戦慄かなの「悪い人」、かやゆー提供曲がバイラルヒット ピュアな歌声だから伝わる世界観

Viral Chart Focus

 Spotifyの「Daily Viral Songs(Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top Songs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの10月9日付のTOP10は以下の通り(※1)。

1位:CUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」
2位:JO1「WHERE DO WE GO」
3位:戦慄かなの「悪い人」
4位:YEONJUN「GGUM」
5位:NEWS「チャンカパーナ」
6位:弌誠「モエチャッカファイア」
7位:Ndotz「Embrace It」
8位:Number_i「透明になりたい」
9位:MADEIN「UNO」
10位:shy「海へ」

 今週は戦慄かなの「悪い人」をピックアップする。9月18日にデジタルリリースされた本曲は、10月7日付のデイリーバイラルチャートで初登場5位にランクイン。着実に順位を上げ、最高位2位まできている。首位にあと1歩だ。

 戦慄は、アイドルとして活動を開始し、その後YouTubeやTikTokでの活動をスタート。“fabulous”(ファビュラス)な存在としてZ世代を中心に人気を獲得。その美意識の高さとセルフプロデュース能力で、同性からも絶大な支持を得ている。2021年に1stシングル『Fire Paan』をリリースしてソロアーティスト活動をスタートし、全国のライブハウスやクラブなどで活動を展開するのと並行し、実妹の頓知気さきなとセルフプロデュースアイドルユニット・femme fataleを、さらに盟友・かてぃと同じくアイドルユニット・悪魔のキッスを結成して活動を開始。2022年にfemme fataleとしてデジタルリリースした「だいしきゅーだいしゅき」、並びに悪魔のキッスとしてデジタルリリースした「悪魔のキッス」がTikTokの「#踊ってみた」などから火が付き、両曲ともBillboard JAPANの「TikTok Weekly Top 20」で首位を獲得している。さらに、2曲ともバイラルチャートで大ヒットしたのも記憶に新しい。またZ世代のみならず、2023年までレギュラー出演していた『アウト×デラックス』(フジテレビ系)への出演を筆頭に、幅広い層に認知される存在となった。

戦慄かなの "悪い人" M/V

 ソロアーティスト・戦慄かなのとしても、前述の1stシングル『Fire Paan』リリース以降コンスタントに作品を発表し、2023年に1stアルバム『Solitary』を発売。同作品のリリース日である2023年1月14日には、Zepp DiverCity (TOKYO)で初のワンマンライブを行い大成功に収めている。2024年にはヤングスキニーの楽曲にフィーチャリングとして参加。そして、同年9月18日に、ヤングスキニーのかやゆー(Vo/Gt)が詞曲を手掛けた「悪い人」をリリースした。

 セルフプロデュースを筆頭に、多角的な才能を発揮している戦慄だが、ここではボーカリストとしての彼女にスポットを当てたい。少し甘めのキュートな声質が特徴だが、甘ったるくならないのが魅力。これは鼻に抜けるようなアプローチを使わず、しっかり前に声が出るように発音しているからだ。「悪い人」は、バックトラックの音数も少なく、温かみのある良質なメロディが染みるミディアムナンバーである。テンポ感は前述したヤングスキニーとのフィーチャリング曲に近いものがあるが、かやゆーがより戦慄のボーカルを活かすための音作りをしていることがわかる。どこか牧歌的なメロディは、これまで彼女が経験してきたユニットを含め、今までの戦慄の楽曲にはなかったパターンと言えるだろう。

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