映画『きみの色』主題歌はMr.Childrenが担当 中島みゆき、aikoらベテラン勢によるアニメタイアップの深み
デビューから半世紀近い時を経て、初めてアニメ映画主題歌を担当したのは中島みゆき。昨年公開された映画『アリスとテレスのまぼろし工場』の主題歌として「心音」を提供した。主題歌を担当するにあたって中島が寄せたコメントには「ゲームもアニメもさっぱりわからない中島に、御注文をくださるとは、なんでなの?」と、自身にとってアニメが縁遠い存在であったことを中島らしい茶目っ気も交えながら率直に表出しつつも、「岡田麿里様は、中島の絶大なる「推し」です!」と本作の脚本・監督を務めた岡田麿里への最大級の称賛を送っている(※3)。ある日変わってしまった世界とその中で変化を禁じられた住人、そこで生きる少年少女たちに宿る恋愛衝動が世界を壊すという“セカイ系”の系譜でありながらも、同時にシリアスな人間の業、ひいては表現そのものの根幹すらも映し出す『アリスとテレスのまぼろし工場』。中島による主題歌「心音」はそんな作品世界やキャラクターの心を正面から映し出す。人間の醜さを認め、変化を肯定し、その先に待つ〈未来へ 君だけで行け〉と力強く背中を押す。中島らしさも感じさせつつ、作品とも強く共鳴する1曲だ。
ベテランアーティストたちのアニメ主題歌。一見すると意外な組み合わせという印象も抱くが、キャリアを重ねてきたアーティストだからこそ持ち合わせる作家としての矜持や主題歌先作品の理解力を感じさせる楽曲が多い。何よりもそれぞれのアーティストと制作側がお互いを尊重し、リスペクトを交差させることでより深く繋がり合うからこそ、作品に相応しい主題歌が生まれているのだ。
※1:https://kiminoiro.jp/news.html#20240605
※2:https://www.aiko.com/topics/?id=7753
※3:https://maboroshi.movie/music/
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