AA=のライブが問い質す“ALL ARE UNITED”の真意と“平等”の形 ひとつの理想を築き上げたステージを見て

序盤の畳み掛けるような展開も刺激的だったが、AA=ならではのいびつな整合感を伴ったスピード感は、それ以降もエスカレートすることはあっても減速することはなかった。実際のテンポがどうのという意味ではない、体感スピードが速いのだ。だからこそ瞬く間に時間が過ぎていくような感覚がある。ステージの中盤、「新しいやつ、楽しみにしててくれ」という言葉とともに新曲が披露された際にも、後半で『Story of Suite #19』からのシネマティックとでもいうべき楽曲が続いた場面でも、刺激的なスピード感は必ずそこにあった。そして先述の新曲を披露する際、上田はこんなことを言っていた。
「楽しんでる? 結構久しぶりのライブなんで、みんな楽しんでいって。スタジオ生活が続いてた俺も楽しもうと思ってるから。ライブハウスは自由な場所。好きにやってくれ」
AA=のライブでは、いわゆるモッシュやダイブをする人たちもいれば、踊っている人たちも、音に身を委ねながら立ち尽くしている人たちもいる。もちろんライブハウスにもルールはあるし、さまざまな人間が集まる場においては忘れずにおくべきマナーというものがある。そして、誰もがその人なりの楽しみ方をすることが許されているのと同時に、ほかの誰かの楽しみ方を邪魔したり否定したりすることは許されない。異なった楽しみ方をする人たちが同じ場所で共存することができるのは、同じ音楽を心の拠り所にしている者同士という意識がどこかにあり、ある種の信頼関係がそこに成立しているからではないだろうか。そして、思う。それこそが“平等”というものなのではないか、と。だからこそひとつになれるのではないか、と。

人と人の関係も、国と国、種族と種族の関係にも、同じようなことが当てはまるはずだ。そうした意味において、ライブハウスのフロアには世界の縮図のようなところがあると言えるかもしれないし、AA=と彼らのオーディエンスは、ひとつの理想を築き上げることに成功しているようにも思う。

約100分間に及ぶライブが終わったあと、刺激的な轟音を味わいつくした僕はすがすがしい気分を味わいながらも、冒頭にも記したように、さまざまなことを考えさせられていた。そして同時に、日常の中で鬱積したものを晴らしてくれて、なおかつ考えるチャンスまでもたらしてくれる音楽というものの素晴らしさを実感させられていた。こんな日を過ごすことができるのは、必要充分な平和がそこにあるからだ。それを失ってはいけないし、そこで平和ボケしてしまうことも絶対に避けなければならない。またこんな日を過ごすためには、一人ひとりにすべきことがあるーーステージを去る前に上田の口から聞こえてきた「みんなにとって、明日がいい日であることを願ってます」という言葉が、僕の耳にはそんな意味に聞こえた。
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■『AA= LIVE THE NEXT』
1月25日@渋谷・WWW X
<セットリスト>
01. BLUE&YELLOW
02. LOSER
03. GREED…
04. POSER
05. FIGHT & PRIDE
06. CLOSED WORLD ORDER(Chapter 5)
07. BORDER
08. 憎悪は加速して人類は消滅す~Hatred too go fast, Vanishing all human~
09. meVIR
10. ROOTS
11. 新曲
12. NOISE OSC
13. MONEY GRUBBER
14. 過ぎていく時は君の物語と似ている(Chapter 4)
15. WHY DO YOU KNOW MY NAME? ~全てを知っている君は何も知らない~(Chapter 8)
16. I HATE HUMAN
17. NEW HELLO
18. posi-JUMPER
ENC
19. CRY BOY
20. FREEDOM
21. PICK UP THE PIECES