aespa、MY-Jとメンバーの絆で満ちた2度目の東京ドーム オープニングからアンコールまで圧倒的な“物語”

aespa、史上初快挙の東京ドーム公演レポ

 aespaが、日本アリーナツアー追加公演となる東京ドームでのライブ『2024 aespa LIVE TOUR - SYNK : Parallel Line - in TOKYO DOME -Special Edition-』を開催した。海外女性アーティスト史上初の2年連続東京ドーム公演開催という快挙を打ち立てた2DAYS。アリーナツアーからさらにアップデートされたスペシャルなステージのうち、初日となる8月17日公演の模様をレポートする。

aespa(撮影=田中聖太郎)

 定刻を少し過ぎた頃、ライトが落ちた場内が青い光に照らされ、「Welcome To My World」に合わせて水色とピンク色のペンライトが神秘的に揺れ始める。青いサーチライトがステージを照らし、無数の星座が輝くモニターを見つめていると、突如、巨大な「aespa」の文字が浮かび上がり、彼女たちの登場を告げる。ステージにかかった布が落とされると、そこに白のミニドレスに身を包んだメンバーが姿を現した。息を呑むオープニングの流れのまま、特別な公演の火蓋を切って落としたのは「Drama」だ。ラストサビで真っ赤な背景に映し出された4人とダンサーのシルエットに、会場中からこの景色を待っていたと言わんばかりの歓声が上がる。

aespa(撮影=田中聖太郎)

 鳴り止まぬ音楽をBGMにして花道を歩いてセンターステージへ移動すると、続けて「Black Mamba」へ。さらに、メンバーの後ろで横一列に打ち上がる特効が現実を忘れる非日常空間を演出する「Salty & Sweet」を経て、金属音が響きわたる「Girls」では、メンバーを乗せたセンターステージ中央のクロス型のステージが回転。息を吐く間もなくダンスブレイクを挟み、そのままメドレー形式で「Savage」へと移り変わる。

aespa(撮影=田中聖太郎)

 VCRを挟み、まだまだ始まったばかりの前半戦の次に飾るのは、5月27日発売の1stフルアルバム『Armageddon』より先行配信シングルとしてリリースされた「Supernova」。近未来宇宙のような世界が背景に広がるなか、宇宙戦士にも似たデザイン違いの衣装に身を包んだ4人を出迎えるように、息ぴったりな観客の掛け声が待望のパフォーマンスを盛り上げる。ステージ中央にジャングルジムが設置され、続いて披露されたのは「Mine」。ダンスパフォーマンスで魅了した先ほどまでとは打って変わり、ジャングルジムを巧みに用いたステージは、白、ピンク、青、黄という色に彩られた彼女たちのドレスのようにさまざまな色を見せていく。

aespa(撮影=田中聖太郎)

 序盤のMCでNINGNINGは、ドーム公演でセットリストに追加された「Girls」に言及し、「皆さんは『Girls』が大好きですよね?」「私たち、頑張って準備しました。新しいステージもたくさん準備しているので期待していてほしいです」と今日の公演への意気込みを口にしていた。また、GISELLEは一際大きな歓声を受けながら、「ただいまで〜す」「GISELLEで〜す」とMY-J(日本のファンの呼称)に挨拶した。「それでは次の曲に行ってみましょうか?」とGISELLEが紹介したのは、日本デビューシングル『Hot Mess』収録の「Sun and Moon」。ヘッドセットからピンク、青、赤、黒の色違いのハンドマイクに切り替えたメンバーは、センターステージから左右に伸びる花道にふたりずつ立ち、時折MY-Jに手を振りながら歌ってくれた。

 回転するステージが変幻自在に形を変えるなか、ゆったりと歌い上げる「Prologue」では観客のペンライトも自ずと左右に揺れる。背景に映る星々のイラストと、暗がりのドームに光る色とりどりのペンライトが相まって、まるで満天の星空を眺めているかのような美しさが天井に広がった。一転、ピンク色に染まるステージを次に進めるのは「Long Chat (#♥)」。KARINAとNINGNINGが肩を組んで花道を移動したり、WINTERとGISELLEも頭の上で大きなハートを作ったりとメンバー同士の仲のよさも垣間見える。なかでも、ブリッジパートでWINTERがKARINAの左肩に頭を乗せ、KARINAがその頭を優しくぽんぽんと撫でると観客の悲鳴にも近い声が会場にこだました。

aespa(撮影=田中聖太郎)

