SHO-SENSEI!!が生み出した新たなヒットの方程式 ライブの熱狂をデジタルと融合させる才能の凄み

 10月16日、SHO-SENSEI!!が新曲「ゴーストタウン」をドロップした。SHO-SENSEI!!といえば、ライブの盛り上がりが凄まじいことは以前の記事(※1)でも伝えた通り。その熱狂は、本人の願い通りどんどん大きいものへと進化し、ワンマンライブの動員数も着実に増加中。9月25日には大阪・梅田CLUB QUATTROをソールドアウトさせて、来年は東京・Spotify O-EAST公演を含む全国5カ所をまわる自身最大規模のツアーを開催する。

 本稿では、あらためてSHO-SENSEI!!のライブに巨大な熱狂が生まれている理由を考えてみたい。

 まず、そこには「デジタルと現場の融合」が挙げられると思う。SHO-SENSEI!!は、TikTokにライブ動画を多く公開している。彼のライブにおけるバンガーとなっている「道路工事」と「国道」は、それぞれ200万再生、20万いいね超えを記録した。「道路工事」の動画を上げた直後は、TikTokのバズを受けてSpotifyの急上昇チャートにもランクイン。コメント欄には「こういうLiveハウス絶対楽しいじゃん」「客層良いな」などと書き込まれており、特に「絶対に自分が損しないもの」「間違いなく自分が楽しめるもの」を選択してお金と時間を使いたいという気持ちが強い現代のティーンにとって、こういった動画は実際にSHO-SENSEI!!へのライブへ足を運ぶ後押しとなっている。

HO-SENSEI!! 「道路工事」LIVE at LIQUIDROOM
SHO-SENSEI!! 「国道」LIVE at LIQUIDROOM

 そもそも、TikTokにはさまざまなアーティストのライブ動画が溢れているなかで、彼の動画がここまで「バズった」要因とは何か? ひとつは、本人の声がかき消されるほどファンの合唱が鳴り響いていること。もうひとつは、コメント欄の「携帯がたくさん写ってるのが逆に綺麗」といった書き込みが1700以上ものいいねを集めているように、一生懸命腕を伸ばしてスマホをステージに向ける光景から、会場に集まった人たちがどれほどこの瞬間を求めていたのか、そしてどれだけ楽しんでいるのかが伝わってくること。動画が「おすすめ」のタイムラインに流れた時に、パッと見たり聴いたりした時の雰囲気で視聴者の脳内に印象ができあがってしまうのがTikTokの特徴だが、SHO-SENSEI!!の人気動画は“熱量”、“熱狂”が第一印象から確実に伝わる音や画になっているのだ。

 SHO-SENSEI!!のライブに熱狂が生まれる理由のもうひとつの側面であり、より本質的な部分としてはもちろん、音楽性そのものである。そもそもSHO-SENSEI!!は、J-POPとロックを主体にHIPHOPのノリを混ぜ合わせた新しいカルチャーを牽引することを目指している。具体的に言えば、J-POPのメロディ、ロックバンド的なアンサンブルやエモーショナルなギター、HIPHOPのビートやフロウをクロスオーバーさせた音楽を作り上げている。

 ライブにおいても、「シンガロングできるメロディ」と「HIPHOP的なバウンスのノリ」(以前私のインタビューで語ってくれた本人の言葉を用いると「HIPHOP的なちょっとチャラい跳ね」)を融合させていることが、動画で切り取った時にも独特な熱狂感を視聴者に感じさせる要因になっていると言える。

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