2023年にメジャーデビューしたmoon dropにとって、「風のお便り」が初めてのドラマタイアップとなった。『焼いてるふたり ～交際0日 結婚から恋をはじめよう～』は、交際0日で結婚した福山健太（黒羽麻璃央）と山口千尋（松村沙友理）が、おいしい食事を通してゆっくり恋愛を育んでいく様子を描く。東京に住む千尋と、浜松に転勤になった健太の結婚生活は、週末にだけ会える“週末婚”。物理的な距離と心理的な距離を、ぎこちないながらもゆっくりと埋めていく姿に心が温まる。そんなドラマに添えられたのが「風のお便り」だ。

　〈貴方の香った便箋で指を切った〉や〈句読点の数だけ込めた想い〉と、手紙をモチーフにした言葉で歌詞は書き進められ、2人が“距離”を縮めていく様を比喩的に表現する。劇中で健太は、タイトルの通り、焼肉やBBQなど肉を焼く料理にこだわり、千尋にふるまって彼女を喜ばせる。その不器用な優しさは、〈手書き文字のバランスの悪さで／笑えますように〉〈大切な貴方にどうか強い風が吹きませんように〉と、ほどよい温度感で表わされている。また、ゆったりしたテンポと、イントロから同じフレーズを繰り返し使用する手法で、安定した日々を思わせる。本作に際して浜口は「遠く離れた場所でも気持ちが風にのってお互いの元へ届く、そういう魔法の様な想いを改めて思い知った」（※1）とコメントしていたが、〈魔法のよう〉というフレーズをメンバーとのユニゾンで歌うのは、健太と千尋のお互いの気持ちが重なった瞬間を表現していると考察するには考えすぎか。エンディング主題歌ということで、毎話の最後、2人の心が通う瞬間に流れる「風のお便り」が心地いい。

　ドラマが進むにつれ、さらに「風のお便り」が2人に寄り添い、視聴者にも寄り添っていくのが楽しみだ。

※1：https://moondrop-official.com/news/detail/28598

◾️配信情報
moon drop「風のお便り」
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