南條愛乃は何のために音楽活動を続けるのか 10年かけて築き上げたファンとの相思相愛な関係性

私が音楽を辞めたら、みんなに逢えなくなるわけじゃないですか
ーーところで今回のライブ映像作品は、これまでと別の方が監督に入られたのだとか。
南條:そうなんです。もりやたくみさんに、収録監督と編集をお願いしました。もりやさんの映像を初めて観たのは、2019年3月に出演させていただいた『FINAL FANTASY XIV FAN FESTIVAL 2019 in TOKYO』でのことで、バンドさんの手元のアップ、映像の角度からシルエットの使い方まで、どこを取ってもおしゃれだなと思って。今回ようやくご一緒することが叶いました。
ーー映像として、特に注目してほしい部分などもありそうです。
南條:ライブ冒頭の部分。ステージに上がる直前、私の後ろ姿が一瞬だけ映るシーンとかかな。日常と非日常というか、私が日常と地続きにある場所からみんなに会いに行っていることがすごく伝わると思います。あとは、みんなが握るペンライトだったり、各々の楽しみ方もしっかりと映っていて、“私とみんな”の姿がこれまで以上に収められていて。どのシーンも本当に面白くて、映像チェックのときもチェックだと忘れて“あははっ”とか言いながら普通に笑っていたし(笑)。逆に、どこか注目ポイントはありましたか?
ーー個人的には「藪の中のジンテーゼ」かなと。カメラのピントを外してぼやかしたり、映像スピードをスローにしたりと、“あえて”の表現がこの曲の雰囲気にとてもマッチしていました。全体的に歌詞に通ずる雅な画作りでしたし、ライブ当日にお邪魔した私でも、現場とはまったく違う味わい方ができる曲でした。
南條:「藪の中のジンテーゼ」と「一切は物語」は、スクリーンの映像込みで演出にかなりこだわったので、披露した甲斐がありました。なにより私自身はどう頑張っても、本番の模様を客席から観られないので、映像との比較ができないわけで。当日とはまた別の味わい方ができると感じてもらえたのなら、ライブに足を運んでくださった方にも期待をしていただけそうですね。
ーー少し規模感の膨らむ話となりますが、ストリーミングサービスの登場により、音楽そのものは日常で手軽に、ある意味で無意識でも耳に入れられるものになりました。対して、こうしたライブ映像作品は、パッケージ購入をはじめ、ディスクを取り出し、デッキに挿入して再生ボタンを押すという、視聴に際していくつもの手間がかかるものであり続けています。そんなハードルを乗り越えてもらってでも、この作品をどんな方に観てほしいですか?
南條:あの2日間は、八木さんを中心とするみなさんのおかげで、とてもハートフルな時間を過ごすことができて。バンドメンバーさんとも、“ライブの余韻が抜けないね”なんて話を未だにするほどなんです。たとえ画面越しだとしても、温かく、満たされた気持ちになってもらえるはず。ということで結論、心の充電がしたい……というか、潤いがほしい方に?
ーーぜひお求めいただきましょう! この取材も終盤に差し掛かってきたところで、この質問をさせてください。南條さんがいま、音楽活動を続けている理由とは?
