日向坂46 金村美玖が見つめた先輩・伊藤万理華の背中 グループに在籍しながら叶えた写真展開催の夢

 日向坂46 金村美玖にとって初となる写真展『みとめる』が、9月10日より神保町・New Galleryにて開催されている。

 筆者は開催に先立ち開かれたオープニングレセプションに参加した。アイドルとしての金村美玖と写真家としての金村美玖が同居しているような、写真を通じて彼女の心情や温もりが伝わってくる、初めてとは思えない素晴らしい写真展だった。

 展示は、金村が2023年の冬から撮り溜めていたセルフポートレイト作品とそれに呼応するランドスケープ作品など、全36点(インスタレーションと動画を含む)から構成されている。「2023年冬 in 北海道」から始まり、「2023春 in 静岡」「2023夏 in 神奈川」「2023秋 in 長野」「2024冬 in 広島」「2024春 in 青森」といった時系列を追っていく順序だ。

 驚くのはこれらの写真は金村によるセルフポートレート、つまりはカメラと三脚を使って金村自身が一人旅の中で撮影しているということ。自分自身が被写体であり、同時にカメラマン。だからこそ、その時の気持ちや空気感がより強く写真に表れている。筆者はカメラの専門的な知識はないのだが、記者会見などでスチール撮影をすることが度々あり、ある担当編集から「愛がこもってるね」と言われドキッとしたことがある。それは確かに個人的に思い入れのあるタレントであって、写真とは理屈抜きで感情が乗るものなのだと痛感した出来事だった。もちろん、金村が日本大学芸術学部写真学科の現役学生として専門的な知識や技術を持ち合わせているのは間違いないが、その中でも写真が放っていたのは金村のその瞬間の感情。それは旅での心情を綴ったハンドアウトを読む前に感じたことである。

 写真展全体においても金村自身がそのほとんどの構成を担当しており、空間演出でポイントになっているのが、鏡のインスタレーションだ。不意に写りこむ自分自身に対して、写真展のコンセプトである「みとめる」スペースになればという思いが込められているという。

 特筆すべきは、グループに在籍しながらの写真展開催ということ。オープニングレセプションも含め、本写真展は宮崎で行われた『ひなたフェス2024』と日程が近く、スタッフ陣を含め、多忙なスケジュールの中での開催準備であったことは想像に難くない。坂道グループ全体でも学業との両立を公表しているメンバーは多くいるが、日向坂46を牽引するエースメンバーの一人であり、写真展という形で自身の世界観を提示しているのは金村が数少ない例と言える。

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