由薫&菜々香、朗読劇『ピーター・パンとウェンディ』に挑戦 ふたりが感じた魅力と母性

由薫&菜々香、朗読劇に挑戦

 1月15日、東京・song & supper BAROOMにて『Song Storytelling in BAROOM「ピーター・パンとウェンディ」』の公開稽古が行われた。同公開稽古には、ピーター・パン役を務めるシンガーソングライターの由薫と、ウェンディ役の菜々香が参加。「Fly Free」と「To The Next」の2曲を披露した。

 台本を片手に由薫と菜々香が登場すると、早速「Fly Free」を歌っていく。同曲は、ピーター・パンとウェンディがネバーランドに向かって空を飛んでいるシーンの楽曲。菜々香が伸びやかな歌声で歌詞を紡いでいくと、脳裏に情景が浮かんでくる。そこに由薫の包み込むようなスモーキーで優しい声が重なり、情景に色をつけていった。気持ちと歌声を寄り添わせるためなのか、時折ふたりが目線を合わせながら歌う姿が印象的だ。

 続いて、由薫がウェンディの娘・ジェーンを演じるシーンの楽曲「To The Next」へ。同曲は、ウェンディとジェーンがピーター・パンと再会した時に、それぞれの思いをピーター・パンに伝えるという内容だ。歌う前の語りの部分、「Fly Free」とはまったく違う声色でウェンディのセリフを語る菜々香。その演じ分けが実に見事で、母になったウェンディの姿が浮かんで見えてくるよう。そして、落ち着いたウェンディの声色と対比するかのような由薫のピーター・パンのセリフは、より少年らしく感じることができた。彼女のピュアな歌声はジェーンにもぴったり。ふたりそれぞれのよさがしっかりと伝わってきた。

 公開稽古終了後は、由薫、菜々香に加えて演出を手掛ける小見山佳典も登壇。小見山は、「ピーター・パンは皆さんよくご存知のお話だと思います。今回はひょっとしたら『ピーター・パンってこんなお話だっけ?』と思われるかもしれません。ピーター・パンの冒険を描いているのですが、同時にウェンディ、娘のジェーン、お母さんといった女の子たちのお話をより際立たせて演じようというのが今作の意図です」と語る。役どころについて聞かれると、菜々香は「ウェンディは、自由で永遠の子どもであるピーター・パンに憧れている普通の女の子。ピーター・パンと冒険をしていくんですけども、私は彼女が母性の溢れる女の子だなと感じました。今回、ウェンディの子どもの頃と大人になってからのウェンディを演じさせていただくんです。そこに重要なテーマがあると思っていて。ピーター・パンが永遠に子どもであることについて、彼の存在自体について、大人になったウェンディが語ってくれるのがすごく素敵だなと思っています」、由薫は「私のなかのピーター・パンは、自由な場所に連れ去ってくれる完璧な存在というイメージでしたが、いざセリフを読んでみるとわがままだったり、自分勝手だったり、すぐに物事を忘れてしまったりと、ダメな部分も描かれていました。ただ、そんなピーター・パンがたくさんの人を引き付けるというのは、それだけ魅力が詰まっている役なんだなと思いました」とコメント。それぞれのピーター・パン象、ウェンディ象を語っていく。

 また、由薫と菜々香は今作で初めて会ったそうで、それぞれの印象を語るシーンも。稽古が行われたのは2、3回とのことだったが、菜々香は「由薫さんは年下なのに落ち着いていて、周りを観察されている方という印象でした。でも、あどけなさもあって、ピーター・パンな感じがあって(笑)。お話ししていくうちに距離が縮まった感じがしています」と印象が変わったそう。由薫はミュージシャンらしい視点で「菜々香さんは地声は低めで落ち着いていて、歌うと高くて、すごく声の幅が広い方。ピーター・パンの夜空のなかで鈴が鳴っているかのような凛とした声に、ぜひ注目して聴いてほしいなと思っています」と菜々香の印象を語った。

 今作が初の朗読劇である由薫は「緊張はされていますか?」という質問に、「練習の時にすごく緊張していて。たくさんのことを一度に学んでいる状況で、すべてが初めてで、緊張する場面も多いです。でも、きっと本番はただ楽しいだけなんだろうなって予想をしています。不安よりはわくわくの気持ちが強いです」と流石の返答。菜々香も「『本番は緊張しないと思う』っていうのがすごいなと思う。心強いな、って」と感心していた。

 意気込みを聞かれると、「このステージは音楽朗読劇かもしれませんが、すごくお歌が多いんです。前にやった『星の王子さま Le Petit Prince 〜きみとぼく〜』や『銀河鉄道ノ夜』にも増して、楽曲がたくさんあります。ぜひお歌も楽しんでいただけたらいいなと思っています。それと、それぞれの人生が続いていくというお話にもなっていて。楽しいお話だけれど、ちょっとした悲しみや切なさを感じてもらえたら」(小見山)、「ただ文章を読み上げるだけじゃなくて、背景はもちろんちょっとした動きだったり、この劇場はお客さんと距離が近いので会場全体を巻き込んだり、立体的なものになるような気がしています。Aチーム、Bチーム、Cチーム、それぞれが特徴あるチームになっていて、私は菜々香さんと一緒に自分らしさも加えつつ楽しんでやりたいと思っています」(由薫)、「楽曲も素敵なので、観にきていただいた皆さんのなかにあるピーター・パンの心を呼び起こしてもらえるような作品にしたいと思っています。皆さんもネバーランドに遊びにきてください」(菜々香)と、語って公開稽古を終えた。

由薫、ワンマンライブ『After Sun』で咲かせた笑顔と未来 表現の広がりで予感させたステップアップ

由薫が9月リリースのEP『Sunshade』をコンセプトとしたワンマンライブ『After Sun』。を11月1日に東京・代官山U…

『ヒプマイ』『ビバレン』『パラライ』……二次元コンテンツにおける“ファン投票/オーディション”システムの潮流

音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』が、劇場映画としては“日本…

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ニュース」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる