USチャートに息づくサウスヒップホップの熱気 デンゼル・カリーやミーガンらが深めるスキルと探究心
Sexyy Red
または、昨年ミックステープ『Hood Hottest Princess』をリリースし、そこからドレイクやタイラー・ザ・クリエイターなどに引っ張られ、ここ1年ほどで一気にスターダムを駆け上がっているミズーリ出身のSexyy Redも、Three 6 Mafiaからの影響を受ける若手ラッパーの1人だ。彼女のミックステープもサウスサウンドを豊富に取り入れ、Juicy JやPaul Wallなどのサウスのベテランを呼ぶことによって、カルチャーへの敬意が込められた作品になっていた。シーン全体としても、若手ラッパーの注目株であるSexyy Redだが、今年発表したミックステープ『In Sexyy We Trust』も同様に、彼女らしい一貫性のあるサウスヒップホップ作品に仕上がっている。
ミーガン・ザ・スタリオン
先日公開されたミーガン・ザ・スタリオン「Bigger In Texas」のMVにも注目したい。今年リリースされたアルバム『MEGAN』のデラックス版『MEGAN: ACT II』の幕開けを飾る同曲のMVは、彼女が育ったヒューストンをレプリゼントするような内容になっており、スカーフェイスやPaul Wallなど、地元のレジェンドが登場している。こうして自らのローカルに立ち返ることで、シーン全体を代表するようなラップスターである彼女が、“現在のサウスラッパーのスター”であることを示す。こうしてサウスヒップホップの歴史は、メインストリームの中でも脈々と受け継がれていく。
サウスの熱気は私たちを離さないだろう。本稿の最初に名前を挙げたヒットチャートの作品も、並べて聴くことで土地の色、歴史が浮かび上がってくるはずだ。また、本日11月21日にはデンゼル・カリーの来日公演が行われる。『King Of The Mischievous South Vol.2』後のライブということで、サウスヒップホップ色の強いパフォーマンスを期待できるかもしれない。ローカルを伝承し、ルーツを忘れないこと自体は、サウスに限らずヒップホップそのものの哲学として重要と言えるかもしれないが、多様な文脈を携えながら、様々な形で受け継がれていくサウスヒップホップの音楽としての魅力は、当然のことながら強いだろう。拡大していくシーンの中で、システムに絡め取られ、奪われないようなダーティサウスの魂が、力強く存在している。その熱さを確かに感じる。
※1:https://www.billboard.com/charts/billboard-200/
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