 メンバー4人が得体の知れない何かに怯えるようなストーリーが描かれたVCRが明けると、そこからメンバーソロコーナーへ。ブロンドヘアが映えるチュール素材の赤いミニドレスをまとったGISELLEはR&Bのムード漂う英詞メインで作詞されたソロ曲「Dopamine」を、KARINAはブラックのMA-1にデニムパンツ、10センチほどもありそうな太いヘアバンドを合わせたストリートスタイルでHIPHOPテイストの「UP」を披露。ハートを作り投げキスするキュートさも持つKARINAが、ダンスブレイクでジャケットを脱いだり長い黒髪をなびかせて去っていったりするギャップに食らった人も少なくないだろう。

 客席に背を向け、メインステージのムービングステージ上に腰掛ける形で登場したNINGNINGは、オールブラックのチューブトップ、カーゴパンツ、ロングアウターを合わせた“いい女”感あふれる装い。アウターを脱ぎ捨て、しなやかなダンスと「Bored」が繰り出されると、会場が歓声の嵐に包まれた。ソロコーナーのトリを飾るのは、aespaのボーカルの核でもあるWINTERの「Spark」。頭にはヴェールを着け、ラベンダーカラーのチュール素材のパンツドレスをまとった彼女が火柱に囲まれて舞い踊る姿は、まるで花の妖精のよう。花道をランウェイにも似たウォーキングで進み、最後まで一度たりとも目を離す隙を与えないソロコーナーを締めくくった。

 VCRが明け、突如「変身準備」「出撃」の日本語が大きく映し出されたステージに、平成ギャルを彷彿とさせるミニ丈衣装の4人が現れる。7月3日リリースの日本デビューシングル『Hot Mess』タイトル曲「Hot Mess」をキュートにパフォーマンスし、続けて『Armageddon』収録曲「Licorice」へ。NINGNINGのアカペラから始まった、ライブに欠かせないパーティーディスコチューン「Hold On Tight」では、華やかに繋がれていくボーカルのバトンが公演中盤のボルテージをこれまでないほどに上昇させ、観客の身体も音楽に合わせて思わず動き出す。容赦なく続いた「ZOOM ZOOM」でも赤、青、緑に光るペンライトがパーティーナイトを演出。この日がライブ初パフォーマンスとなり、セットリストに新たに加わった本楽曲のクラブミュージックサウンドと、その勢いを加速させるようにセンターステージを取り囲んで火柱が燃え上がる。

aespa(撮影=田中聖太郎)

 中盤のMCでは、「みなさんのためにソロステージをさらに発展させたのですが、いつもよりも歓声が大きかったので私たちも盛り上がって楽しむことができました!」(KARINA)と今回の東京ドーム公演へのこだわりが再度明かされる。その後に行われた「We Go」の掛け声練習では「東京ドームでこれしかできないんですか?」「小さいー!」と観客を煽りつつ、WINTERは「(みんなに)言いたいことはたくさんあるけど、言わないようにします」と“秘密の多い女”をキュートに演じてみせた。「次の曲は……秘密です」という“秘密の多い女”としての紹介を経てスタートしたのは「Spicy」。イントロが流れた瞬間上がった歓声は、後半戦に差し掛かってもボリュームが落ちるどころか熱量を増し続ける一方だ。

 KARINAとWINTER、GISELLEとNINGNINGの2組でそれぞれ分かれてトロッコに乗り込みアリーナをゆっくりと進んでいったポップソングのコーナーでは、「YOLO」、「Live My Life」、先ほど掛け声の練習をした「We Go」を歌いながら、オーディエンスと近い距離で手を振りコミュニケーションを取るaespa。楽しそうに歌うその表情に、思わず見入ってしまう。先ほどMCで練習した掛け声通り、しっかりとサポートするMY-Jにマイクを向ける4人の顔には、優しい笑みが浮かんでいた。

aespa(撮影=田中聖太郎)

 SM ENTERTAINMENTからのデビューを控えるnaevisのパフォーマンスを経て、迎えるラストスパートの始まりの鐘を鳴らしたのは「Trick or Treat」。さらに、ラストサビに象徴的なダンスを組み込んだ「Set The Tone」、GISELLEの「Tokyo! Calling!」が響いたお待ちかねの「Next Level」と、アッパーチューンが会場のボルテージをMAXに高めた本編ラストスパートのトリを飾ったのは、アルバム『Armageddon』のタイトル曲「Armageddon」。この単語が意味するのは「最終戦争」、すなわち世界の破滅を示す曲名の通り、力強くしなやかなダンスで世界に巻き起こすaespa旋風は、美しさの裏に一種の危なさも秘めているようでもあった。

aespa(撮影=田中聖太郎)

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