『ユイカ』、10代最後のライブで何を歌ったのか？　「20歳になっても私は私のまま」――覚悟が滲んだ夜

　グッズのペンライトがカラフルに客席を彩っていたこの日のライブ。『ユイカ』はそんな客席を見て、「“次の曲当てゲーム”をやろう」と言い出し、次の曲だと思う楽曲のイメージの色を点灯するようにと説明する。点灯させるファンに向かって「それは何の曲だと思ってその色にしたの？」と話しかけたあと、選曲されたのは、なんと未発表の新曲「おくすり」。自身もお気に入りだというキュートな新曲を楽しげに披露した。

　最新モードを見せたあとには、自身が受験のために活動休止をする際に発表した「17さいのうた。」、その休止明け最初に発表された「序章。」と、数年前の葛藤の日々に制作された楽曲が2曲続けられた。この2曲は『ユイカ』にとって特別だからこそ、1stアルバム『紺色に憧れて』には収録されていない。この2曲を歌い終えた『ユイカ』は、「『17さいのうた。』を書いた時、本当は前を向く曲を書こうとしていて」と話し始める。「『自分も頑張るから、みんなも頑張ろう』みたいな。本当はそういう曲を書く予定だったし、実際にそういう曲を書いたんです。だけど、自分的に全然納得がいかなくて、『私はこんな曲が書きたかったんだっけ？』って。それで、本当に自分が書こうと思っていることを書こうと思って書いたのが、『17さいのうた。』でした。だから〈私はまだ、／他の誰かを支えられるほど／強くなかったみたい。／ごめんね。〉と書いています。そして今、19歳。もう少しで20歳になります。今なら、その時に書けなかった歌が書けるかもしれないと思って、この曲を書きました」と続けると、一呼吸おいて力強く「あなたに前を向いてほしいと思って書きました。ぜひ聴いてください」と紹介し、1月8日にリリースされたばかりの「ラストティーン」へ。〈どうかずっとずっと貴方のままでいて〉〈どうかずっとずっと私のままでいたい〉と、リスナーの背中を押しながら自身にも語りかけるような歌詞に、『ユイカ』自身が思わず感極まる場面も。しかし、涙を堪え声を震わせながらも歌い切ろうとする姿からは、彼女の強い覚悟が感じられた。

　今の決意をしっかりと刻んだあと、「僕らしさ」からラストスパートへ。先ほどのMCのなかで「僕らしさ」のイメージカラーが紫だとファンが言ったことを受けて、同曲の歌唱時には客席が紫一色に染まり、続く「すないぱー。」では客席内でピンクの大きなバルーンが泳ぎ、その中からハート型の風船が出てくるというかわいらしい演出で場内が彩られる。『ユイカ』は歌詞にあわせて“撃ち抜いて”見せたり、曲に合わせてクラップをして見せたりと、楽しげなパフォーマンスを見せ、元気いっぱいに本編を締めくくった。

　アンコールでは話しすぎ防止のために用意されたタイマーを無視して（！）グッズ紹介をする自由奔放ぶりを見せたあと、あらためて19歳最後のライブであることを噛み締めていく。「20歳になっても私は私のままでいるし、あなたはあなたのままでいてほしいし、私が音楽をするっていう決断をして、それをみんなが聞いてくれる。そんな関係がずっとずっと続いたらいいなって思います」と未来への思いを語る。そして、10代最後のライブの締めくくりとして選曲されたのは、音楽の道へ進むと決断をした際の想いを綴った「紺色に憧れて」。当時の思いが赤裸々に綴られた歌詞を歌いながら、またもや思わず声を震わせる場面もあったが、前を向き、〈これが私の詩だから〉としっかり歌い上げた。すべてを終えると、『ユイカ』は「みんなと会えたことが本当に幸せで。あなたがきてくれたことが私の人生でいちばん幸せなことです」とあらためてユイナーへの想いを伝え、“ラストティーン”のライブを笑顔で締めくくった。

　この日、「昨日よりも成長しているし、もちろん1stライブよりも成長している」と胸を張ってライブに挑んでいた『ユイカ』。この先も、ユイナーとともにさらに成長していく姿が見られそうだ。