DECO*27×松丸亮吾、初音ミクを取り巻く“変化”の時代 『プロセカ』『ポケミク』で広がるボカロの世界
「まったく新しいボカロPの形があるかもしれない」(松丸)
ーーボカロへの入口として大きな役割を担っているTikTokやYouTube ショートに対し、DECOさんはオリジナルの初音ミク3Dモデル「デコミク3D」を用いて発信していますよね。
DECO*27:はい。僕はライブ活動をやっているわけではないので、自分のYouTubeチャンネルに上げられるコンテンツが限られてきてしまうんですよ。でも僕から届けられるコンテンツは多いほうがいいので、去年くらいから「デコミク3D」を使っていろいろ試している感じですね。ショート動画のほうがラフに見てくれる方が多いし、チャンネル登録も気軽にしてくれる印象があります。実際、ショート動画を上げると登録者数がバッと増えることが多いですね。楽しんでもらえている実感はありますよ。
松丸:ショート動画をきっかけに、その人のMVを見にいくことは僕も普通にやります。一般的にショート動画でのボカロ曲の使われ方はダンスやエピソードのBGMだと思うんですけど、おもしろいのはそこで使われている楽曲が最新であることにとらわれていないことで。昔の曲が使われることもすごく多い。かつてヒットした昔のボカロ曲が、数年を経てまた急激に伸びることがあるっていうのは、まさにショート動画ならではの現象のような気がしますね。
DECO*27:僕が考えるショート動画の重要なところって、「初めまして」をいかに減らしていくかだと思うんです。初めて見たり聴いたりしたものを自分の中に好みとして落とし込むのはけっこう時間がかかるんですよね。でも、ショート動画を通して一度でも遭遇していれば、次に回ってきたときの親しみやすさが増すし、そこでチャンネルに飛んでくれる可能性も上がると思うんです。そういう意味で、ラフに楽しんでもらえるショート動画はすごくいいものじゃないかなと。少しでも見てもらえなければ、何も始まらないですからね。
ーーボカロシーンの未来についてはどうでしょう? 期待も含めた思いを最後に聞かせてください。
DECO*27:いろんな色濃い個性を持つ人たちがどんどん出てきてくれたらいいなっていう思いはありますね。あと、「ラビットホール」のときにすごく思いましたけど、特に米国と韓国のファンに届いた時の爆発力って半端じゃないんですよ。あの曲では二次創作の動画がきっかけで、普段僕の曲を聴いていない人たちが国内外問わずぶわっと入ってきてくれて。
ーーその結果、「Trending Artist On The Rise」への選出や、ビルボードチャートにランクインするなど、世界的な大ヒットになりました。
DECO*27:ああいった広がり方が毎回できるわけではないので難しいところではありますけど、日本以外の場所でも自分の曲を聴いてくれている人がいるわけだから、日本語以外の言語を使っておもしろいコンテンツができれば、より広がりが生まれるんじゃないかなとも思っています。まだ具体的なアイデアがあるわけではないけど、いろいろ試案はしていますね。
ーー松丸さんはリスナー目線でシーンの未来にどんなことを期待しますか?
松丸:すべてを追えないくらいのアーティスト、作品が世に出ていることはシーンの広がりとしていいことではあるけど、長いスパンで活躍し続ける目立ったアーティストがあまり出ていないような気もするんですよね。もしかすると、それはライバルが増えた分、アーティスト同士で食い合っちゃってる状況が関係していたりするのかもしれない。シーンの中にはまだ見つかっていないだけで、まったく新しいボカロPの形があるかもしれないので、そこが押し出されていくとまたおもしろいことが生まれるんじゃないかなとは思いますね。
ーーちなみに今、気になっている気鋭のボカロPっていますか?
DECO*27:僕は流行ってる人の曲ももちろん聴くんですけど、割と芯を通して活動している人が好きで。最近で言えば、すごくいいロックをやっているあだちかすかさんや、強い個性をカッチカチに出しながら毎曲チャレンジングなこともしている罪草さんはかなり好きですね。
松丸:僕は今、jon-YAKITORYさんと「クリエイターズ・スタジオ with ボカコレ」というラジオをやってるんですけど、そこに先日ゲストで出てくれたseizaさん。最近では珍しくめちゃくちゃまっすぐで、キラキラした宇宙みたいな透き通った曲を書かれているんですよ。今はメジャーデビューもされていて、楽曲も伸びているので注目してます。
DECO*27:今のボカロ界隈って、ストレートで爽やかな曲をやる枠が意外と空いてるのかなって印象です。
松丸:確かに今、Orangestarさんやn-bunaさんの2人しかいない感じですよね。
DECO*27:そうそう。奇をてらったガチャガチャしたポップスをやってる人はいっぱいいるんだけど。流行ってるからといって同じスタイルに寄せていくとそこが食傷気味になって、違ったタイプがいいかもみたいになっていく回り方はあるかもしれないですね。
松丸:おもしろい。ちょっと俯瞰でシーン全体を眺めると、次の動きみたいなものが見えてくるかもしれないですね。
ーー個人的には冒頭でおっしゃったDECOさんの“とある目標”が気になりますけどね。そこと繋がるかはわかりませんが、今回のアルバムの1曲目「Rebirth」を聴いたときにライブの映像が見えてきて。DECOさんがライブをする、そんな未来もいいなと。
DECO*27:おー! なるほどなるほど。やりたいっすね、ライブ。言ったら全部揃ってるんですよね。楽曲が豊富にあって、ヒットソングと呼ばれるものもあり、「デコミク」という3Dモデルと振付もあるっていう。
松丸:確かに! すぐにライブできるじゃないですか。“変化”がテーマのアルバムを作ったんだから、今までやってないことをやらないと。
DECO*27:そうね。ミクの新しい調声とかも、なんならライブっぽいかもしれないしな。
松丸:あれ? これはもしかしたら一個当てちゃったんじゃない(笑)?
■リリース情報
『TRANSFORM』
All Music by DECO*27
Voice: 初音ミク (Original CV: 藤田 咲)
[DISC1] TRANSFORM
1. Rebirth
2. ルーキー
3. ハオ
4. ラビットホール (Reloaded)
5. 友達バリア
6. あいたい星人
7. サッドガール・セックス
8. モニタリング
9. 本命
10. ネバーランド
11. キスミーザウルス
[DISC2] SINGLE COLLECTION
※初回限定盤、音楽配信のみ
1. キメラ
2. サラマンダー
3. 毒林檎
4. ボルテッカー
5. ラビットホール
6. ゾンビ
7. 宇宙散歩
8. マネキン
9. ブループラネット
10. 愛言葉IV
■関連リンク
・アルバム特設サイト:https://nbcuni-music.com/deco27/
・オフィシャルサイト:https://otoiro.co.jp
・オフィシャルYouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@DECO27
・オフィシャルX(旧Twitter):https://x.com/DECO27
・オフィシャルInstagram:https://www.instagram.com/deco27_39/
・オフィシャルTikTok:https://www.tiktok.com/@deco27_official
■松丸亮吾 ラジオ情報
『クリエイターズ・スタジオ with ボカコレ』
【放送日時】毎週月曜 - 木曜 21:00 - 21:55(JFN系列)
【出演者】月曜:小林幸子 × ドグマ風見
火曜:ペイトン尚未 × 原口沙輔
水曜:藤井直樹 × 雪乃イト
木曜:松丸亮吾 × jon-YAKITORY
【番組ページ】https://audee.jp/program/show/54586
【公式X】https://x.com/JFN_creator