韓国でも話題を集めるシンガーソングライターLeina 10代の集大成的作品となる1stアルバムのオリジナリティ

 9月25日、Leinaが1stフルアルバム『愛の産声、哀の鳴き声』をリリースした。Leinaとは、ジャスティン・ビーバーやビリー・アイリッシュなどをルーツにしながら、同時代のグローバルポップスをJ-POPに昇華している、19歳のシンガーソングライター。SNSにて楽曲発信を活発的に行い、昨年は「どうでもいい話がしたい」「うたたね」がバイラルヒットを記録、最近では「食わず嫌い」「君の前だと溶けちゃうの」などが「SNSでよく聴く曲」という状態になっており、渋谷トレンドリサーチが発表した「高校生最新トレンドランキング ネクストトレンド」(6月27日発表)にも選出されるほどティーンを中心に認知と人気を広げている。

 LeinaのSNSやストリーミングを通じた広がりは、国内だけにとどまらない。YouTubeの視聴者層は日本の次に韓国が多く、先述した「君の前だと溶けちゃうの」はアジア各国のプレイリストにてピックアップされた。9月2日には韓国 弘大にあるGyeongui Line Forest Parkにてストリートライブを開催し、直前の告知であったにもかかわらず、2000人ものファンが殺到。Instagramには、スマホを掲げながら熱狂するファンに囲まれてLeinaが歌う姿が公開されており、日本語で合唱が巻き起こる場面も見ることができる。さらに11月には、韓国にある約1万人規模の会場・KINTEX HALLにて開催されるライブイベント『WONDERLIVET 2024』への出演が決定している。

 1stフルアルバム『愛の産声、哀の鳴き声』は、来年3月に20歳を迎えるLeinaにとって10代の集大成的作品であり、これまでの人生でLeinaが手にした音楽的なオリジナリティとひとりの人間としての感情が詰め込まれている。シンプルにたゆたうメロディに主に英語のリリックを乗せて日本語も英語っぽい発音で歌う「Love Circle」、たったギター一本で弾き語る「君が死にたいっていうなら -acoustic ver.-」、歪んだギターをかき鳴らすロックサウンドに苛立ちや焦りを乗せた「Donuts」、ピアノの旋律から始まるポップなバンドサウンドの「カロリーメイト」、重たいビートやビルドアップからのドロップが気持ちいいダンスミュージック「I don’t need your love.」、Yaffleと作り上げた壮大なバラード「愛の産声、哀の鳴き声」など、サウンドのバリエーションは豊富。Leinaが作詞作曲を手がけた15曲の細部からは、「愛」だけでなく「哀」も表現できる歌声、洋楽由来のフロウといったオリジナリティを自身で十分に理解していることや、今のヒットソングを研究しつつも直感的な感覚も大事に音楽を作っていること、さらにはストーリーテラーとしての力量が伝わってくる。Leinaはそうしたスキルと表現力で、多くの人の心の深い部分をタッチできるメロディと言葉を紡いで歌うことのできるアーティストだ。

 個人的に、アルバムの中でもっとも「心の深い部分にタッチ」し、聴き手の心を震わせる力のある楽曲は「君が死にたいっていうなら -acoustic ver.-」だと思った。この曲はアコースティックギターの弾き語りで、Leinaが心から伝えたい素直な言葉だけが、聴き手へ優しく語りかけるように歌われる。そもそもLeinaは、自身の痛みや孤独を音楽に救ってもらった経験から、次は自分が聴き手に寄り添える音楽を作りたいという想いが強いアーティストで、以前のインタビューでは「倒れそうになった時にその人の背中をそっと支えられるような音楽とか、その人が『行こう』と思うタイミングまで待ってるような音楽が好きなんです。自分の性格的にもそういう感じで、自分なりに大事にしているところが音楽に繋がってるのかなと思いますね」と語っていた(※1)。〈君が死にたいって言うなら/夜が明けるまで聞くから〉〈君が消えたいって泣くなら/泣き飽きるまで泣こうか〉と始まるこの曲は、まさにLeinaが大事にしている価値観がまっすぐ昇華されたものだといえる。Leinaは森山直太朗「生きてることが辛いなら」や中島美嘉「僕が死のうと思ったのは」に救われていたといい、それらと並ぶような楽曲を作ることに真っ向から挑んだともいえるだろう。

 「愛の産声、哀の鳴き声」には、Leinaが10代に経験した痛みと、それを通して見つけた喜びや愛が表現されている。哀しみが伴う愛だけでなく、もっと深い愛を知ったとき、今以上に深みのある歌やサウンドスケープを生み出すのだろう。それをこの先、見届けたいと思う。

※1:https://realsound.jp/2024/02/post-1581888.html

■リリース情報
『愛の産声、哀の鳴き声』
配信はコチラ
https://lnk.to/aino_leina

■ライブ情報
『Leina Live Tour 2024-2025 "愛の産声 哀の鳴き声"』
11月11日(月) 渋谷 CLUB QUATTRO
11月29日(金) 金沢 AZ
12月1日(日) 名古屋 Ellectric Lady Land
1月17日(金) 広島 SECOND CRUTCH
1月18日(土) 福岡 DRUM LOGOS
1月31日(金) 札幌 cube garden
2月1日(土) 仙台 darwin
2月28日(金) 大阪 GORILLA HALL
3月1日(土) 高松 DIME

■関連リンク
https://lit.link/Leina

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