連載『lit!』第129回:サツキ、大漠波新、マサラダ、柊マグネタイト、SAWTOWNE……2024年ボカロベストソング5選

■柊マグネタイト「テトリス」

テトリス / 重音テトSV

 2021年に「マーシャル・マキシマイザー」が一躍ヒットし、シーン再興の一助を担ったボカロPの1人とも言える柊マグネタイト。今年は『初音ミク「マジカルミライ 2024」』のテーマソング「アンテナ39」も手掛け、すでに十分な働きを見せていた中、2024年終盤に差し掛かったこのタイミングで彼が生み出した怪作が「テトリス」だ。

 シーンを牽引する音声合成ソフト・重音テトの名を、誰もがよく知るゲームに掛けた今作。キャッチーなサウンドの中には耳馴染みあるテトリスの曲のフレーズが引用される中、独特の語感で構成された歌詞からは“柊マグネタイト節”とも呼ぶべき響きを感じ取れるだろう。そんな今作は大勢の心を掴み、現在Billboard JAPANチャート「ニコニコ VOCALOID SONGS TOP20」では登場から4週連続1位と絶賛快進撃を果たしている最中だ。

■SAWTOWNE「M@GICAL☆CURE! LOVE ♥ SHOT!」

【MV】M@GICAL☆CURE! LOVE ♥ SHOT!/SAWTOWNE feat.初音ミク

 先述のYouTubeにおける1億再生突破曲の頻出は、海外リスナーの視聴による影響も大きい。「メズマライザー」の大記録樹立や、ボカロP・きくおによる自身初のアメリカツアー開催など、2024年は海外のボカロ人気を彷彿とさせるトピックスもシーン内には多く見られた印象があった。

 また、今年は初音ミクの海外ツアーシリーズ『HATSUNE MIKU EXPO』10周年でもあり、その関連施策として楽曲コンテストも実施。世界中のクリエイターが挑んだ本コンテストのグランプリに輝いたのは、活動歴わずか1年半の海外在住ボカロP・SAWTOWNEだ。全編英詞の曲には、随所に00年代の日本のインターネットミュージックを思わせる要素が点在。元祖ボカロカルチャーを彷彿とさせる今曲は、今まさにワールドワイドな人気を着実に獲得し続けている。

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