう?
GUMI:きっかけは、私たちの悩みで。どれだけダンスや歌を頑張ったり、かっこよく見せたりしても「かわいい」としか言われない。それもイヤですし、世間で“かわいい”の象徴と言ったらアイドルがひとつあると思うんですけど、それもかわいいだけじゃない魅力をみんなが持っているのに、「結局“かわいい”という言葉でひとまとめにされてる感じはちょっとウザくない?」って。そんな話をみんなでしていたら、「それいいじゃん!」と言ってくださって。そこから書いていただきました。
――それこそ皆さんは「かわいい」と言われる環境に長いこといますし、@onefiveになる前からも“かわいい”に対する違和感が蓄積されていたのかもしれないですね。
GUMI:そうかも。たしかに、私たちって“かわいい歴”は長いよね?
SOYO:街中で「かわいい!」って声が聞こえてきたら、私のことかなと思っちゃう時あるもんなあ(笑)。
MOMO:「『かわいい!』と言い合って馴れ合いするのはちょっと上っ面じゃない?」 「本当に思っているのかなあ?」と思ってしまう、少し悪い私たちを歌詞にしてもらいました。
MOMO、10代最後の声も
――レコーディングを振り返って印象に残っていることはありますか?
KANO:大変だったよね!
SOYO:そういえば、MOMOちゃんは10代ラストの歌声になるんじゃない?
KANO:あー!
GUMI:そうだね!
MOMO:私の誕生日が12月8日なんですけど、自分の歌入れを終えたのが12月7日の23時50分だったんです。だから10代最後の声なんです(笑)。
KANO:それも聴きどころだね。
MOMO:ドキドキしながら歌ったよ。
SOYO:「もうすぐ誕生日を迎える!」ってね。
MOMO:間に合ってよかった。
SOYO:この曲は私の声にも合ってるなと思っていて。ハムボ(ハム声)みたいな鼻にかけたかわいい声がキャッチーになっていると思っています。ラップのところはMOMOちゃんと私が毎回担当していて、MOMOちゃんの優しめに言葉を詰めている感じがすごく好きなんです。
KANO:ラップのところはかわいいのに強そうな感じがするから、私もすごく好き!
MOMO:ラップパートのレコーディングは、勢いよく強めに言葉を詰める感じではなくて「『なんとかだし~、なんとかだもん』ってブーブー言うようなテンション感で」とディレクションしていただいたので、それが曲に出ていると思います。
――ギャルのノリがかなり出ていますよね。振り付けはいかがですか?
KANO:今回は初めてご一緒する振付師さんで、振りに若さがあって、それがこの曲にすごく合っているんです。久しぶりに飛びながら踊りましたね。いい意味で落ち着きがないから、観ている方も楽しめると思います。
MOMO:全体的にかわいい感じではあるんですけど、それだけの振りではなくて。ちゃんとバキバキに踊るところと、キャッチーでキュルンとした振りのところもあって、本当にこの曲に合っていてバランスが天才だなと思います。
SOYO:今までの@onefiveにはなかった踊りと構成だから、また新たな魅力を感じられると思います。
GUMI:歌詞ではぐちぐち言ってる感じだけど、メロディはかわいくて、ダンスもキュルンとしていて、歌詞とのアンバランスさが逆にすごく面白い。いちばんいいバランスのアンバランスですね。