ENHYPEN、韓国でスタジアム公演完遂「成長した姿で戻ってきます」 7人が気づいた存在意義
ENHYPENが10月5日と6日に、韓国・高陽市の高陽総合運動場 主競技場にて、自身初となる韓国でのスタジアム公演『ENHYPEN WORLD TOUR ‘WALK THE LINE’ IN GOYANG』を開催した。本ツアーは、1年以上にわたって世界中をまわり、終幕を惜しむ声が相次いだ前回ツアー『ENHYPEN WORLD TOUR ‘FATE PLUS’』直後のワールドツアーとあって、一層の注目を集めている。本稿では韓国公演最終日を迎えた10月6日の模様をお届けする。
雲に包まれるゲートが開き、満月の下、静かに登場した7人。直後、明るい光を放っていたはずの月が真っ赤に染まり、不穏な空気がステージを支配する。真っ黒な衣装を身にまといこちらを見つめる彼らの瞳に光はない。飛び回るコウモリを背景に、力強いパフォーマンスの「Brought The Heat Back」でツアーは幕を開けた。モニターに巨大な女神のような像が映し出され、続く「FEVER」へと熱を繋いでいく。
MC冒頭、SUNOOは初めてオフラインでコンサートを行った2022年の『ENHYPEN WORLD TOUR ‘MANIFESTO’』、ENGENE(ファンの呼称)とENHYPENの運命の赤い糸をぎゅっと縛りつけた昨年の『ENHYPEN WORLD TOUR ‘FATE’』に言及し、「今回の『ENHYPEN WORLD TOUR ‘WALK THE LINE’』には果たしてどんな意味があるのか、とても気になると思います」「にゃんリーダーさん、紹介してください!」と、“にゃんリーダー”ことJUNGWONへ話を振ると、「今回のツアーは、本格的に第一歩を踏み出したENHYPENの過去、ENGENEによって“ENHYPEN”の存在意義に気づかされた現在、そしてENGENEと一緒に歩む未来を描いていくツアーで、過去・現在・未来のENHYPENの成長ストーリーを盛り込んでいます」と説明してくれた。
そんなツアーの幕開けに気合いが入るJAYは、ENGENEと一緒にこのツアーを行う覚悟の宣誓文を書いてきたと紙を見せ、「1. 画面よりENHYPENは生がイケメンだ!」「2. 明日はない、ENHYPENと一緒にいる今日だけがある!」とENGENEに向けて提言した。これに対して横で見守るメンバーから「JAYさんの意見です」と補足が飛ぶも、JAYの瞳に灯った情熱は消えていない。
MCも束の間、サウンドがよりリズミカルにアレンジされた「ParadoXXX Invasion」でスタジアムのステージを大きく使い、ラストサビ前に響いたHEESEUNGの「Make some noise!」の声が歓声を誘った。
朱色の夕陽に照らされるスタジアムに登場したのは、まるでENHYPENとENGENEの世界を統治するかのように、たくさんのマイクに囲まれた演説台に立つリーダー JUNGWON。彼がイントロでマイクを取るのに合わせ、ステージ下に立つダンサーたちが彼に従うように動き出す。響きわたる歓声の勢いに劣らない無数の火柱に囲まれた7人は、魂を叫ぶようにマイクに感情をぶつけ、「Future Perfect (Pass the MIC)」を歌い上げた。ラップパートではジャケットを半分脱いだNI-KIが、野性味あふれる表情で花道を突き進む。曲の終盤に特効が打ち上がった時、その圧倒的なステージに、4曲目にしてスタジアムは熱狂の渦と化していた。
このツアーでは、既出曲のアレンジも見所だ。「Given-Taken」では、ストリングスとピアノの優雅な音色が奏でられ、ENHYPENの高貴な世界観をより深めている。舞台上のモニターにヨーロッパ風の城や風景がレトロなフィルターで映し出され、次の瞬間にはステージがじわじわと氷の世界に包まれた。ENGENE待望のユニットステージでは、紺色のセットアップで姿を現したJAY、JAKE、SUNGHOONのユニット曲「Lucifer」、紺地にスパンコールで蜘蛛の巣が描かれたジャケットを着たJUNGWON、HEESEUNG、SUNOO、NI-KIの「Teeth」の変則的な速度で移り変わるダンスが、見る者を問答無用に魅了する。
ENHYPENとコラボレーションしたウェブトゥーン作品であるHYBEオリジナルストーリー『DARK MOON』の世界に登場するソフトウェア会社・Vesselsoftのロゴとともに、ステージ上方からエレキギターを携えたJAYが登場した。今や毎ツアーに欠かせない彼のギターは、この日前に進む強い意志を持つロックナンバー「Blessed-Cursed」をかき鳴らした。本ツアーのために用意されたロックテイスト強めのインストゥルメンタルに乗せ、ギターサウンドが鮮やかに夜空を照らしたのち、一転して空気を変えた「Fatal Trouble」、さらにはENHYPENの名を一層世界に広めた代表曲「Bite Me」が、日没後のスタジアムを大きく揺らした。
「This song is about ENGENE and us」――そんなメッセージと優しい音色とともにカジュアルな衣装で登場した7人がENGENEへの想いを綴った「Highway 1009」と「Not For Sale」を歌い終えると、JUNGWONが「いい曲! 誰が作ったの?」と「Highway 1009」を自作したHEESEUNGを称賛し、彼は少し照れたような笑顔を浮かべる。「Teeth」のNI-KIのキリングパートが良かったというSUNGHOONの「もう一度見せて!」とのラブコールで、もう一度NI-KIがダンスパートを披露したり、「Lucifer」でダンサーが倒れた道の中央を歩くメンバーの姿をJAYが「仕事帰りみたいだ」とこぼしたりと、ステージには笑顔が絶えない。
「Your Eyes Only」では、手をハートにして左右に揺れるダンスでENGENEと思い出を作る。しかし、なかなか動きを揃えるのが難しく、左右を間違えたSUNOOに詰め寄るNI-KIや最終的に小突き合うJUNGWON、SUNOO、NI-KIの年下組を優しく見守る最年長のHEESEUNGなど、微笑ましい光景も見られた。
しっとりと歌われた「Orange Flower (You Complete Me)」からスタンドマイクに切り替えた「Scream」、さらには後半戦の狼煙を上げた「Tamed-Dashed」へと、目まぐるしく表情を変えるステージ。前ツアーでは世界観に沿ったパフォーマンスが披露されたことが記憶に新しい「Sweet Venom」も本ツアーのスペシャルバージョンにアレンジされ、軽快な印象に様変わりしていた。「Go Big or Go Home」で派手に打ち上がった花火が、秋の夜空に充満する熱気を可視化していた。
ステージは再び、ENHYPENのダークさと哀愁を感じさせる世界観へ。暗色のスーツで再登場した7人が、金の薔薇が装飾されたスタンドマイクで「Hundred Broken Hearts」を歌うさまは、まるで貴公子のようだ。そのまま花道を並んで歩き、切ない恋模様の心情を「Still Monster」へと繋いでいく。最新アルバム『ROMANCE : UNTOLD』収録の「Moonstruck」では、夜空に浮かぶ月が細い三日月から満月へ変化していく演出も見所だ。SUNGHOONは「月光を浴びながらENGENEの皆さんと永遠を約束する『Moonstruck』を初披露する場として、ここコヤンスタジアムはぴったりで完璧だったと思います」と満足げな様子だった。