『日プ』・Kep1er出身メンバー擁するMADEIN「UNO」バイラルヒット ジャンルレスな楽曲を歌い切る実力

Viral Chart Focus

 Spotifyの「Daily Viral Songs(Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top Songs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの9月25日付のTOP10は以下の通り(※1)。

1位:CUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」
2位:JO1「WHERE DO WE GO」
3位:MADEIN「UNO」
4位:TZUYU「Run Away」
5位:YEONJUN「Boyfriend」
6位:MEOVV「MEOW」
7位:弌誠「モエチャッカファイア」
8位:Number_i「INZM」
9位:しろねこ堂「水金地火木土天アーメン」
10位:小鞠知花(CV:寺澤百花)「feel my soul」

 今回ピックアップするのは、MADEIN「UNO」である。MADEINは9月3日にデビューミニアルバム『RISE』をリリースしたガールズグループだ。メンバーには、この7月にKep1erを卒業したMASHIRO(マシロ)とYESEO(イェソ)を含む韓国出身3人、『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』参加者のSERINA(セリナ)やNAGOMI(ナゴミ)を含む日本出身メンバー4人が在籍しているほか、オーディション番組や大手事務所の元練習生などが名を連ねる、実力派揃いのグループだ。『RISE』のオープニングを飾るナンバー「UNO」は、9月23日付のデイリーバイラルチャートに初登場4位でランクインし、翌日には3位に上昇。以降3位をキープしている。ちなみに9月23日以降のデイリーバイラルチャートでは、SERINAらが出演していた同シリーズの『PRODUCE 101 JAPAN』からデビューしたグループ JO1「WHERE DO WE GO」が同日初登場1位を獲得して以降、MADEIN「UNO」と同じくチャート3位圏内にランクインし続けていることもトピックだ。今やデビューのひとつの定石になって久しいオーディション番組の底力が発揮されたチャートアクションと言えるだろう。MADEINがデビューしていきなりデイリーバイラルチャート3位にランクインしたのは、元Kep1erのメンバーをはじめとした、もともと知名度と人気のあるメンバーがいたことも注目された一因だが、『日プ』/『日プ女子』という番組そのもののファンダムが確実に形成されていることを証明した結果でもあると考察する。

[キャプション]

 「UNO」は、トレンドを取り入れたバウンシーなグルーヴ感が魅力の1曲だ。音数を絞ったバックトラックには、曲の途中で何度もリズムパターンが変わる展開、さらにサビでリズムパターンのレイヤーが増え、テクノのようなトランス的な趣きを見せるなど、バックトラックそのものにメリハリとストーリー性があり、とてもドラマティックだ。洗練された緻密なそのバックトラックがしっかり独立している分、歌唱するにはリズム感とボーカルアプローチの多彩さが必要となる。大げさに言ってしまえば、通常の歌唱アプローチでは楽曲として成立しないくらい個性的なトラックだからこそ、歌うのには非常にスキルがいるのだ。歌詞は韓国語と英語が混ざっているが、バックトラックに合うボーカリゼーションを駆使することで、言語のシームレス化にも成功している。特に韓国語の促音がひとつのリズムとして機能しており、それがバックトラックに溶け込んでいることが大きい。「UNO」は、アンビエントのような浮遊感あるイントロから、低音で一音リズムが鳴っただけで、歌唱パートが始まる。メンバーが歌い紡ぐセクションは、他のガールズグループと同様の手法ではあるが、バックトラックのリズムを確実に捉えながら、メロディは独立して進行していく。

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