乃木坂46「チートデイ」、王道ポップスかと思いきや実は変化球? 一癖隠された歌詞の仕掛け
CD Chart Focus
参考:https://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2024-09-02/
2024年9月2日付(8月27日発表)のオリコン週間シングルランキングで1位を獲得したのは、乃木坂46の『チートデイ』。推定売上枚数は約51万枚と、王者の貫禄があります。これにより、乃木坂46は2012年の『おいでシャンプー』から35作連続の首位獲得となりました(※1)。
ここ最近を振り返っても、アイリッシュトラッドとEDMをいきなり融合させた2023年の「おひとりさま天国」(※2)、70年代を彷彿とさせるディスコナンバーである2024年の「チャンスは平等」など、聴き手に「気を抜いてるなよ?」と言わんばかりに変化球を投げてきた乃木坂46。それに比べると、今回のタイトルナンバーである「チートデイ」はストレートなポップスに感じられますが、実はそこには一癖隠されています。
しっとりとしたイントロから始まるのは、突然のラップ。そしてAメロでは、ライブでのコールアンドレスポンスを想定していそうな〈Hey〉というフックとなるフレーズが繰り返されます。サビの前で繰り返される〈Ah〉というフレーズも、同様にキャッチーなフックです。
サビでは、「チートデイってどういう意味だろう?」と思っていると、〈ズル休み〉と歌われるという親切設計。そして、サビの後には冒頭と同様のラップが挿入される箇所も。サウンドが止まり〈「ごめんなさい」〉という声が入るパートも用意されているのは、アイドルポップスならではです。
歌詞の内容としては、女子高に通う女の子を中古のバイクに乗せて海に行きたいというもの。「主人公も高校生だろうし、中古のバイクはハードルが高くない?」といろいろ詮索してしまったのですが、作詞者である秋元康の術中にはまった気がしました。
そうした夏を描きながら、サビではAメロやBメロに比べて長い音を配することで、解放感を滲ませる構造になっています。また、サウンド面ではストリングスを惜しげもなく全編に配していることが清廉さを生んでおり、しかしホーンセクションをあえて使わないところに引き算の美学も感じました。作曲は川浦正大、編曲は野中“まさ”雄一。
「チートデイ」は、ある夏の一日を描きながら、MVはシンガポールで撮影。豪華すぎますね。そんな映像もあわせて、夏のイメージを鮮烈に残す作品となっている楽曲です。
※1:https://www.oricon.co.jp/news/2341913/
※2:https://realsound.jp/2023/09/post-1420048.html
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