サカナクション、Number_i、GLAY、Bring Me The Horizon……『SUMMER SONIC 2024』“初”づくしの名アクトを振り返る

 今年の夏も大盛況となった『SUMMER SONIC 2024』。今回も非常に早い段階でチケットがソールドアウトとなったこともあり、現地ではなく、WOWOWの生配信を通して各アクトを観ていた人が多かったのではないかと思う。また、当日、様々な都合によって生配信を観ることが叶わなかった人もいるかもしれない。WOWOWでは、『SONICMANIA』を含めた計3日間の模様を2回にわたって放送予定。まず、9月にハイライト版が、10月は2日間にわたり12時間以上のボリュームで放送される。それに先駆けて、今回は、放送予定のアクトの中から計8本のライブレポートをまとめてお届けする。WOWOWの放送当日に向けて、この記事が、アーティストと新しく出会ったり、興味を深めるきっかけになったら嬉しい。

サカナクション

Photo by Masanori Naruse

 約2年にわたるライブ活動休止期間を経て、この春から夏にかけてのツアーをもって“完全復活”を果たしたサカナクション。まるでバンドの真髄を凝縮したようなオールタイムベストとも呼ぶべきセットリストは、先の復活ツアーの内容をベースとしたもの。ツアーを通して得た熱き手応え、そして、これまでのバンドの歩みに対する揺るぎない自信と深い確信が滲む渾身のアクトの連打に、何度も否応もなく胸が高鳴り、心が踊る。特筆すべきは、DJセットで次々とシームレスに楽曲をドロップしてみせた中盤の展開。「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」で真夜中の幕張メッセを狂騒的なダンス空間へと変え、「ネイティブダンサー」を挟み、「ミュージック」へ。同曲の終盤でバンドセットへ戻り、熱狂と高揚のピークをさらに何段階も更新してみせた。完全復活を通り越して、キャリアハイを叩き出すようなステージだった。

Photo by Masanori Naruse

Number_i

Photo by Riei Nakagawara

 『SUMMER SONIC』は、数ある国内のフェスの中でも特に多様な観客が一堂に集うフェスであり、筆者の体感として、今年は例年以上に、その“多様さ”が際立っていたように思う。おそらく、初めて彼らのライブを観る観客も相当多かったはずだが、3人は、もはや理屈では説明できない燦々たるポップスターとしてのオーラで圧倒。そして、三者三様のリアルなフィーリングがダイレクトに滲むラップや歌、確かなスキルに裏打ちされたダンスを通して、満員のMARINE STAGEを見事に掌握してみせた。特に忘れられないのが、終盤の「GOAT」で、今年からMARINE STAGEに新設された花道を3人が鮮やかに駆け抜けるシーン。花道の新設は長きにわたる『SUMMER SONIC』の歴史にとって大きな転換点であり、ここから幕を開けたサマソニの新章を堂々と彩ってみせた3人の勇姿は、後年、同フェスの歴史を語る上で何度も繰り返して参照されていくものになると思う。

Photo by Riei Nakagawara

RIIZE

Photo by Teppei Kishida

 今年に入ってから、2月に東京ドームで開催された『SMTOWN LIVE 2024 SMCU PALACE @TOKYO』への出演や夏のホールツアーをはじめ、何度も日本でのライブを重ねてきたこともあってか、デビューして1年に満たない初登場の新人グループであるにもかかわらず、終始、熱烈なホーム感が満員のMOUNTAIN STAGEを満たしていた。最新曲にして日本デビュー曲「Lucky」では、ラフさとクールさを兼ね備えたパフォーマンスによって、目まぐるしいスピードで進化し続けるRIIZEの最新モードを堂々と披露した。一方、MCにおける親密で温かなコミュニケーションには、メンバーそれぞれの等身大の魅力が表れていて、そうしたカジュアルな一面とバッチリとキマったライブパフォーマンスとのギャップは、きっと多くの観客の心を掴んだはずだ。

Photo by Teppei Kishida

GLAY

Photo by Teppei Kishida

 初の夏フェス出演ではあったが、曲間には前日の『SONICMANIA』に出演したUnderworldのカバーを挟むという粋な計らいも用意したGLAY。ステージではバンドの最新形を見せながら、説明不要の代表曲「サバイバル」「口唇」をシームレスに繋いで披露することで、満員のMOUNTAIN STAGEの一体感と高揚感を際限なく高めていく。その後も熱き展開が続き、TERUがラストの歌詞を〈幕張を〉と替えて歌った「SOUL LOVE」(幕張は、かつて彼らが20万人を動員した伝説のライブ『GLAY EXPO '99 SURVIVAL』の開催地)。「とっておきの愛の歌を届けます」という言葉を添えて披露した「HOWEVER」。ラストを締め括った国民的ロックアンセム「誘惑」。まるで全編がハイライトのような熱烈なステージに、何度も強く心を動かされた。

Photo by Teppei Kishida

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