南條:ファンのみんなに逢うためです。
ーー即答でした。
南條:「Recording.」の歌詞に寄せるわけではなく、曲の向こうにみんなが居るので。私が音楽を辞めたら、みんなに逢えなくなるわけじゃないですか。それがいちばんの理由です。最近はみんながこの言葉をよく使いますが、私自身は“たぶらかされ”ながらこの10年間を歩んできたので、これからもお互いにたぶらかしあって進んでいくのかな。
ーー勝手ながら、南條さんは『カタルモア』リリース当時、自ら勧んで人前に立つようなタイプではなかったと思っています。あれから10年間が経って、ソロアーティスト活動をする意味もまた、音楽制作からライブを開催することに変化した。そんな捉え方をしてよいものでしょうか。
南條:たしかに以前は、できることならスタジオワークだけで音楽活動を完結させたい想いもありました。ただ、最近はその先の存在を意識できるように変わったなと。ライブを見越しての作品作りをしつつ、それを“ライブありき”と言ってしまうのも、ファンのみんなに気に入られたいというのともまた違うとは思っていて。アーティスト活動の意味が変わったというより、みんなの応援があってライブを楽しいものだと感じられるようになったというのが、私自身の考えですね。
ーーファンの存在あっての成長ですね。
南條:まさしくです。まぁ本番前は緊張しっぱなしだし、“おなか痛い”って一生呟いてますけど。マジで(笑)。
ーー南條さんほどのベテランでも、そんな状態に……。
南條:“なんでこんな想いをするのに、私は音楽を続けているんだ?”って、毎回のように思っています。誤解はされたくないですが、私自身はいつライブが中止になってもいい(笑)。そう思っていたとしても、不思議なことにライブが終わると楽しい気持ちにころっと様変わりしているんですよね。
ーー余談ながら、本番前のケータリングは召し上がるタイプですか?
南條:食べるのがこんなに好きなのに、当日はあまり物が喉を通らなくて。まぁ、終わってから爆食いですけどね(笑)。あと、フェスだと顕著に表れがちですが、ライブ終演後はささっと準備をして帰られる声優さんがほとんどで。
ーーほほう。
南條:そのなかでも私は、1時間でも2時間でも楽屋でだらだらと過ごしちゃう。「終わったぜ~」って余韻にひたりながら、なにか食べちゃ、コーヒー飲んじゃ、「疲れた~」とか言ってストレッチしちゃ(笑)。最後まで会場に居座って、閉め出されかけることもしばしば。でも、みんなと過ごした後って、そのくらい幸せな気持ちになっちゃうんだよな~。

■リリース情報
LIVE Blu-ray『南條愛乃 10th Anniversary Live ーFUN! & Memoriesー』
2024年12月12日発売
初回生産限定版<2BD+PHOTOBOOK>GNXL-1013
税込価格:¥13,200
*特製スリーブ&デジパック仕様
*ライブフォトブック(52P)付属
<Blu-ray INDEX>
▼ Disc1/DAY1:2023.12.23 10th Anniversary Live ーFUN!ー
※M5~M7、M19~M21はメドレー
01. blue ー青の記憶ー
02. 飛ぶサカナ
03. ゼロイチキセキ
04. スキップトラベル
05. わガまま♡ブれいん
06. ゼリーな女
07. idc
08. 君のとなり わたしの場所
09. 逢えなくても
10. ヒトリとキミと
11. みんなの“好きな言葉”で書いた歌
12. 一切は物語
13. 誇ノ花
14. THE MEMORIES APARTMENT
15. Recording.
16. Simple feelings
17. iD*
18. 青星
19. あなたの愛した世界
20. 黄昏のスタアライト
21. きみを探しに
22. サクラタイマー
23. EVOLUTiON:
24. ジャーニーズ・トランク
▼ Disc2/DAY2:2023.12.24 10th Anniversary Live ーMemoriesー
※M5~M7、M17~M20はメドレー
01. blue
02. 光
03. 君が笑む夕暮れ
04. 今日もいい天気だよ
05. 優しくつもる言葉の花
06. リトル・メモリー
07. Gerbera
08. 7月25日
09. and I
10. 光のはじまり
11. It’ll be dawn soon.
12. 藪の中のジンテーゼ
13. Lonely voyage
14. 螺旋の春
15. + 1day
16. believe in myself
17. サヨナラの惑星
18. 涙流るるまま
19. 新世界
20. 瓦礫に咲く花
21. 白い季節の約束
22. A Tiny Winter Story
23. 閃 Sen
24. ジャーニーズ・トランク
25. カタルモア
26. ・R・i・n・g・
○ Making of 10th Anniversary Live ーFUN! & Memoriesー
▼ 店舗別オリジナル特典情報
https://nbcuni-music.com/yoshino_nanjo/news/hp0001/index05610000.html
▼ リリース記念イベント情報
https://nbcuni-music.com/yoshino_nanjo/news/hp0001/index05770000.html
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