カネヨリマサルのかけがえのない10年の物語 大阪城野音ワンマンで生み出した格別な一夜を観て

 本編最後のMCでは“世界を変える難しさ”と、でも“3人で鳴らす音楽によって世界を変えることができる凄さ”をちとせが真っ直ぐに口をしていた。その後、

「わたしは世界を変えれない」

「だけど君を笑わせたい」

 と「ハッピーニューデイ」が披露された。ライブを観ていてつくづく感じたが、この日のMCと歌の流れがあまりにも秀逸。こんなにも歌とMCが綺麗に、ここまで真っ直ぐに繋がるんだなあと思ったし、ライブで描く景色と歌詞のフレーズがダイレクトに繋がる心地が新鮮だった。カネヨリマサルはMCの節々で、今日のためにセットリストをずっと考えていたと口にしていたが、その想いがよくわかる構成と流れであった。そして、本編ラストは「はしる、夜」と「グッドバイ」、アンコールでは「かけがえなくなりたい」、そしてこの日の最後の楽曲は「わたし達のジャーニー」を披露して、2時間ちょっとのライブを駆け抜けたのだった。

 あまりにも“これまで”の流れが、構成が、演出が、最後の「わたし達のジャーニー」に集約して繋がっており、最終的には“これから”のカネヨリマサルに繋がっていること、ライブタイトルである『君と私の世界を変える』にも繋がっているのが見事だった。きっと、この日会場にいた多くの人が“自分の世界が変わった心地”を実感したのだろうし、その観客の想いにこの日のライブの伏線の全てが回収されているのだと実感した。

 改めて、思う。カネヨリマサルの音楽って、ライブって、確かにそういう力があったし、そういう魅力が年々大きくなっているな、と。だからこそ、多くの人がカネヨリマサルに惹かれてきたんだと、そんなことを再確認する時間でもあった。カネヨリマサルは出発点から今日までの道中に余計な寄り道をせずにキャリアを積み重ねてきたからこそ、一本のジャーニーというような形でライブを演出したときの痛快感が半端ないんだと感じた。

 さらには、これまでを総括するようなライブでありながらも、これからの飛躍を予感させるライブだったからこそ、野音ワンマン以後のカネヨリマサルがさらなる輝きを放つんだろうなとワクワクが止まらなくなった。なお、2025年の春もすでに全国7カ所を巡るワンマンツアーが決まっているとのことで、会場のスケールも大きいものが多く、さらに進化を続けるカネヨリマサルのライブが今から待ち遠しくて仕方がない。ライブハウスで育ったバンドは、毎日ライブハウスで奇跡を生み出している。だからこそ、ライブハウスとは違う大きなステージで生み出す奇跡もまた、格別であると感じた、そんな一夜であった。

■カネヨリマサル『君と私の世界を変える大阪城野音ワンマン』
9月28日(土)大阪城音楽堂
<セットリスト>
1. 恋人
2. バンドマン
3. 関係のない人
4. ラクダ
5. 嫌いになっちゃうよ
6. 君が私を
7. 今を詰め込んで
8. 今日の歌
9. 二人
10. ひらりとパーキー
11. 背中
12. ネオンサイン
13. ゆびきりげんまん
14. 君にさよなら
16. もしも
17. 南十字星
18. ハッピーニューデイ
19. ガールズユースとディサポイントメント
20. はしる、夜
21:グッドバイ
en1. かけがえなくなりたい
en2. わたし達のジャーニー

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