ベンソン・ブーンは“ポップスター”の理想像 圧倒的な歌唱力&肉体美で会場を掌握した初来日公演

ベンソン・ブーン、来日公演レポ

 1月14日、東京・Zepp Hanedaにて、一夜限りとなるBenson Boone(ベンソン・ブーン)の初来日公演が行なわれた。昨年の年間シングルチャートで全米3位/全英2位の大ヒットを記録した「Beautiful Things」の勢いもあってか、チケットは見事にソールドアウト。若い世代を中心に、家族連れや海外からの観客など様々な客層が集まり、今もっとも勢いに乗る新鋭シンガーのパフォーマンスに熱狂した。

ベンソン・ブーン

 今回の来日公演は、昨年リリースされたデビューアルバム『Fireworks & Rollerblades』を携えてのツアーということもあり、ライブの冒頭ではアルバムのオープニングを飾る「Intro」から、軽快なポップロックの「Be Someone」への流れを再現。Boone自らが歌い上げる〈Do you believe there is a life / Where it′s just you and me and I?(そんな世界があるって信じる?/僕らと僕しかいない世界)〉というスウィートな問いかけに、期待に満ちた観客が熱烈な声援で応えていく。

 この日の公演における最大のサプライズは、なんと言っても22歳、今回が二度目のツアーであるにも関わらず、スター性に満ちたパフォーマンスをBooneが堂々と披露していたことだろう。弾き語りパートを終えて、開放感に満ちた「Be Someone」のイントロをバックバンドが鳴らした瞬間、なんとBooneは鮮やかなバック宙を披露。Booneといえば繊細な楽曲からは意外(?)なほどに見事な肉体美でも知られているが、その身体性を活かしたパフォーマンスに観客の熱狂は一気にピークへと到達する(ちなみにこの日のステージ衣装は、裸にデニムベストを着用というセクシーぶりで、ライトに照らされた見事な上腕二頭筋がフロアにさらなる熱狂をもたらしていた)。

ベンソン・ブーン

 その後も、「Cry」や「Pretty Slowly」、「Slow It Down」といった代表曲を惜しみなく披露していったBooneは、ほとんどの楽曲で観客へ近付き、握手をしたり、手を振ったり、「Cry」では観客から渡された帽子を被ったりと、とにかく一人でも多くの観客と繋がろうとしていく(ちなみに「Cry」では再び宙返りを披露していた。というかライブ全編で数え切れないくらい飛んでいた)。その姿は、まさに理想的な「ポップスター」そのものであり、かつてオーディション番組で絶大な注目を集めながらも自分らしいキャリアの在り方を築くために番組を降板し、大きな後ろ盾を失いながらも自身を支え続けてくれた人々に対する、惜しみない感謝の想いが表れているようにも感じられた。

ベンソン・ブーン

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 とはいえ、この日もっとも観客を魅了していたのは、やはりその圧倒的な歌唱力に他ならないだろう。何度も宙返り/バック宙を披露したり、ステージの端から端まで何度も往復しながら観客とコミュニケーションを取ったりと忙しなく動き回るBooneだが、その歌声がブレる瞬間は一瞬たりとも存在しない。70年代のUKロックを彷彿とさせる「There She Goes」から、Imagine Dragonsのような現代らしいアリーナロック「What Was」、スウィートなバラードの「In The Stars」に至るまで、繊細かつブルージーな声質自体の魅力と、低音からハイトーンまで見事に歌いこなす歌唱力、ここぞという場面で炸裂させる圧倒的なシャウトといったBooneの歌声の魅力が、音源を遥かに凌駕するスケール感を伴って会場中に力強く響き渡る。間の取り方やリズム感も素晴らしく、バックバンドの演奏と見事に呼応しながら、鮮やかで壮大なサウンドスケープが描かれていく。これはまさにライブならではの醍醐味であり、Boone自身も歌うことそのものの喜びを全身で味わっているかのように感じられた。また、こうした充足感はバンド側にとっても同様のようで、変幻自在のボーカルに呼応するように、メンバー全員がグルーヴに満ちた素晴らしいプレイを披露していたのが、強く印象に残っている。

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